かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(25)――朝日歌壇・俳壇から(2015年7月27日~8月16日)

2015年08月16日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

迫り来る己が運命知らぬまま汚染の土地で牛は草食む
             (横浜市)田口二千陸  (7/27 馬場あき子選)

四年たちて自宅除染の知らせくるみなし仮設に六月の雨
             (会津若松市)植田辰年  (7/27 佐佐木幸綱選)

(ひきがえる)今年の半ばは過ぎにけりまたも延びたる廃炉工程
             (福島市)青木崇郎  (7/27 佐佐木幸綱選)

一日に三百トンの汚染水溜りゆく日々果てしもあらず
             (福島市)美原凍子  (7/27 高野公彦選)

激動の昭和は遠くまた近し時代(とき)超えて立て原爆ドーム
             (名古屋市)諏訪兼位  (8/3 馬場あき子選)

デモに行き振り向く街の人たちの顔見て歩け見るのは俺だ
             (可児市)三田村広  (8/3 佐佐木幸綱選)

原発事故に抗(あらが)ふ如く荒れ果てし土地に凛然とわが家立ちおり
             (いわき市)多田千恵  (8/10 佐佐木幸綱選)

事故後四年関西訛りの交じりたり原発集会に集いし避難者
             (田村市)久住秀司  (8/10 佐佐木幸綱選)

まだ仮設ありて五度目のナツを堪え忍ぶ人らよミンミンが鳴く
             (福島市)美原凍子  (8/16 永田和宏選)

原爆を二つもあびた国なのに「特殊な国」を何故放棄するの
             (加古川市)長山理賀子  (8/16 佐佐木幸綱選)

 

過ちは繰り返します羽抜鶏
             (三郷市)岡崎正宏  (7/27 金子兜太選)

福島に梅雨の雨除染の如く
             (長岡京市)寺嶋三郎  (8/3 金子兜太選)

洗濯機止めて黙禱原爆忌
             (神奈川県松田町)山本けんえい  (8/16 長谷川櫂選)

子どもらは灰になりたり原爆忌
             (新潟市)伊藤敏  (8/16 長谷川櫂選)