朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
迫り来る己が運命知らぬまま汚染の土地で牛は草食む
(横浜市)田口二千陸 (7/27 馬場あき子選)
四年たちて自宅除染の知らせくるみなし仮設に六月の雨
(会津若松市)植田辰年 (7/27 佐佐木幸綱選)
蟇(ひきがえる)今年の半ばは過ぎにけりまたも延びたる廃炉工程
(福島市)青木崇郎 (7/27 佐佐木幸綱選)
一日に三百トンの汚染水溜りゆく日々果てしもあらず
(福島市)美原凍子 (7/27 高野公彦選)
激動の昭和は遠くまた近し時代(とき)超えて立て原爆ドーム
(名古屋市)諏訪兼位 (8/3 馬場あき子選)
デモに行き振り向く街の人たちの顔見て歩け見るのは俺だ
(可児市)三田村広 (8/3 佐佐木幸綱選)
原発事故に抗(あらが)ふ如く荒れ果てし土地に凛然とわが家立ちおり
(いわき市)多田千恵 (8/10 佐佐木幸綱選)
事故後四年関西訛りの交じりたり原発集会に集いし避難者
(田村市)久住秀司 (8/10 佐佐木幸綱選)
まだ仮設ありて五度目のナツを堪え忍ぶ人らよミンミンが鳴く
(福島市)美原凍子 (8/16 永田和宏選)
原爆を二つもあびた国なのに「特殊な国」を何故放棄するの
(加古川市)長山理賀子 (8/16 佐佐木幸綱選)
過ちは繰り返します羽抜鶏
(三郷市)岡崎正宏 (7/27 金子兜太選)
福島に梅雨の雨除染の如く
(長岡京市)寺嶋三郎 (8/3 金子兜太選)
洗濯機止めて黙禱原爆忌
(神奈川県松田町)山本けんえい (8/16 長谷川櫂選)
子どもらは灰になりたり原爆忌
(新潟市)伊藤敏 (8/16 長谷川櫂選)