朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
あの日から八年を経てなほ帰還困難区域にわが家朽ちゆく
(国立市)半杭螢子 (4/7 高野公彦、佐佐木幸綱選)
福島の夜の森(よのもり)の桜悲しけれ廃炉見つづけ咲くほかなし
(下野市)若島安子 (4/7 馬場あき子選)
放射能染みつく墓石を寄せ囲い故郷を去る戸主春冷えの彼岸
(福島市)澤正宏 (4/7 佐々木幸綱選)
フクシマの常磐線の廃駅はとり壊されて更地となりぬ
(福島市)櫻井隆繁 (4/7 佐々木幸綱選)
招かれて行く核廃の会多し被爆者われは「看板」なれば
(アメリカ)大竹幾久子 (4/14 馬場あき子選)
東北は被災地なれど鳥啼(な)けば芭蕉たどりしみちのくとなる
(宮城県)中松伴子 (4/21 佐々木幸綱選)
復興も原発汚水も沖縄も残ししままに新年号に入る
(盛岡市)堀米公子 (4/21 高野公彦選)
原潜を許す港の夕暮れて迎えるごとく街の灯ともる
(西海市)原田覚 (4/28 高野公彦選)
「被災地の視察しました」証明の写真を撮って立ち去る彼ら
(相馬市)根岸浩一 (5/5 永田和宏選)
原発もPCBも令和へと廃棄物処理の引継ぎ
(大津市)隈本庸哉 (5/12 佐々木幸綱選)
ゆるゆると核燃料の吊られゆくああこの刹那地震が来たら
(水戸市)中原千絵子 (5/19 馬場あき子選)
テニヤンは原爆二度載せ発った島こんどは基地化で弾雨降る島
(福島市)澤正宏 (5/19 馬場あき子選)
廃炉までなお遠からむおぼろなる令和の月が建屋照らせり
(福島市)美原凍子 (6/2 高野公彦、馬場あき子選)
ふと不意にエノラ・ゲイの名母の日来
(岐阜県揖斐川町)野原武 (5/5 高山れおな選)
原子炉のやうに並びて蟻地獄
(東京都)山口照男 (6/2 長谷川櫂選)
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