朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
廃炉とう遠き地平や石蕗(つわぶき)は黄の花明かりひそととぼせり
(福島市)美原凍子 (11/17 野公彦選)
福島へはもう戻れない富士山の見ゆるこの街にいつか慣れたり
(国立市)半杭螢子 (11/24 佐佐木幸綱選)
被爆したヤマアトシジミとカタバミが病むとふリポート読めばかなしき
(浜松市)松井惠 (11/24 佐佐木幸綱、馬場あき子選)
鹿親子セシウム茸食つてゐる空砲打つて危険知らせる
(前橋市)船戸菅男 (11/24馬場あき子選)
銀杏(ぎんなん)の熟れて落ちたる実を踏みて金曜デモへ茱萸坂(ぐみざか)を上がる
(東京都)白倉眞弓 (12/1 永田和宏選)
チェルノブイリと福島の燕切ないね被爆のマーク白い斑点
(姫路市)綾部佳子 (12/1 佐佐木幸綱選)
時雨ゐる岬の原子炉止まりゐて道はここにて行き止まりなり
(敦賀市)上田善朗 (12/8 永田和宏選)
拾壱にはさまれ参は哀しそう四度目の冬も二間の仮設住宅(すまい)
(下野市)石田信二 (12/14 佐佐木幸綱選)
原発の賛否を評決する前に我が福島を歩いて欲しい
(いわき市)馬目弘平 (12/14 佐佐木幸綱選)
一Fも二Fも階(ふろあ)のことならず福島原発こわれし後(のち)は
(青森市)白鳥せい (12/14 佐佐木幸綱選)
冬耕す先祖の土地はみな被爆
(いわき市)馬目空 (11/17 金子兜太選)
知の末てふ原発哀れ囲炉裏燃ゆ
(塩釜市)杉本秀明 (12/1 金子兜太選)
放射霧墓石のようなビルの頭
(岡谷市)岩田正恭 (12/8 金子兜太選)
【選評】「放射霧」は中七の例えから放射線を含む霧ととる。現実感あり。
日本中福島忘れ冬に入る
(長岡京市)寺嶋三郎 (12/14 金子兜太選)