朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
「退却」をかつて「転身」「汚染水」いま「処理水」と変はらぬ欺瞞
(長野県)山口恒雄 (6/27 佐々木幸綱選)
人生のうち10年は被災者でまだまだ続くこの浜通り
(南相馬市)佐藤隆貴 (7/4 永田和宏選)
ホッキ貝の漁の再開6年目相馬沖には幸せな夏
(南相馬市)佐藤隆貴 (7/4 馬場あき子選)
ふくしまに生きた証も夢のごとわが家わが庭の解体終はる
(国立市)半杭螢子 (7/11 馬場あき子選)
艫綱(ともづな)に船に海藻とりついて十年経ちぬ被爆の漁港
(いわき市)馬目弘平 (7/18 馬場あき子選)
海を前に黙(もだ)ありし人処理水に何をか語らん長田弘忌
(福島市)青木崇郎 (7/18 佐々木幸綱選)
美しい夜景すなおに喜べぬ原発ありての光と思えば
(船橋市)佐々木美禰子 (8/1 高野公彦選)
放射能いまも骨髄につきおれば遺骨となりても放射能出す
(アメリカ)大竹幾久子 (8/1 馬場あき子選)
畏敬持ち万全を期す原発(システム)に危機意識ない四人だった悲劇
(郡山市)柴崎茂 (8/8 佐々木幸綱選)
エノラ・ゲイまもなく飛んできた時刻オリンピックの空も同じ青
(アメリカ)大竹幾久子 (8/15 馬場あき子選)
生と死の境を生きし被爆の日 思い出しても身の毛がよだつ
(西海市)原田覚 (8/15 馬場あき子選)
福島に「くだものの夏」が巡り来て震災前との比較が始まる
(福島市)安斎真貴子 (8/15 佐々木幸綱選)
原発の遺す抜け殻蝉時雨
(青森市)天童光宏 (8/15 長谷川櫂選)
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