かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(28)――朝日歌壇・俳壇から(2015年10月26日~11月30日)

2015年11月30日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

八キロは全数致死のグラフありて原子力空母町に入り来る
             (横須賀市)梅田悦子  (10/26 馬場あき子選)

いつまでもこの瀬戸内の秋の日の鯊(はぜ)を釣りたし遠く原発
             (福山市)武暁  (11/2 高野公彦選)

子を抱き国境越ゆるシリア難民原発避難のわれらにも似て
             (国立市)半杭螢子  (11/8 高野公彦選)

黒色のフレコンバッグの積まれゐる飯舘村は紅葉に染まる
             (東京都)松崎哲夫  (11/8 馬場あき子選)

ヒロシマとナガサキは核フクシマは原子力ならオキナワはなに
             (枚方市)石川智子  (11/8 馬場あき子選)

福島は遠くにありて川内(せんだい)の原子炉二基が粛粛と起(た)
             (埼玉県)石塚忠次郎  (11/16 馬場あき子選)

兎田(うさぎでん)、猿田、狐田、狸石除染されてく山里の道
             (福島市)美原凍子  (11/16 馬場あき子選)

山裾の里も田圃(たんぼ)も霧の中ああ原発がまた動き出す
             (三重県)高山幸子  (11/16 佐佐木幸綱選)

またぞろの再稼働へとそちこちの原発すでに隠れ助走す
             (福島市)美原凍子  (11/16 佐佐木幸綱選)

原爆を落とせる国の軍隊が七十年経し今も居座る
             (宇都宮市)渡辺玲子  (11/16 高野公彦選)

なんてことしてくれたのと子や孫に言われたくなし原発稼働に
             (船橋市)山崎三千子  (11/30 佐佐木幸綱選)

軍艦も原子炉さえも抱えつつ秋深まりゆくヨコスカの街
             (横須賀市)梅田悦子  (11/30 馬場あき子選)

 

下北に反原発のましら酒
             (久慈市)和城弘志  (10/26 金子兜太選)

(こがらし)や海へ払ひし核の灰
             (相馬市)鹿又一武  (11/2 長谷川櫂選)

原発ともんじゅの町よ冬に入る
             (敦賀市)村中聖火  (11/30 長谷川櫂選)

フクシマの苦海にむかう片時雨
             (さくら市)大場公史  (11/30 金子兜太選)

産土は被爆してをり鮭還る
             (いわき市)馬目空  (11/30 金子兜太選)



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