放菴日記抄(ブログ)

これまでの放菴特集・日記抄から「日記」を独立。
流動的な日常のあれこれを書き綴ります。

80年後の賢治

2013年03月21日 01時32分28秒 | 賢治さん
NHKでしばらくこういうタイトルの番組をやっていましてね。
ちょっとヒネたことでも書いてやろうかと思ったんですが、思いのほか良かったんですよ。なんか。

宮沢賢治の文学を、ただ「幻想」とか、「挽歌」とかいう目で見ているのは、偏っているのではないかと思っていたんですがね、
ここのところが、わりかし、さっくりと切り替えてあったので、見ていて新鮮だったんです。

「注文の多い料理店」なんか、現代風にやってしまえば、そりゃバリバリと山猫に喰われちゃう話になるわけで。
「月夜のでんしんばしら」がいきなりハイテンションで行進していたっていいわけですよ。
それも現代風な「いきなり」感で。

最後の「銀河鉄道の夜」は役者と脚本がよかったけど、ここは却って斬新な映像を用意する方が難しい。
いままで散々クリエイター達が挑んできていますからね。

それならちゃんと「石炭袋」をリアルに描くべきだったし、月夜に列車が霧散するのではなく、マゼラン星雲をバックに散ってほしかった。

賢治さんについては、好きな人が、みんなそれぞれのイメージを持ちすぎていますからね、それに付き合うってのも大変なことでしょ。
おもしろく観させていただきました。
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The Life Eater 38

2013年03月12日 13時42分02秒 | 東日本大震災
 この季節は、空も海も青く澄んでいて、まるで夢のようにキレイです。

 東北の寒さはまだまだ厳しいけれど、あの真冬の冥(くら)かった色彩を抜け出して、よっぽど空も明るく、また海も眩しいくらいなのです。
 きっと、いまがいちばん美しく見える頃なのかもしれません。

 昨年の3月11日もこんなに青かった。
 そしてその前の年も、午前中は、やっぱり青かった。空も、海も・・・。

 その後、真冬よりも冥い色をした濁流が押し寄せて、多くの命が散りました。
 
 あの日から、2年。
 けれど荒野は荒野のまま。
 ただススキとクマザサだけが青々と芽を伸ばしています。

 僕たちは、あの頃の生き残り。死に損ない。
 この荒野を、のちの世界に語り残す責務がある。

 これが天災のみならず、人災であったことも。
 心を痛めてくれた人がいるそばで、責任回避に腐心した人、惨事を利用した人がいたことを。
 
 そして、だれもが等しく、恐ろしい思いをしたことを。

 
 
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