時は1985年、私は5年間自転車で過ごした学生生活におさらばして、就職と共についに買った黒のボルクスワーゲン ジェッタGLIを軽快に運転していた。
仕事帰り、我が家への道は静かな田舎道。
気をつけなければいけないのは、鹿やシルバードライバー、または免許取りたての高校生ぐらい。
その日も片道一車線の道を、‟小難しい主人と二人だけの晩御飯、何にしよう”とか考えながら運転していたら、突如後ろにガキ二人の乗った真っ赤なスポーツカーがピタッとくっついた。
親に買ってもらったピカピカな車、そんな運転したらダメなんじゃない?と思いました。
‟ちゃんと、法定速度+9マイル/時を守って(?)いるのに”。
私はこういう時は余計に遅くいくことにしています。
そしたら追い越しをかけてきた。
‟あれま!!、もうすぐ上り坂が始まるというのに、あぶな~”。
そして追い越した後、今度は私の前にぴったりくっついて、前をふさぐようにした。
赤の日本車と黒のドイツ車の戦い。
卓球で鍛えた高い運動神経(関係ないか)を持つ道産子、あほなアングロサクソンのガキに負けてたまるか!!
私も追い越しました。
そしたら、そのガキども私の住む10軒ぐらいしか家の建ってない住宅地(こういった集合住宅地をサブディビジョンと呼びます)にまで私を追っかけて入ってきた。
‟家にはまだ(いてもいなくても同じぐらいの役に立たない)主人は帰ってないし、これはやばいことになった”、と思ったけど、考えると‟そうだゲーブルがいる”。
‟家には主人よりは防犯に役立つ、タイヤかじりまくりのゲーブルがいる”。
ゲーブルは女の子なのですが、どういうわけか、母が好きだったクラークゲーブルから名前をいただいた、2歳のオーストラリアンシェパードがいました。
今まで、ゲーブル、スピリット、グレーシー、ハブ、そして現在のジュンタ、キキと、多くのオーストラリアンシェパードを飼っていますが、このゲーブルは牧場から来たため、とびぬけてウルトラ級のハイパーな子でした。
なんせ動くものは車でも子供でも何でも追っかけるという、牧童犬そのもののでした。
一度、友達とその妹が札幌から遊びに来たことがありますが、びっくりしてました。
未だにそのことを話しています。
牧童犬特有の‟にっぴんぐ”と言って、突っつくようにかじるのです。
それを走っている車のタイヤに向かってやるのです。
これはこの種の犬の本能で、大なり小なり、私の飼った犬は全員やりました。
話はそれましたが、家に帰ってすぐにゲーブルを家から出し、近くにやってきた、あの赤い車を差し、‟Gable, Get it” 。
この時とばかり、ゲーブルはその車を追いかけ、タイヤをかじりまくりました。
そして、このガキの運転する車は逃げていきました。
どこまで、ゲーブルが追いかけていったか分かりませんが、しばらくして帰ってきました。
と、35年後の今考えると、若気の至りとは言えども私も恐ろしいことをしていたんだな~。
それ以来、煽り運転を煽ったことはありません。
こういう場合、ぜったいやってはいけないことを二つほどやりました。
1.自宅に帰ってきてはだめ。
そのまま警察に行くべきで、どんな時でも相手に自宅を教えるようなことをしてはだめなのです。
2.やはり、あおり運転をするという段階で、相手は精神異常者と思うべきであって、それを相手にしちゃダメなんです。
以上、私が若気のいたりで、煽り運転を煽った話です。
ハブグレジュンタのマミー