横浜から北海道の山村に移り住んだ、我が家のつぶやき

北海道追分に移り住み5年。今度は追分から恵庭へ。毎日が新鮮で愉しい事だらけ。そんな生活を気まぐれにおしゃべりしています。

2008年2月25日猛吹雪に遭遇。

2011年01月10日 02時14分19秒 | 

今回の吹雪。

2008年2月、1歳4ヶ月の孫を連れ、初めて北海道を訪れた長女一家を思い出す。

 

明日は札幌泊まりで千歳に戻るという日、

「たまには夫婦水入らずもいいんじゃない?」

娘夫婦をそそのかし、まんまと孫を手掌に収め、札幌に送り出したのだった。

家の中は心地よい空気が充満し、孫の寝顔を見つつ幸せな深い眠りに落ちていた。

外は風と雪が暴れ狂っていたのを知る由もなかった。

翌朝、外の様子を見に行った夫。

「すごい雪だ。車は入って来られない、歩くのもやっとだ。どうやって朔を連れ出そう」

大変な事になっていた。

何としても孫を娘夫婦に託さないと・・

 

脱出作戦が決行された。

キョトンとした孫を防寒着で包み、ソリに乗せ引っ張るがスムーズに進まない。夫は孫を抱え込み、後ろには左手に乳母車、右手にはビニールに包んだ孫の荷物を引きずるババが続く。いざ出陣!

通常ルートは背丈ほどの雪の吹き溜まりが出来、通行不能。遠回りだが、畑に続く道しかない。その距離一キロ。雪は容赦なく吹きつけ、足は埋まり、何度となく止まる。孫を吹雪から守るように両手で抱きかかえ、前を進む夫の姿を追いながら後を歩く。

だんだん夫の姿が遠くなる。孫の泣き声が聞こえてくる。

(あと一歩、もう少しで車道に出る。)

しかしそこも雪の吹きだまりだった。帽子が飛ばされた。夫の姿が見えない。兄さんの家にたどり着いたのだろう。

 

「姉さんに朔を預けたから」

夫は見事に脱出させたのだった。

部屋に入るとストーブの前で抱かれている孫の姿があった。

(よかった、よかった~)

朔をぎゅっと抱きしめる。ちっちゃな手と足が冷たかった。

(ごめんね。さ~これからお父さんとお母さんに会いに行こうね。)

 

空港で娘の姿を見つけた孫の顔には大きな笑顔が広がり、ニコニコと近くの人に愛嬌をふりまいている。

娘夫婦もまた、札幌から車での道中、大変な思いで空港にたどり着き、飛行機が離陸したのは予定の3時間後だった。

この日の猛吹雪は北海道観測史上、47年ぶりだったと聞く。

吹雪をみると思い出す、忘れることの出来ないこの日の脱出劇である。



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