山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

背徳の山菜採り

2024年06月03日 | 山菜採り

 雨が上がったぜ、ヤッホー!

 喜んで装備の確認をして出発。 

 目的地は、Y川流域のワラビの広場。

 この場所を(仲間内で)知っているのは、マタギとA氏だけ。

 A氏に連絡するかどうか、ちょっと考えたけど、時間的に無理ですね。

 であれば、善は急げだ。

 とにかく、日が高くなればなるほど、様々なリスクが高まってくる。

 逸る心を鎮めながら安全運転でY川の採り場に向かう。

 目的地に車をとめて身支度を整える。

 この山域の雨は、まだ止んでいないけど、そんなことで心が揺らぐはずもない。

 ここまで来たら、行動あるのみだ。

 速攻で斜面を降りた。

 するとだ、

 ここまで来て初めて、心が揺れ動いてしまったんですよ。

 まずい!

 だって、前回、ほとんど何も生えていなかった広場が、

       ワラビが丘になっていたんです

       これまた、前回は全く見られなかったオオナルコユリです

 あちゃあ~!

 ほぼ、最盛期じゃないですか。

       見渡す限りのワラビ

 何がまずいかって、自分の背徳行為に気付いてしまったんです。

 このワラビを、マタギが独り占めしてしまっていいのだろうか。

 本来なら、A氏と喜びを分かち合うべきものだよな。

 心を揺らしながらも採取を開始。

 広場の半分も当たらないうちに、ハケゴが2回満杯になった。

 ここまでで止めておきましょう。

 あとは帰宅してから、A氏に伝えましょう。

「真っ盛りになってる(『なってた』じゃない)よ。」

ってね。

 やっぱり、抜け駆けみたいな採り方は性に合わないと言うか、スッキリしない。

 帰り道、頭上に目をやると、

       タニウツギが花盛り

 昔、師匠から、「ガザキ(タニウツギのこと)が満開になると、ワラビも盛りになる。」と教えられたけど、正に、その状態ですね。

       こちらはガマズミかな?

 美しい花々に心癒されながら、結構重い荷を背負ってゆっくりと車に戻った。

 帰宅後、A氏に電話を入れて謝ると、

「そんなの気にしなくていい。山なんて、誰がいつ行ってもいいんだから。」

とのお返事。

 なんと心優しいA氏でしょう。

 A氏、ありがとうね。心が軽くなりました。

 そして、山の神様、真っ盛りのワラビのプレゼントをありがとうございました。

 

 帰宅後のワラビの後始末には、採った時間の何倍もかかりました。

 一応、写真を中心に記録を残しておきます。

       ワラビは6kgほど

       一部をアク抜きしたけど、殆どは塩漬けに

       塩漬け用樽のお引越し開始

       大きい方のひと樽をすっかり空けて

       ワラビを積み重ねていったけど(分かる?この高品質)

       樽に入りきらなかった(ここに中蓋と重しを乗せる)ので

 他の桶にも分家して、なんとか落ち着きました。

 我が家にとっては、十分に1年分以上あります。

 返す返すも、欲タガリマタギにならなくてよかった。

 これから、心して料理させていただきます。


スーパーワラビ採りは、スーパー朝仕事

2024年05月28日 | 山菜採り

    早蕨の萌えいずる春になりにけるかも

 

 巷では、とうに、そういう季節が到来しているのだが、マタギのワラビ採りは、ようやく始まる。

 と言うのも、ここ数年通っているワラビ採り場の春が遅いため。

「明日、行ってみね?」

「まだ、ちょっと早いみたいだけど、行ってみるか。」

的な話になり、A氏と出かけることになった。

 この広場、春の訪れは遅いが、とにかく、どこよりも高品質なワラビが採れる。

 謂わば、スーパーワラビ採り場だ。

 この場所をA氏が発見して以来、他の場所のワラビに目がいかなくなってしまったのだ。

 去年よりも、10日ほど早いが、今年の気候なら、もう発生しているかもしれない。

 日の出時刻を目標に出発した。

 急斜面を数十m下って広場に着くと、

       出始めてるじゃない

 この画像だと、暗闇みたいだけれど、ストロボの発光を止めると、

       一応、もう、夜明けです

 この採り場でも、例によって、頭上の山菜タラノメなんかは、すっかり枝葉を広げている。

 足元はというと、コゴミ類はもちろん、ウドも伸びきっている感じ。

 ただ、肝心のワラビは、A氏が言っていたように、まだ出始めという感じだ。

 したがって、伸び切ったシダ類をかき分けながらのワラビ採りになった。

       伸びた草木をかき分けてワラビを採る

 シオデやオオナルコユリも、出ている気配がない。

 今年の山の特徴と言うか、変なところ。

 山菜の種類によって、出る時期が例年と異なるだけでなく、ずれ大きくなっているのはこの地も同じようだ。

 それでも、

       なかなかいいワラビも出ています

 藪の中に入ると、

       これで60cm以上あります

軟やわとした、いいワラビが生えています。

 まだ最盛期ではないから、そんなに大量には採れないけれど、十分です。

       朝日の射し始めた広場をあとにする

「次は、N沢か。」

「タケノコも、早いべねえ。」

「また連絡するから。」

「うん。よろしく。」

 そうして、帰宅したのは、朝の7時。

 通勤ラッシュの始まる前に着いてしまった。スーパー朝仕事ですな。

       出始めだけど、いいワラビです

 ワラビの場合、ここからの下ごしらえが簡単でないから、丁度いいくらいかもしれない。

 ここからワラビの保存とアク抜き作業が始まることになります。

 ああ、こういう短期決戦もいいもんだね。

 収穫もさることながら、いい汗をかくことができました。

 さあ、台所での第二部も頑張りますよ!

 山の神様、本日もありがとうございました。


S川、今年もありがとう

2024年05月26日 | 山菜採り

 1週間空けてのS川入渓である。

 前回、思いがけず大漁になった竹林は、三段構えの地形になっていて、下段から順に成長を始める。

 また、同じ竹林でも外縁部が先で、中心部が後から生えてくる。

 前回が、下段と二段目の外縁を中心に収穫があったから、今回は二段目の中心部と三段目が採り頃になっている予定だ。

 渓に降りると、

       タニウツギが美しい

       フジも花房の下まで花を咲かせています

「今日は、竹林まで直行な。」

などと言っていた本人が、

       やっぱりウドに引き留められてしまいます

       ミズも食べ頃になってきたけど本日は我慢

 途中の竹林は、一応覗いてみたけど、

       先客がいらっしゃるみたいですね

 本命の林も、

       ついさっきまで来訪中だったようです

 我々が鈴を鳴らしながら近づいてきたから、場所を明け渡してくれた模様です。

 それはそれでいいんだけど、タケノコがほとんど見当たりません。

 さすがにクマさんが全部食べてしまったとは思えないので、ここ2~3日の間に人も入ったと考えるべきでしょう。

 ここまで入ってくる人がいるんだ。

 ま、しょうがねえべ。

 一番奥手の(遅れて生え始める)竹林が残っているから、そこで帳尻を合わせましょう。

 そうと決まったら、ターゲットの変更です。

 ここS川は、何と言っても山菜の宝庫です。

 最後の竹林に着く前に、欲しい山菜を戴きましょう。

 まずは、ウルイを調達して(画像なし)、フキももらって帰りましょうか。

       新鮮なフキが採り放題です

       本当に好きなだけ戴きます

 ただ、最後にもう一つの竹林に入るので、無理はしません。

       ここにも先客がいたみたい

 ただ、クマが入っても、人は入っていないようなので、それなりの収穫は、させてもらうことができました。

       このぐらいなら上等!

 OK、満足じゃ。

       最後に残った雪渓からフキノトウ

       今年もたっぷりと楽しませてもらったS川

 山の神様、本当にありがとうございました。

 来年も楽しませてくださいネ。

 山の神様にお礼を告げて渓を離れたら、

       極上のウドが出てる

 これは、山の神様からのお土産かな。

 やっぱり、来年も遊びに来なくっちゃ。

 ありがたく戴いて、S川に別れを告げました。


できるかな?季節の巻き戻し

2024年05月23日 | 山菜採り

 現在、マタギの山菜採りは絶好調。

 この時期としては、過去最高と言ってよい月山筍やウドの収穫を楽しむことができている。

 だったら、それでいいじゃんと言いたいところなのだが、心残りが一つ。

 それは、あまりにも早く春が過ぎ去ってしまったこと。

 あまりにも早すぎて、春山菜の旬があっという間に通り過ぎてしまったのだ。

 この時期、色々な山菜が次から次へと顔を出すのだが、それに遅れまいと山菜の生育状況に応じて採り場を変えながら対応していく。

 しかし、遺恨を残してしまった山菜がコシアブラ

 いい採り場があって、ここ数年、高品質のものを安定して収穫してきたのだが、今シーズンは季節の進みを見誤って、採り損なってしまったのだ。

 コシアブラは既に、固く大きくなって、たわわに茂っている。

 なんとかならないかと考えているうちに、思いついた。

 春山に行けば、採れるはずだよ!

 うん、決めた。

 次の休みは、春山に出掛けましょう!

 考えてみれば当たり前のことなんだけど、秋や冬は高いところから降りてきて、春や夏は低いところから登っていくんですよ。

 だったら、まだ夏が登りついていない高い場所に行けばいいのだ。

 地図を見て、今、山菜採りを楽しんでいるS川よりも海抜の高い場所を探す。

 で、500mほど高いO川の採り場に行ってみることにした。

 夏になってから何度か入ったことがあるんだけど、この時期に入るのは初めて。

 でも、今年の天候なら、丁度いいような気がする。

 ダメならば、それで構わない。

 行けば何かが掴めるはずだと考えて出発することにした。

 そして、辿り着くと、

       新緑の足元は雪の中

       雪の割れ目を沢水が流れる

       水芭蕉が花盛りですね

 間違いなく、春だぜ。そして、山菜も、

       赤コゴミが丁度

       コシアブラは出始めと

       採り頃とが混在してます

 ついでに、

       森の主も目覚めたようですね

 主さんのテリトリーは、なんとなく分かったので、そちらには深入りしないで、こちらの探索を楽しみましょう。

       雪の消え際からは顔を出したばかりのフキノトウ

       コブシが花盛りみたいです

       カタクリと土筆じゃないの

 いやあ、ここは間違いなく、まだ春です。

 おかげ様で、願ってやまなかった春の山菜たちに、再び出会うことができました。

 山の神様、こんな素晴らしい出会いを用意して下さり、ありがとうございました。

 おかげ様で、至福のひと時を過ごすことができました。

 

 ちょっと気が重かったんだけど、神様からのプレゼントを携えて、また、夏のような暑さの下界に帰ることにしました。


心晴れ晴れ、ありがとう山の神様!

2024年05月19日 | 山菜採り

 「ゴメン。」

「ん?何したの?」

「実はよう、・・・」

 本日は、向かいのM氏と山菜採り。

 目的地はS川下流の山菜採り場。

 10日前に入ったときは、頭上の山菜が適期を過ぎていたものの、足元の山菜は、特にタケノコの生育が遅く、本命と考えていた上流の竹林までは行かず、途中で引き返していた。

 で、10日経った本日は、いよいよ、この川で最大の採り場である竹林に入ろうと考えていた。

 ところがだ、3日前にA氏と上流部を探索して下っているうちに、いつの間にかこの林に着いていたんですよ。

 おお、なかなかいい竹林じゃないの。と思ってタケノコを採り始めて、暫くしてからようやく気付いた。

 ええ~!?ここまで来ちゃってたの?という感じ。

 3日後に再訪することは分かっている。

 しかし、目の前には食べ頃のタケノコが並んでいる。

 ここは、”採り”ですね。

 せっかくの食べ頃の山菜を置いて帰るわけにはいかない。

 3日後には3日後の風が吹くさ。

 ・・・

 で、今、その林をめざして車を走らせているってわけだ。

 もし、何も採れなかったら、それはマタギのせい。

 このことをM氏に伝えるべきか。

 ちょっと考えたんだけど、こういう精神衛生上よろしくない事実は、包み隠さず喋った方が良い

 ということで、冒頭の会話になるわけなんです。

「何?上から入って、あの林まで行ったのが。帰り、大変だっけべ。」

「うん。そんで、一昨日雨降って昨日晴れたから新しいタケノコ伸びてっと思うんだけど、採れなかったらゴメン。」

「大丈夫だ。あそこなら、必ず何か採れっから。」

ということで、蟠りが一つ消えた。

ああ~、良かった!

隠し事がないということは、こんなにも心を軽くしてくれるのだ。

 本日は、もう一つの蟠りを解消することも大きな目標だ。

 思いを胸に秘めて渓底に降り立つ。

       フジの花のお出迎え

       いつもながらの美しさ

 ホウの花も咲いていないかなと思って探したが、見当たらない。

 代わりにホウの葉先が茶色く縮れているのは、遅霜のせいかもしれない。

 左岸側で唯一残っていた雪渓も消えている。そこからは、

       やっぱり

       出てくるんだよね

       貰っちゃった

       M氏はウラ折りもしてるから

 一気にリュックが重くなります。

 そんでもって、いよいよ懸案事項のその二です。

 かつて採り過ぎたために、痩せてきたので、3年間休ませた斜面に入ってみます。

       この土崖がいいウドを育てる

       ああ、いいウドだ

「やっぱりいいウド出るねえ。」

「うん。最高級だ。」

休ませてきた甲斐があったというものだぜ。

ただ、困ったことに、タケノコを取る前にリュックが重たくなってきた。

       こちらは2年間休ませているコゴミのジャングル

 ここのコゴミも、来年は解禁ですね。

 こんな風に山菜の育ち具合を確かめながら本命の竹林に向かう。

 そして、・・・

       ムシカリが花盛りを迎えようとしている

       タニウツギが咲き始めました

       ああ、何と美しい緑と空

       本日のウドと

       タケノコです

 ウドについては、ある程度予想もしていたし、期待していた通りでした。

 驚いたのはタケノコの方で、3日でこんなに伸びるのか!?という気持ち。

 『雨後のタケノコ』という言葉も、その信憑性の高さも知っているつもりだったんだけど、まさかこれほどとは思わなかった。

 多分だけど、長く続いた高温と乾燥状態でウズウズしていたタケノコたちが、今回のまとまった雨で、一気に成長を始めたんだと思います。

 山の神様は勿論、天気の神様に感謝です。

 ありがとうございました。

 これは、仲間と声を掛け合いながらウド斜面を休ませてきたことと、正直に自分のフライングを報告できたことに対するご褒美かな?

 さあ、これだけの大収穫。 ここから忙しくなるぞ!