山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

N沢筍採り修行Ⅱ

2024年06月17日 | 山菜採り

 本日はN沢での筍採り、2回目である。

1回目が筍の出始め。

それから1週間ほど経っているから、そろそろ最盛期に入る頃。

今回の筍採りもワクワクだ。

 そして、ドキドキも小さくない。

前回感じた右膝の違和感が心配で、専門の方に聴いたり情報を集めてみたりした結果、サポーターで膝を保護して、どうなるか様子を見ることにした。

 装着して2日で痛みが消えたので、外して行動してみるとすっかり違和感がなくなっていて、走ってみたり、大きな段差の上り下りをしてみたりしても問題なし。

 これなら何とかなるかもしれない。

まあ、無理をしないでという前提条件が付きますね。

 それでは、出発!

 今回もA氏と一緒です。

 検問所では、

「裏の山で熊のニュースが出たら、途端に来る人少なくなったのお。ようやく昨日あたりから増え始めたけんど、まだまだ(筍採りの人は)少ないのお。」

だそうだ。

 確かに、車止めには20台ほど。この時期としては、すごく少ない。

 午前3時半。まだ、少々暗いのだが、今回は二人ともヘッドランプを持っているので、闇の中を出発した。

        最初の休み場に着いた頃、空も明るくなってきた

 途中で、山形在住という親父さんと一緒になった。

こういう場面では、お互いのペースを見極めて、どちらが先に行くのか決めるのだが、今回の場合、どうも、大差がない感じ。

 だとすると、同行ですね。

 この同行が、意外と楽しい。

 山の現状について情報交換したり、過去の経験がもとになって話が盛り上がったりする。

 今回は、渓流釣り談議が楽しかった。

 そんなに年齢が違うわけではないから、殆どは『昔話』が中心になるんだけど、お互いの心に残っている源流の記憶が、かなりの割合で重なるんです。

 こういう昔話をしているうちに、

       渡渉点を過ぎて

       急坂を超えて

 2番目の休憩所に辿りつきました。

 ここで親父さんとはお別れ。

 親父さんは、奥の平をめざすそうだが、我々は沢を登って前回の採り場に向かう。

       スノーブリッジがほとんど消えた沢

 ほとんど夏と言ってよい渓流をのんびり登っていくと、

        大きなスノーブリッジが沢を覆っている

 もう少しで採り場だ。

 沢を離れて目的の笹薮をめざす。

       おお、出てますね

       でも、ちょっと伸び加減かな?

       まあ、このぐらいなら上等よ

 1時間少々かな。

 笹薮を上に下に右に左に移動しながら採ってみて分かったこと。

 タケノコは、この広い笹薮全体に満遍なく出ているということ。

 採ったタケノコをハケゴへ。ハケゴが重たくなったらリュックへと移動を繰り返していくうちに、ウルトラマタギのカラータイマーが点滅を始めました。

 まずい!

 このままだと帰れなくなる。

「お~い。あと降りるじゃあ。」

「OK!」

 気がついたら、かなりの高さまで登っていることが分かったんだけど、もう後の祭りです。

 既に重たくなっているリュックに、身体のバランスが奪われます。慎重に急斜面を下るしかありません。

 それなのにだなあ。降りていく手元足元に、すごく上等なタケノコが出ているんですよ。

 これを採らないわけにはいかないでしょう。

 ここからは、泥沼状態になってしまいました。

 そうして、無事に採り場の入り口に戻ったときには、ホッとしました。

       何とか帰ってきたぜ

       朝日が渓底まで届き始めました

 ここからは、主に下り基調になるんだけど、

       ああ、坂道まで辿り着いた

       ああ、リュウキンカが笑っている

       ああ、最初の休み場はタニウツギの盛りだ

 今回は、ひざの痛みではなくて、背負っている荷物に振られる身体をかばいながら、なんとか車に戻ることができました。

 ほんっとうに嬉しいですね。無事に帰り着くことができたのって。

 この山業は、レジャーなのか?それとも、修行なのか?

 正直なところ、その両方ですね。

 類まれなる高品質筍を収穫する喜びは、何物にも代えがたい。

 一方で、こんなにきつい山遊びなんだけど、それを求めている自分がいるんです。

 この二つの欲求をかなえてくれるN沢の山の神様、ありがとうございました。

 もう1回ぐらい遊ばせてもらえますか?


ワクワクドキドキ!N沢筍採り

2024年06月10日 | 山菜採り

 「ところで、何時ごろ出発する?」

「まだ、そんなに人も多くないから,ちょっとゆっくりで(午前)2時過ぎぐらいか。」

「OK、じゃあ、よろしく。」

 いよいよ今年初、N沢でのタケノコ採りになる。

 この沢への入渓では、同行者がA氏になる。

 何度か紹介しているが、ここでの山菜採りは、山菜採りの技術よりも、行って帰るための体力がものを言う世界だ。

 とにかく行程が長い。

 しかも、高低差も大きい。

 さらに加えて、タケノコが採れた時の荷物の重さに耐えなければならない。

 今年は、この難業に耐えられるか、ドキドキする。

 一方で、その苦労の先に待っている月山筍はどんな具合か。ワクワクもするのだ。

 この難業に耐えられる体力を持ち、渓の状況についてもよく知っているA氏は、とても頼りになるパートナーだ。

 検問所で入山料を払い、今日の様子を尋ねる。

「少ないのお。駐車場の真ん中に停められるさげの。」

 最盛期になると、とんでもない数の山師が集う採り場だが、まだ少し早いようだ。

 確かに、駐車場にある車は十数台。

 可愛いものだ。

 身支度を整えているうちに少し明るくなってきたので出発する。

「とにかく、マイペースな。早い時、声掛けるべ。」

「OK」

 逆に言うと、オーバーペースが怖いのだ。

 複数で行動するときはもちろん、この山域のように、前後に別の集団が入っている場合には、特に注意が必要だと思う。ペースが乱れやすいのだ。

 自分の体力に合ったペースで歩くことが、こういう長丁場の山菜採りでは必須なのだ。

 歩き始めてから40分強、N沢の渡渉点に辿りつく。

       沢の流れが見える

 この時期にしては早い方だろう。スノーブリッジが崩れ落ちてしまっている。

       この雪上の汚れ通りに歩いてはいけない

 この状態になってしまうと、雪渓の状態が日に日に変化していくので、安全な場所を自分の目でしっかり確認してから渡らなければならない。

 1時間弱で『小屋跡』と呼ばれる休憩スポットに着いた。

       きれいな清水

 ここには、澄んだ清水が流れているので、水分の補給にはもってこい。

 そして、

       雪の量は少なめ

 山の様子も、ある程度把握できる。

       食べ頃のコシアブラが出てるけど採りません

 一息入れたら、いよいよ道中の後半戦。

 海抜高度を上げるにつれて雪が増えてきました。

       この辺まで来ると歩きやすい

 さて、そろそろですかね。竹林に潜り込む。

       おおっ、出てるじゃないの!

       かなりの高品質ですよ!

       さすがはN沢

 ハケゴが満杯というわけだはないのだが、重たくなって身体が振られるようになってきた。

 2回ほどリュックに詰め替えをしたところで、

「結構採れたね。」

「どうする?」

「上は、出てないみたいだから終わりにするか。」

「あいよ。」

       沢に降りると眩しい日差し

       この辺りはフキノトウが出始め(採りません)

       ミズバショウとリュウキンカも眩しい

 帰り道、下り基調だから楽なはずなのに、スピードが出せない。

 荷物の重さに、体のバランスが保てないのだ。

 というか、それに加えて、右膝に若干の違和感を覚える。

 ここは、慎重に行くべきだろう。

       遥かに庄内平野。ここを下り切れば少し安心

       ムラサキヤシオも間もなく花時を終えそう

       木漏れ日とセミの合唱の中を下る

 午前9時前、無事に駐車場に戻ることができた。

 ああ、よかった。

 そして、楽しかった。

 ドキドキはすっかり治まり、その代わりに喜びでいっぱいだ。

 山の神様、沢山のお山の恵みをいただきました。そして、今回も無事に戻ることができました。

 ありがとうございます。


すっかり夏山菜の季節です

2024年06月04日 | 山菜採り

 昨日、ワラビをたっぷり採ってきたのに、今朝も山菜採りに出かける。

 こちらは、以前から予約の入っていた山菜採り。M氏と一緒だ。

 ただ、行き先がS川。

「S川よさらば!」みたいなことを語った舌の根も乾かぬうちに、また出かけることにしたのには、それなりの訳がある。

 一つ目が、S川上流部の右岸の様子が気になっていたこと。

 この方面には何度も出向いているのだが、右岸側の山菜の出が悪い。

 理由を考え、調べた結果、北斜面だからという結論に達した。

 日当たりが悪ければ温度が上がらず、雪消えも遅れるから山菜の発生が遅れるのは仕方がないこと。

 しかし、竹林そのものは立派なんですよ。

 だったら左岸よりは遅れても、いいタケノコが芽吹くはずだ。

 そのことを確かめたかったんです。

 そして、もう一つが、まだ、ミズを全く採っていなかったこと。

 夏の山菜の代表と言ってよいミズ(ウワバミソウ)なんだけど、タケノコシーズンになると、どうしても「この次でいいや」という気持ちになってしまうんです。

 だって、タケノコは待ってくれないけれど、ミズは1か月でも2か月でもマタギたちを待っていてくれるんだもの。

 ま、言い訳はさておいて、新鮮なミズを採りたくなった。そして、食べたくなったってことです。

 20日ぶりに入ってみたS川上流部は、

       意外と藪が茂っていなかった。沢の水量も減っていない

       斜面の雪は、ほぼなくなって、緑に包まれてます

       雪が消えると新たな発生も。勿論、いただきます

 この川は、上流でも下流でも高品質のウドが採れます。

 タケノコは、

       このぐらいなら上等!

 さすがに伸び加減のものが多いけど、十分に美味しいはずです。

 右岸を中心に探りながら下っていくと、いつしか前回の終了地点である『三段のタケノコ畑』に着いてしまった。

 ここでは、結構丁寧に探ってみたけれど、収穫は僅か。

「今年は、今度こそこれで終わりだな。」

「うん。また来年ということだ。」

 引き返すことにする。

 タケノコを諦めると、ようやく他の山菜に心が傾き始める。

       ミズは、その名の通り瑞々しい状態

       もう花を咲かせているものも少なくない

       群生しているし、丈が長いので、すぐにハケゴが溢れるのでリュックに移す

 必要分を採ったら、

       フキも欲しい分だけ戴く

 我が家では、塩漬けスペースがなくなったので、今週食べる分だけ戴きました。

 間もなく、

       渓底まで日差しが降り始めた

「下流が真東。と言うことは、やっぱり右岸が北(向き)斜面だ。」

「山菜も、ちゃんと太陽の言うこと聞いて出てくるもんなんだな。」

 太陽の力が改めて実感できた感じ。

 それにしても、

       なんという眩しさ

       なんという鮮やかさ

 真夏の訪れを前にした爽やかな初夏の日差しに心癒されながら、入渓地点に向かう。

 山の神様、また来てしまったのに、嫌な顔もせず、嬉しいお土産をありがとうございました。

 今度こそ、また来年まで、さようなら。


背徳の山菜採り

2024年06月03日 | 山菜採り

 雨が上がったぜ、ヤッホー!

 喜んで装備の確認をして出発。 

 目的地は、Y川流域のワラビの広場。

 この場所を(仲間内で)知っているのは、マタギとA氏だけ。

 A氏に連絡するかどうか、ちょっと考えたけど、時間的に無理ですね。

 であれば、善は急げだ。

 とにかく、日が高くなればなるほど、様々なリスクが高まってくる。

 逸る心を鎮めながら安全運転でY川の採り場に向かう。

 目的地に車をとめて身支度を整える。

 この山域の雨は、まだ止んでいないけど、そんなことで心が揺らぐはずもない。

 ここまで来たら、行動あるのみだ。

 速攻で斜面を降りた。

 するとだ、

 ここまで来て初めて、心が揺れ動いてしまったんですよ。

 まずい!

 だって、前回、ほとんど何も生えていなかった広場が、

       ワラビが丘になっていたんです

       これまた、前回は全く見られなかったオオナルコユリです

 あちゃあ~!

 ほぼ、最盛期じゃないですか。

       見渡す限りのワラビ

 何がまずいかって、自分の背徳行為に気付いてしまったんです。

 このワラビを、マタギが独り占めしてしまっていいのだろうか。

 本来なら、A氏と喜びを分かち合うべきものだよな。

 心を揺らしながらも採取を開始。

 広場の半分も当たらないうちに、ハケゴが2回満杯になった。

 ここまでで止めておきましょう。

 あとは帰宅してから、A氏に伝えましょう。

「真っ盛りになってる(『なってた』じゃない)よ。」

ってね。

 やっぱり、抜け駆けみたいな採り方は性に合わないと言うか、スッキリしない。

 帰り道、頭上に目をやると、

       タニウツギが花盛り

 昔、師匠から、「ガザキ(タニウツギのこと)が満開になると、ワラビも盛りになる。」と教えられたけど、正に、その状態ですね。

       こちらはガマズミかな?

 美しい花々に心癒されながら、結構重い荷を背負ってゆっくりと車に戻った。

 帰宅後、A氏に電話を入れて謝ると、

「そんなの気にしなくていい。山なんて、誰がいつ行ってもいいんだから。」

とのお返事。

 なんと心優しいA氏でしょう。

 A氏、ありがとうね。心が軽くなりました。

 そして、山の神様、真っ盛りのワラビのプレゼントをありがとうございました。

 

 帰宅後のワラビの後始末には、採った時間の何倍もかかりました。

 一応、写真を中心に記録を残しておきます。

       ワラビは6kgほど

       一部をアク抜きしたけど、殆どは塩漬けに

       塩漬け用樽のお引越し開始

       大きい方のひと樽をすっかり空けて

       ワラビを積み重ねていったけど(分かる?この高品質)

       樽に入りきらなかった(ここに中蓋と重しを乗せる)ので

 他の桶にも分家して、なんとか落ち着きました。

 我が家にとっては、十分に1年分以上あります。

 返す返すも、欲タガリマタギにならなくてよかった。

 これから、心して料理させていただきます。


スーパーワラビ採りは、スーパー朝仕事

2024年05月28日 | 山菜採り

    早蕨の萌えいずる春になりにけるかも

 

 巷では、とうに、そういう季節が到来しているのだが、マタギのワラビ採りは、ようやく始まる。

 と言うのも、ここ数年通っているワラビ採り場の春が遅いため。

「明日、行ってみね?」

「まだ、ちょっと早いみたいだけど、行ってみるか。」

的な話になり、A氏と出かけることになった。

 この広場、春の訪れは遅いが、とにかく、どこよりも高品質なワラビが採れる。

 謂わば、スーパーワラビ採り場だ。

 この場所をA氏が発見して以来、他の場所のワラビに目がいかなくなってしまったのだ。

 去年よりも、10日ほど早いが、今年の気候なら、もう発生しているかもしれない。

 日の出時刻を目標に出発した。

 急斜面を数十m下って広場に着くと、

       出始めてるじゃない

 この画像だと、暗闇みたいだけれど、ストロボの発光を止めると、

       一応、もう、夜明けです

 この採り場でも、例によって、頭上の山菜タラノメなんかは、すっかり枝葉を広げている。

 足元はというと、コゴミ類はもちろん、ウドも伸びきっている感じ。

 ただ、肝心のワラビは、A氏が言っていたように、まだ出始めという感じだ。

 したがって、伸び切ったシダ類をかき分けながらのワラビ採りになった。

       伸びた草木をかき分けてワラビを採る

 シオデやオオナルコユリも、出ている気配がない。

 今年の山の特徴と言うか、変なところ。

 山菜の種類によって、出る時期が例年と異なるだけでなく、ずれ大きくなっているのはこの地も同じようだ。

 それでも、

       なかなかいいワラビも出ています

 藪の中に入ると、

       これで60cm以上あります

軟やわとした、いいワラビが生えています。

 まだ最盛期ではないから、そんなに大量には採れないけれど、十分です。

       朝日の射し始めた広場をあとにする

「次は、N沢か。」

「タケノコも、早いべねえ。」

「また連絡するから。」

「うん。よろしく。」

 そうして、帰宅したのは、朝の7時。

 通勤ラッシュの始まる前に着いてしまった。スーパー朝仕事ですな。

       出始めだけど、いいワラビです

 ワラビの場合、ここからの下ごしらえが簡単でないから、丁度いいくらいかもしれない。

 ここからワラビの保存とアク抜き作業が始まることになります。

 ああ、こういう短期決戦もいいもんだね。

 収穫もさることながら、いい汗をかくことができました。

 さあ、台所での第二部も頑張りますよ!

 山の神様、本日もありがとうございました。