・・・では、これから朝まで3時間インタビューさせていただきます
・・・八田さんは結局いったい何をしたいわけですか、世界征服とかそういうことですか
「いや、たいしたことじゃないんですよ。簡単に言うと『世界に愚痴を言わない人生を送りたい』とかですよ」
・・・簡単に言わずにそこのところ詳しくおうかがいできますか
「そうですね、もし、自分が変態で不良でチビでデブだとしますよね、それで、自分は変態で不良でチビでデブだから、こんなみじめな人生を送っているとか、そういうふうには思いたくないんですよ」
・・・ではなんですか、貧乏でも幸福だと。金があればなんでもできますよ
「そこには触れるな、金があればいいに決まってるだろが。すみませんちょっと取り乱してしまいました」
・・・ようするに死ぬときに後悔したくないってやつですか。でも死ぬときは後悔するヒマなんてたぶんないですよ
「それはわかってるんですけどね、まあ、なんというか心構えみたいなもんですかね」
・・・それはそうと外から三線の音が聞こえてきますね
「そうですよね、三線は沖縄の常識と思ってましたけど、今、深夜じゃないですか、こりゃ沖縄の非常識ですね」
・・・バイクもうるさいですね
「そうですね、なんか20年前の暴走族のバイクのエンジン音みたいですね」
・・・で、その、あれはなんでしたか
「何がしたいかですか、とりあえず『隠居』ですかねえ。21世紀になっても結局、人間て馬鹿なままじゃないですか、沖縄にオスプレイも飛ぶし、原発事故なんて永久に処理できないだろうし、それでもずーっと同じことを繰り返すわけですよ。じゃ馬鹿な事をするくらいなら、何もしなくてもいいんじゃないかってね」
・・・てめえ、何もしない事が一番馬鹿なことなんじゃねえか
「そうなんですけど、馬鹿な事をするより、隠居のほうがちょっとマシかなと。サッカーの中田が早くに引退したみたいなもんですよ」
・・・きさま、中田と自分とを一緒にしてるのか
「いっ、いや、例えが間違ってました。この前見た映画の中で、地下室で老人がチューブにつながれて夢の中に生きてるって場面があったんですけど、そっちのほうが近いですね、なんか、夢の中の30分は現実の3分とか言ってましたよ。それにその老人達は『現実』に戻るために夢見てるんだとかいってましたよ」
・・・でも本当に現実に戻る時はどうするんですか
「歩いて近所のローソンにオリオンビールを買いに行くんですよ。すると風が心地良くて、これは現実だなって思うんですよ。飲みすぎてまたすぐ夢の中に戻ってしまいますけどね」