「こんな暑すぎたり寒かったりするところに住んでられるかっ
昨日の夜は熱中症で死にかけとったのに、今夜は毛布がいるのか
昨日は夜中にアイスコーヒー買いに行ったのに、今日はホットコーヒーや」
八田二郎は久しぶりにチャブ台をひっくり返そうと思ったが
食事ののっていないチャブ台をひっくり返しても楽しくないのでやめた
「やっぱ、住むならコートダジュールや、フランスパンとワインや」
八田二郎は喉につまりかけたサーターアンダーギーを泡盛で流し込みながら、そう考えた
「しかし天気がいい日より台風の日のほうが過ごしやすいて、どういうこっちゃ」
八田二郎は目覚まし時計の温度計で室温27.5度を確認するとパンツをはいた
上着はTシャツしかないのでTシャツの二枚重ねにした
人間は欠陥商品だとつくづく思った
欠陥商品なのに返品もできない
100円拾ったら200円欲しくなり、人の言葉には、いちいち反論を考える
コートダジュールに住んだら、今度はコートダジュールに不満を持つに決まっている
暑さ寒さも極楽までの間でしかないのだ
暑さ寒さを感じられるのはなんと贅沢なことなのだろう
八田二郎はそう考えながら泡盛の瓶を空にして今日も眠りにつくのであった