ポールシフト時の月下においてアストラル体を通じてのアケーシア霊魂との対話
(意味錯乱)
タケノコの皮に刻まれていたアカーシャレコードを1枚ずつ読み解いていくと、
最後に中からホタルイカが出てきた。
「この世のすべてのものは一つもののが多様化した幻なのだ」
ホタルイカはそう言って青く発光するとオタマジャクシに変身した。
「おまえの本当の姿はあの黒いオオガラスなんだよ。
おまえの目の前の世界は、バーチャルリアリティじゃなくて、
バーチャルバーチャリティだ。現実もまた幻の一種だからな」
あたり一面に生えたサンショウの香りにめまいがしてきた八田一郎は、
思わず叫んだ。
「こ、これが今日のおばんざいの『ホタルイカとタケノコの木の芽あえ』かーー」
http://cookpad.com/recipe/3783554
木の芽時の生暖かい空気は、着実に、八田一郎の脳みそを乳酸発酵させていた。
春が来て、夏が来て、また冬が来て、いったいいつまで世界は続くのだ。
この地球という世界が実は永遠に続く極楽そのものなのかとも疑い始めていた。
この日の出来事は、やがて八田一郎自身がアンドロイドであると気づくきっかけとなった。
世界中の人類は、夏至の日にポールシフトが起こることなど知る由もなかった。