Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

平成三陸大津波2011/04/13【復興とともに三陸沿岸の総合的管理の充実を!】

2011-04-13 | 里海探偵団

K財団 理事 T様

お見舞いのお言葉大変ありがとうございます。何とか命だけは助かりましが,多くの方々がお亡くなりになりました。被災された方を思うと本当に悲哀でいっぱいになります。早期の復興を願っております。

さて,沿岸域の総合的管理ですが,復興計画はおそらく地元が立ち上げた復興計画本部が中心となり話が進んでいくものと思います。岩手県沿岸13市町村は,第一に水産業の振興を掲げております。
http://www.iwanichi.co.jp/ken/item_23461.html(岩手日日新聞社2011/04/12)岩手県の復興委員会は岩手大学の学長が選出されました。地元の大学として期待されます。ただ,水産業に関する専門家の方が居らっしゃらないので,うまく専門家を繋げたいところです。

水産業の振興と言いましても,加工業,養殖業,漁業など様々です。また市町村によっても,地先によっても漁業形態が異なります。例えば同じ宮古でも,90%以上が漁民である重茂漁業協同組合のある重茂地区や一般市民が多い宮古漁業協同組合のある都市部では海との関わり方に違いが見られます。

総合的管理は,漁業者のみならず,遊漁者などの市民とそして管理者調整役としての行政という構図になるかと思いますが,現時点では震災以前の状態に戻すことが重要なのかもしれません。

そうはいっても,問題があるわけではありません。私の方で考えているICM(沿岸域の総合的管理)の取り組みの一つは,サケの遡上です。毎年,数百尾のサケが河口域の網を破って山口川に遡上します。川に遡上したサケは誰人も触ることができません。市民活動として何かできないかと,県の水産部に相談すると法律上捕獲はできない。サケの産業を守られなくてはいけない。余計なことは避けて欲しい,との指導を受けました。漁業者も,行政も,海由来のものは特定の既得権が優先されています。こうした具体的な事例を解決していくことで,里海やICMの概念に当てはまっていくかと思いますが,法的な問題があり現実的ではありません。志摩市のように休耕田に海水を戻しシジミの生産を市民と共に行うという事例に近づくには相当な労力が必要です。

しかし,三陸の海は山の恵みで成り立っている漁場です。海と山をつなぐ接点としての川の重要性をもっと認識する市民活動が必要と思い,現在「さんりくESD 閉伊川大学校」を設置して市民活動として取り組んでおります。三陸地域のICMには山と海とのインターアクションをどう進めるべきか,という観点のアプローチが必要かと思います。

また,A先生にも,三陸は入り組んだ湾が数多くありこれらの湾と湾とのつながりという観点からのICMの発想は面白いのではないか,と1月にお会いしたときにアドバイスを頂いております。具体的にはこれからなのでしょうが,地元水産業の復興という個別アプローチは現場にまかせることにして,山川海の一体化,リアス式海岸の湾のつながりというインターアクションに関する提言は,これからの三陸地域にとって必要不可欠であると考えます。

まとまりのない文章となりましたが,どうかご笑覧いただければ幸いです。

Sより