遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

またも日本人!

2010-10-01 20:43:11 | BIONEWS
日本人が「交通計画賞」=独創研究のイグ・ノーベル賞(時事通信) - goo ニュース
公立はこだて未来大の中垣俊之教授のグループが受賞した。2008年にも粘菌に迷路の最短経路を見つける能力があるという研究で受賞したので、これが2発目!! 効率的な鉄道網モデルを作る今回の実験はすでにずいぶん前にテレビのニュースで紹介されたので覚えてる人は多いと思う。覚えてるよね?!
まあ、そんなわけで、楽しくて独創的なオモシロ研究をやらせれば日本人は世界有数の民族なのだ。もうこれは威張っていいと思う。こういうことに人生や生活をかけて取り組めちゃうところが、日本人が他と違うところなのだ。科学技術では遠回りのように思えるかもしれないが、イノベーションが生まれる土壌というのはこういう環境で出来るもんだ。頭が良くて手先が器用でまじめに一生懸命物事に取り組めるという人はどの国にもいるもんだけども、日本人はけっこう利益がなくても『好き』とか『面白い』とかいう理由でやってしまうし、社会がそういう人の存在を許容している・・・
・・・・はずなんだよ。最近はそうでもないけどねぇ。

iPS細胞の画期的作製法、米ハーバード大開発(読売新聞) - goo ニュース
ちょっとまじめなニュースも拾っておきましょう。iPS細胞をウィルスベクターに乗せた遺伝子で作ると癌化のリスクが拭えない。そんなわけで、導入する遺伝子のRNAを作って、それを人為的に細胞にぶち込めばいいじゃんという・・・・そんなに画期的なんかなぁ? 最近はRNAを合成して細胞に導入するなんて技術は珍しくないんよ。もちろん、最初にやって結果を出すことがとっても大事なんでそれはそれでいいんですけど。
アメリカってとこは、のほほんとした研究をする土壌もあるにはあるんですが、「この研究が金になるっ」となったら世界中から人と資金が集まってどやどやどやどやっと研究が進んでってしまう。ノーベル生理医学賞の日本人受賞者がまだ利根川先生しかいないのは、生命科学の研究の世界が純粋に『科学』だけで進んでいるわけではないからだと思います。背景で動いている金と組織と権威がそれを許さないとこっちになかなか回ってこないんじゃないかなぁ。

本日のお酒:獅子の里 純米吟醸 ひやおろし
コメント
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