遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

龍馬の物語

2010-11-28 23:32:36 | たわごと
NHK大河ドラマ龍馬伝が終わりました。近江屋での龍馬と中岡慎太郎の暗殺が最後となりました。本当の龍馬の物語は少なくとも江戸城無血開城までやらないといけないと思います。西郷と勝がギリギリのタイミングでそれを決めることが出来たのは、龍馬の存在無しにありえなかったでしょう。それなしに19世紀最大の都市江戸は戦火に覆われ、フランスと英国の代理戦争が薩長と徳川家で繰り広げられ、日本はグダグダの内戦状態に陥ったかもしれません。もちろん、西南戦争のような不平士族の反乱は明治の世にありましたが、他国の干渉を避けることが出来たのはまがいなりにも独立国家の定をなしていたからです。龍馬は命をかけて日本の国体を守ったといっていいでしょう。
彼が近江屋で暗殺されていなければ、次のドラマ『坂の上の雲』にも彼は登場して、日本海軍の創設者として秋山弟を鍛えていたかもしれませんね。ひとつ残念なのは、山内容堂も勝麟太郎も龍馬が活躍した頃はあんなヨボヨボのじいさんではなく30~40代だったはずです。今考えると、すごく若い世代があの時代を動かしていたのです。

明治維新は薩摩と長州が圧倒的に中心を占めているのですが、土佐の若者達の身を捨てた働きがなければ今のような民主主義が定着することはなかったと思います。上士と郷士の二重構造があったこともありますが、土佐人はそもそもそれぞれがバラバラに自分の意志に従って考え動きます。漁師や商人の才覚として時勢を読み取る力が殿様から下士に至るまで備わっていました。鉄の結束で藩中心に組織的に動く薩摩、長州、そして、徳川家に対しても先入観を排して見据えることができたのは、現実主義的で冷徹な土佐っぽのものの見方が反映されています。それが幕末の世をまとめる力になったのでしょう。
龍馬だけでなく、幕末の土佐には山内容堂、岩崎弥太郎、武市半平太、岡田以蔵、中岡慎太郎、後藤象二郎、板垣(乾)退助、饅頭屋長次郎、ジョン万次郎・・大河ドラマの主役を張れそうなキャラクターがいっぱいいます。龍馬の輝きがまぶしすぎるために彼らが霞んでしまうのです。まあ、NHKで放送できない連中も多いのですが・・・。(笑)

龍馬が目指したのは、おそらく米国の大統領制のようなものだったでしょう。ドラマでも彼が○○○で示した新政府の統領が誰なのか問題にされていましたが、彼は新しいリーダーは自由な入札、つまり・・・選挙で選ばれるべきとホンキで考えていたと予想します。そして、新政府のメンバーに彼自身の名前がなかったのは、さっさとこの島国を出て自由に世界を飛び回るつもりだったのでしょう。彼は四国という小さな島の出身で、南国育ちのために自分が恨まれたり憎まれたりすることにあまりリアリティを持って考えることが出来なかったはずです。現代でも九州や四国出身の人にそのような恐れを知らないキャラを感じることがあります。時代を変革する力は、自分を信ずる力を持った人々に宿ります。雪国の村社会で育った人には無理です。

このドラマを見る時はいつもとびきりの日本酒を用意してました。今夜は播州の酒です。『龍力』という酒を龍の名にちなんで選びました。土佐の銘酒司牡丹の『船中八策』は北陸で手に入なかったんです。

上の写真は高知県高岡郡津野町の山々の稜線。旧葉山村の僕の実家から見える風景です。この山を越えて龍馬は土佐藩を脱藩しました。

本日のお酒:龍力 純米吟醸
コメント (6)
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