遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

本日の大勝ち組~

2015-09-09 23:18:46 | BIONEWS
今朝起きると、風は強めでしたが雨はしっかり降ってました。昨夜書いた通り、職場に傘置いてきちまったんで、今朝は傘ありませーん。覚悟決めて駐車場に停めた車までダッシュしました。北陸に来る台風は中途半端だ。
昼に台風が抜けると秋晴れの空でした。夜は窓を網戸にしてると涼しい風が入ってきます。野分けが秋を運んできただよ。

モヤモヤ解消で快勝!ハリル監督、スッキリ6発に「ブラボー」
前のカンボジア戦もそうでしたが、弱い相手に大人げない布陣で大勝しちゃいました。まあ、欧州勢を出し惜しみして国内勢だけにすると良くても引き分け程度になりそうですからしょうがないのかも。大勝しちゃうと、こういう試合では若手を試してほしかったとかいう解説者がいますが、監督にもらったチャンスで活躍してもしょうがないでしょう。ホントに力があったら小さくても千載一遇のチャンスをつかみますよ。

さて、日本のサッカー以上に日米の市場はすんごく大勝をしました。
NY株大幅反発、390ドル高=中国株上伸を好感
日経平均7年ぶり暴騰、中国期待と割安、緩和期待も-全面高 (BLOOMBERG)
焦点:米系など海外短期筋、日本株「爆上げ」の主役に (REUTERS)
昨日暴落したとはいえ430円ですから1300円の上げはおつりが来すぎです。短期筋が買いまくったという解説ですが、たぶんコンピュータ取引の怖い面が出たんじゃないですかね。明日は、利食いで下げますよ。さらにリスクオフに舵を切るプレーヤーはどんだけいるでしょうか。上がってるうちに売っておきたいっていう人の方が多いと思うな。米国が利上げするかどうか分かる18日までジェットコースターみたいな動きをするかもです。

んで、もひとつ今日の大勝。
Harvard geneticist wins Lasker Award for DNA work (THE BOSTON GLOBE)
Geneticist Stephen J. Elledge receives Lasker Award (HARVARD GAZETT)
ラスカー賞の発表がありました。酵母遺伝学やってた人が賞とると嬉しいです。昨年の森和俊博士とピーター・ウォルター博士も酵母やってたし♪
イレッジ博士は今Harvard大ですが、前はヒューストンのベイラー医科大で働いてました。その頃、彼は酵母やってました。名前は今は"Stephen"ですが、ヒューストン時代は"Steve"。大人になると、愛称を使ってた人が正式の名前を使うようになるもんですが、研究者としてラボを構えるようになって途中で呼び名を変えるのはちょっと珍しいと思う。

あ、話が盛大にずれた・・・・

彼は主にRad系変異を使ってましたが、変な先入観というか、流行の流れを追わずに本流に影響を与えるようなスタイルで・・・よくわかりませんか? すんません。
僕がいちばん印象に残ってる彼の論文は、Genes & Developmentに出たpaperです。なんでrad53変異が死んじゃうのかという、酵母でcheckpointを研究している研究者はさりげなく避けてる現象について理由を明らかにしました。MEC1(ヒトでいうとATRだよ)やRAD53(ヒトでいうとCHK2ね)は必須遺伝子なのに、死なない変異細胞がとれて使える。だから酵母で飛躍的に研究が進んだ。細胞が死んじゃうのでは研究出来ないんだよ。死なない変異細胞はrad53やmec1変異とともにsml1(RNRのinhibitorね)が壊れているのでdNTPの供給が高くて生きてるんだと・・・いいわけをして研究してたりした。
んで、彼はその論文でRAD53はDNAに損傷が起こった時に細胞周期を止めるんだが、実はDNA複製を開始するのにもRAD53は必要であると、そんなだからrad53変異だと複製が開始できなくて増殖出来ないのですよと・・・・。わざと地雷を踏んで、地雷の正体を暴いたりしてくれるんで、すごく尊敬していました。

僕がテキサス大学サウスウェスタン医療センターで働いていた頃、彼はヒューストンのベイラー医科大で働いてました。当時、彼は「副業」でクロンテック社と組んで2ハイブリッドシステムのキットを開発していました。そのキットに菌株として提供されるY190やY187の親株は、僕が働いていた研究室の持っていたgal4 gal80変異株YJ0Zでした。僕はガラクトース代謝系の研究室にいたんです。プラスミドベクターpAS1やpACT2に乗ってるGAL4遺伝子の機能部位もうちの提供DNAからきてると思う。だいたい2ハイブリッド法の原型となる方法でGAL4とGAL80の相互作用を証明したのは僕の所属していたチームだからね。そんなわけで、その2ハイブリッド法のキットが世に出る前から、試験的に使わせてもらえる環境にいました。米国で働くことのメリットの一つがこれです。新システムを商業的に発売されてから使うんじゃ、実はスタートが1年以上遅れるのです。日本に製品が販売されてからだと2年遅れ。w 僕がQ大医学部のN本先生に雇われたのもこのシステムを持っていたから。彼は2ハイブリッド法にすごく魅力を感じていた。

このイレッジ博士からもらった2ハイブリッドシステムのキットについてたライブラリーが非常に優秀でした。スクリーニングの正否は使うライブラリーの質が決めます。これは僕の人生でサイコーに幸運だった。昨年ラスカー賞を受賞した森和俊先生が京大での研究初期に分離したATF6とERN4遺伝子は、僕が(自費で)森先生に提供したそのライブラリーから採られたのです。そう、イレッジさんの仕事はラスカー賞を2回とったんですよ。

本日のお酒:SUNTORY ALT TYPE 緋色の芳醇 + SUNTORY THE MALT'S + 立山 特別本醸造
コメント
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