法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (7) 納品の推進と検収の調整

2024-11-15 22:58:56 | ・・購買行動と営業プロセス
第六段階で一つのサプライヤーが選択されます。競争を勝ち抜き受注が確定した段階です。営業としてはほっとする瞬間です。ここからは仕上げの段階です。

『購買行動と営業活動』には、さらに、もう二つのステップがあります。一つは第七段階の「納品の推進と検収の調整」で、もう一つが第8段階の「納入後の成果のフィードバック」です。

第七段階で、サプライヤーは顧客から注文書を受け取りますが、その前に検収条件を整理しておく必要があります。

納入までの間、あるいは、納入後のテストで追加の問題が発生する場合があり、それに応えるために検収が延び延びになり、売り上げがたたなくなるなどの問題が発生する場合があります。追加の問題が発生した場合、それがもとの注文書の範囲内で処理すべきか、あるいは追加の仕様として別途処理されるべきかが判定できるように仕様書、検収条件などを書面として整備しておきましょう。(もともとの仕様書が不十分な場合も同様に問題となる可能性があります)

営業は顧客との板挟みになりますが、きちっと線引きをして問題を解決し、かつ、顧客との関係も損なわれないようにする、それが営業です。

「そうは言っても」と言っているうちは二軍の営業です。

さて、サプライヤーは、顧客から注文書を受け取った後(あるいは内示後)、顧客と共同で、納入に関する諸手続きの設定と手続きに関する取り決めを行います。

納期や立上げのスケジュールの確定、納入のための搬入経路の確保、立上げのためのスペースの確保、試験用材料・工具の用意、電気・ガス等の手配もこの準備の一部です。営業は、自社のサービス技術と打合せを行い、納入・立上げのプランを行います。

また、営業は、開発が必要な製品・サービスについては、納入までの進捗管理、顧客への進捗の報告を行います。

そして、実際に製品・サービスを納入し、立ち上げて試験を行い、収集したデータをもとに検収会議を開催し、検収をいただきます。

「営業はきちっと線引きをして問題を解決し、かつ、顧客との関係も損なわれないようにする」と前述しましたが、実際には営業は根回しをして、滞りなく検収会議が行われるようにします。

そして、そのまま顧客と飲み会というのが私のパターンでした。

顧客のキーパーソンやエンジニアだけでなく、自社のエンジニアにも参加してもらい、今後のエンジニア同士の協力関係の構築にも心がけましょう。

そして、第八段階として「納入後の成果のフィードバック」があります。それは、また、来週。

<商談が旨く行ったときは書斎で一人のみ>



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (6)交渉と譲歩、交渉条件の整理、社内コンセンサスの取付け

2024-11-09 16:53:26 | ・・購買行動と営業プロセス


今回は上記資料の第6段階のお話です。

顧客はサプライヤーが提出した見積書や提案書を比較・検討します。また、サプライヤーと面談し、仕様、価格、納期等の具体的な条件の折衝を行います。そして、最終的に1社に内定通知を出します。案件の内容によっては内定ではなく注文書の発行になります。

営業は提案書提出後の交渉に臨む準備として、価格、納期、導入後のサポートなど交渉のポイントを整理し、どこまで妥協できるか、その場で回答するかどうかなど、社内の関係者と打ち合わせをして決めておくことが重要です。

失敗例として、

案件を絶対に取りたいが故に価格交渉時に大幅な値下げを購買に約束。帰社後、社内の同意、承認が得られず頓挫。「下げなきゃとれねーんだよ」「客の言うことが聴けねーのか。」と上司や関係部署の面々を恫喝。結局、この案件から外され、上司がお詫びに。

営業は案件を取りたいがために前のめりになりがちです。また、案件を落とせないプレッシャーもあります。営業が単独で決断、回答するのではなく、チームで決めて回答する仕組みにしましょう。

競合の出方も重要なポイントです。価格をあまり下げずにオプションをただで提供したり、導入後のサポートを厚くしたりする会社もあるでしょう。例えば、「導入後、半年、エンジニアを最低1名常駐」などです。価格を下げるとコミッション制の場合、営業の収入も減りますからね!!自分の懐が痛まないように!!!

顧客側の状況も日々、変化しており、RFPに記載されている必要納期が、顧客側の事情により遅れることもあります。そのような状況をつかんでおけば、納期は楽にコミットできる、場合によっては早めるとホラをふくこともできます。

もう一度、選定基準に立ち返り、交渉のポイントを整理し、社内のコンセンサスを取り、交渉に臨む役者を整えましょう。即答が必要な場合は、営業だけでなく開発部門、アフターサービス部門などの責任者に同行してもらったほうが良いでしょう。

ただ、単なる当て馬であると分かっていて絶対に受注できない場合は、最終提案として超ローボールを投げるのも手です。顧客の当該案件担当者は、「何故こんなに安いA社から買わないでB社にするのか」を説明せねばならなくなり、本命のサプライヤーB社に対しても価格低減を求めることになります。これにより本命サプライヤーB社の財務体質を弱らせることができます。そこまで考えるのが営業です。

<考えすぎて眠れなくなったときは・・・・・>


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (5)提案書提出・競合分析・受注条件整備

2024-11-04 08:56:56 | ・・購買行動と営業プロセス
それでは、公式購買プロセスの第五段階を詳しく見ていきましょう。



・見積書/提案書の提出

顧客はサプライヤーを2~3社に絞り込み、仕様等を公開し、見積りの依頼(RFQ:Request For Quotation)や提案の依頼(RFP:Request For Proposal)をします。会社(役所)の規則で一定金額以上の案件は、3社見積もり必須というところが多いかと思います。

RFQ、RFPの説明会を行う場合もあります。私の経験では、各サプライヤーが個別に呼ばれ説明を受け、質疑応答を行う形式がほとんどでした。公的機関の入札の場合などでは、参加者一同を集めて、説明することもあります。

営業はRFQ、RFPの内容を精査し、提出書類の種類と内容、提出期限、サプライヤー選定基準などを確認します。

一般的に提出書類は会社の財務諸表、会社の組織、対応チームのスキル・資格、品質管理体制、サービスサポート体制など多岐に亘るため、社内の関係者を集めて説明会を行い、手分けして進めることが肝要です。

また、阻害要因がないか確認します。

例えば、自社の製品では実現できない機能はないかをチェックします。逆に言うと、第三段階までにイン・サプライヤーとして活動してきた営業は、他社にない機能などを仕様書に盛り込むように顧客を誘導し、自社の優位性を確立します。

実際に資料を作成し始めると、不明な点がでてきます。改めて質問できる場合もありますが、追加質問を許さない場合もあります。実際、現場調査を一回行っただけでは十分な情報は、得られません。このため現行のサプライヤーがいる場合は、彼らが有利になります。特に、顧客が現状のサプライヤーを気に入っているが、会社(役所)の規則でRFPを実施しなければならない場合は、他のサプライヤーが落札するのは困難です。

また、現在、私は見積もりをお願いする立場にありますが、本当に真剣にサプライヤーを一から選びたい場合は別として、会社の仕組み上の理由で3社見積もりをする場合は、「それとなく」その旨を依頼するサプライヤーに知らせて無駄な労力を使わないよう、その後のフォローも含めて調整します。つまり形だけの三社見積もりの実施です。

また、実際に「5段階、価格交渉をする。最後は社長が交渉」「50%以上値下げさせる」などのルールがある顧客もあるので予め聞き出しておきましょう。

・競合分析

同時に競合他社を調査し、対抗策を練ります。

以前も書いたように、今までこの案件に携わっていなかったあなたがこのRFPの説明会に呼ばれたのなら、少なくともすでに1社はもっと早い段階から顧客と話会って、懐深く入っています。

それを分かった上で競合他社の仕様やデモの状況、顧客との人間関係、顧客での評判、他の顧客での評判、価格戦略、技術サポート体制、経営状況などを入念に調査し、戦略を練ります。

特に選定基準となるところは、冷静に分析し、提案書の中で自社の強みをどう伝えるか、自社が劣っている点をどう説明するか知恵を出し合いましょう。

また、真剣に取り組まないことも選択肢の一つです。例えば、以下の私の経験例。

大手企業のS社の事業部長A氏は「天皇」と呼ばれる人で、100%の決定権を持っており、かつ、現行サプライヤーはこの人が選んだとのこと。しかも、「天皇」は、サプライヤーの変更を望んでいないらしい。

私はこの案件は、あきらめました。RFPを受け取ってから提出までの短時間で人間関係を構築するのは無理だからです。そもそも、この段階で初めて呼ばれたことが私の会社の現状を如実に表していました。「営業ができていない」

今後を考え、失礼のない提案書を提出し、次の案件を目指し、営業活動を推進しました。特にS社内の組織、人間関係、事業部としての問題・課題・戦略、意思決定方法(本当に天皇が決めているのか)など、基本的なところから始めました。後述する「理詰めの営業」の初歩の初歩です。

・受注条件の整備

営業は注文を取りたいがために前のめりになりがちです。

例えば、

「今、社内で検討中のソリューションでお客様の問題は、確実に解決できる」と営業が客先での会議でコミット。その場にいたエンジニアと帰社後、口論。「まだ、検討中なのにあれはないでしょ」とエンジニア。「解決できないのなら打ち合わせの時に反論すればよかったのに」と営業が言い、口論はエスカレート。受注はできたが、その後のエンジニアのサポートが悪く、顧客からの評価は最悪に。

顧客の問題・課題を解決できなければ、訴訟問題にも発展しかねません。顧客の問題・課題を真摯に分析し、そのソリューションを検討します。現在の製品、サービスで「できること」、「できないこと」を明確にしましょう。

「できないこと」を「できること」に変える方法も考えます。例えば、現時点では「できないこと」でも、適切な費用と納期をいただければ開発可能な場合もあります。

現在あるソリューションであれば、費用はいくらで、何か月で納入可能、新たな開発が必要な場合は、さらに費用と開発期間がこれだけかかる等をできる限り正確に見積もります。

また、「できないこと」も他社との協業により、可能になる場合があります。

私が手掛けたビル管理業の場合は、「他社の組み合わせ」を基本とするソリューションでした。自社では顧客とのインターフェース、まとめ役、簡単な日常業務だけを行い、実際の業務、特に専門的で技術的な業務はすべて他社に任せます。

例えば、無停電電源装置の点検は東芝、空調機器の点検はダイキン、消防設備点検は能美防災といった具合です。

これらが受注条件の整備です。

営業だけで決めるのではなく、社内の関連各部門あるいは協力会社のコンセンサスを「あらかじめ」取り付けることが肝要です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (4)競合分析・選定基準の明確化

2024-10-26 21:53:48 | ・・購買行動と営業プロセス
それでは、公式購買プロセスの始まりである第四段階を詳しく見ていきましょう。



この段階から顧客は、正式な購買手続きに従って購買活動を進めます。具体的には、問題、課題を解決できる可能性のある製品やサービスを提供できるサプライヤーを探します。複数のサプライヤーと連絡を取り、問題あるいは課題、検討しているソリューションの概要を開示します。

営業は自社の技術者とともに開示された内容を検討・理解します。また、顧客と打ち合わせを行い、問題・課題の理解を確実なものにします。顧客が検討しているソリューションに関しても、適宜、提案を行います。

また、営業は、顧客がどのような選定基準でサプライヤーを選ぶのか、競合がどこなのかを調査します。

RFPを出す側では、選定結果を報告するためのツールとして選定基準を作成します。RFPの中に選定基準が書かれている場合もあります。選定基準を聞き出し、それに対する戦術を考えましょう。

選定基準がない場合が一番危険です。それがないと、「価格だけで決まってしまった」「部長の意向で決まった」など、それまでの営業の努力が無駄になってしまうことが多々あります。

以下は、選定基準の一例です。以前、アップしましたが、参考までにもう一度、記載させていただきます。

************************************************************************************************************************************
2月中旬に1千万円超の案件のRFPを三社に発行。案件は向こう5年間の設備管理を年約1千万超の金額で請け負ってもらうもので、この他にスポットでの仕事もあります。また、2月14日の記事の案件との複合見積もりも可能とするもので、かつ、向こう5年間のコスト低減プランを要求するものです。

この三社は、大手ビル管理会社のY社、一回目のRFPと同じ外資系大手B社、優良中小企業C社です。回答までの約3週間、前回同様、B社以外の質問はほとんどなし。

こちらが期待していたコスト低減プランを提示してきたのはB社とC社でしたが、具体的なプランはB社のみ。Y社に至っては要求には答えず、一年目の見積書を提出したのみ。また、見積書に関するこちらからの質問には、回答期限を超えて回答。「俺たちを選ばない訳はない」と思っているのでしょうか。

こんなものでしょうか。私だったら「選定基準」や「お困りの点」などを聞きまくります・・・・・前回同様、これらの会社に営業はいないのかと思ってしまいました。

ベンダー評価・選定基準の項目は以下の7項目。



1.技術力
2.価格
3.サービス提供能力
4.企業としての評判
5.担当者・担当チームの能力
6.付加価値
7.支払条件等

項目2の価格以外の各項目には、3つの小評価項目があり、各小評価項目を点数化(満点は100点)し、小評価項目の平均をとったものが。その項目の得点となります。

ちなみに価格は以下の計算式を用います。

最低入札価格/当該ベンダーの入札価格x100

これらの項目や重みづけは業種・業態によって変わります。たとえば、生産財であれば「技術的な課題の解決能力」という項目を設けて、重みづけも高いものになると思います。

私の場合は、このベンダー評価・選択基準を私のクライアント(RFPの送り先ではありません)に事前に説明し、了承を得て、RFPを始めます。また、安すぎる価格を除くために、自分なりの見積金額を提示しています。安すぎる金額には、営業サイドの何らかの理解不足や仕様を無視して無理なシフトを組むなどの勝手な方策があるため、要注意です。

最近は、公正・公平な入札を行うために、入札を専門に行う会社に委託する場合があります。私の顧問先でもある一定の金額以上の入札価格が想定される場合は、当該専門会社に依頼し、ベンダーとの癒着やキックバックなどが生じないようにしています。

それにしても「本物の営業」はビル管理業界にはなかなかいないですね。
****************************************************************************************************************************************


< 営業に疲れたら武蔵野という闇に消えよう>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - 非公式購買プロセスと公式購買プロセス

2024-10-13 09:30:29 | ・・購買行動と営業プロセス
第一段階から第三段階までは、顧客が検討を重ね、購買の意思決定を行うプロセスで、営業がもっとも顧客に貢献できるプロセスです。

一方、第四段階以降は、購買を実現させるプロセスで、顧客対サプライヤーに分かれて交渉する段階です。

顧客は外部に対して購買の意思を明らかにし、おおやけに調達先候補と接触し、RFPを発行して、提案書、見積書を要求します。

そして、提出された資料を比較・分析して調達先を選定します。

第四段階以降を「公式購買プロセス」と呼びます。反対に、第三段階までを「非公式購買プロセス」と呼びます。

コンプレックスセールスの営業にとって、どちらのプロセスがより重要か。

それは言うまでもなく、非公式購買プロセスです。

このプロセスでいかに顧客のニーズを正確に把握、あるいは、新しいインサイトを伝授し、
自社ならではのソリューションに結び付け、顧客をしっかりサポートし、強固な関係を構築することが肝要
です。

公式購買プロセス開始時点では、顧客の意中の調達先は決まっているのです。

この段階で、「自社ならではの強み」を仕様書に加えられれば、第四段階のRFPも「Win」に決まりです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (3)説得材料の提供、不安の低減

2024-10-06 20:17:26 | ・・購買行動と営業プロセス
第三段階は、「必要な財の計画」を行う段階で、顧客は「より具体的に」問題や課題の解決に必要な製品・サービスを製品名・仕様・価格等のように具体的に記述します。そして、社内での説明、購入計画(年間予算等)へのインプット等を行います。



ここでの営業の役割は、顧客の「この段階でのキーパーソン」が、社内を説得できる材料を提供することです。

「この段階でのキーパーソン」とカッコ書きにしたのは、この人が第二段階で調べた意思決定者とは限らないからです。キーパーソンは、案件が進む段階によって異なります。

営業は、また、顧客が感じているリスクを和らげ、提案しているソリューションに対する確信を深めさせることが大切です。「この会社の(営業の)ソリューションなら大丈夫だ。サポートも安心」などと顧客に確信させることです。

逆に言えば、営業は顧客が感じているリスクや不安を察知し、それらを取り除くためのデータや情報を提供します。

小型商談では、商品を購入したあとで「買って失敗した」と思っても大きな痛手にはなりません。このため顧客は容易にリスクをとることができます。私も買ったがほとんど袖を通さない服や長続きしなかったスポーツ用具があります。

しかし、コンプレックスセールスの対象となるような製品・サービスはどうでしょうか。買ったはいいが、使い勝手が悪すぎて社内のユーザーの評判が悪いソフトウェア、納期が間に合わず会社のプロジェクトの進捗に悪影響、など、失敗例は身近にもたくさんあります。「もし、そうなったらどうしよう」という顧客が感じているリスクや不安を取り除く努力が必須となります。

営業は自分から進んで話し合うべき点や懸念材料はないかと顧客に聞きます。たとえば、

営業:齋藤さん、これですべてだと思いますが、次のステップに移る前に、もっと説明をききたい点はありますか。
顧客:はい、貴社のサービスサポート体制、とくに、緊急時のサポートについてうかがいたいと思います。
営業:それではご説明いたします。弊社のサービスサポートチームは、・・・

このようなごく普通の話の流れの中で、顧客の懸念事項を解消できます。

また、営業は顧客の課題や問題を解決するために提案した内容が、顧客の計画にもれなく含まれているかを確認するとともに、実施の意向固めのサポートを行います。

更に、購入すべきものの計画や内容が決まっていても、資金の手当てや移転先の確保など、購買を可能にする条件を満たせたかが問題になります。

これが、表中の「調達に伴う十分条件の整備」です。ここまで確認でき、顧客と密な関係が構築できていれば、次の段階、公式購買プロセスに進んでも勝算はかなり高いでしょう。

これまで説明してきた第一段階から第三段階までが、顧客が検討を重ねて態度決定を行うプロセスです。

さて、皆さんの抱えている第三段階の案件の状況はいかがですか。

「まだ、入札の案内が来ていない(見積もり依頼が来ていない)のでやりようがない」ですか?

営業は、とっくに始まっています!!




<営業に疲れたら『武蔵野-ロストハイウェイ』>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (2)情報提供と調査支援

2024-09-28 19:51:01 | ・・購買行動と営業プロセス
ようやく少しだけ涼しくなってきましたね。読書の秋、マーケティングの本を一冊読むのも良いのでは。

という訳で、そのマーケティング「購買行動と営業」の話の続きです。



購買側行動の欄には「第二段階:必要な財の把握」とあります。この段階は、「探索の開始と計画」の段階とも言われ、顧客は、第一段階での問題意識に基づき、解決方法の調査・探索を行います。そして、問題解決計画の概要をまとめます。

問題・課題を認識した顧客は、解決方法を探します。社内情報だけでなく、業界と関連のある論文や出版物の研究、研究者からのヒアリング、セミナーへの出席、展示会の訪問、コンサルティング会社への相談、付き合いのある協力会社への相談などできる限りの手を尽くして情報収集を行います。

ここでどれだけ顧客の情報収集に貢献できるかが、これ以降の展開を左右します。第一段階で、顧客に課題を気付かせたものの、仕事を他社にもっていかれたのでは、話になりません。

営業は顧客の問題解決を一緒に行う姿勢で、顧客が問題解決計画の作成に必要な情報を積極的に提供します。自社のセミナーや自社が参加している展示会などへの招待もあるでしょう。

顧客に知ってほしい情報、例えば、自社の成功例、実績、実験データなどを上手に知らせます。

コンプレックスセールスと呼ばれる大型の商談では、顧客の意思決定の場に直接立ち会うことはめったにありません。例えば、課題・問題を認識した顧客が、この先、ソリューションを購入するための計画書を作成し、社内の承認を得る場合も、顧客の内部の会議で計画の説明、議論が行われ、営業がその場にいることはまずありません。

それだからこそ、営業は提案しているソリューションを顧客が社内で自信を持って説明し、関係者を説得できるように、情報提供、資料作成の支援などをこの段階から行う必要があるわけです。

このような支援を通じて顧客との絆も生まれ、強固な人間関係の構築が実現できます。

営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>


<続編『武蔵野-ロストハイウェイ』販売開始とか>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - 最初の段階から考えておかねばならないポイント

2024-09-21 16:43:23 | ・・購買行動と営業プロセス
第一段階の「きっかけの提供」から考えておかねばならないポイントをお知らせします。

製品、ブランド、価格での差別化ができないとき、それ以外の面での差別化が必要になります。それがインサイトです。
最終的に顧客に選ばれるポイントは、この「インサイト(知見)」の価値です。

すなわち、顧客が気付かなかった技術的なソリューション、売上向上策、コスト削減方法などの全く新しい考え方やアイデアを伝授することです。

顧客が本当に必要としているのは、本人以上にそのニーズを知っている営業です。

顧客に新しい考え方を教え、顧客の視点やアプローチを見直させ、顧客の考え・行動を変えさせます。

しかし、以前にも書きましたが、伝授した新しい考え方やアイデアを顧客が入札にかけ、
その結果、競合他社が落札では、営業は無料でコンサルティングしたことにしかなりません。

そうならないためには、

・自社の製品・サービスに結び付く誘導を行う
・自社ならではの強みにつなげること(その前に自社ならではの強みを作る)
・顧客の仮説を覆し、行動を促す
・自社の強みが他の顧客へも拡張可能であること

が必要です。

さて、あなたの会社、あなたの製品・サービスの強みはなんですか。

プレゼン資料には、高品質、トータルサポート、最高のサービスサポート、戦略ソリューション、最先端技術、
高い技術力、顧客満足度1位、確実な運営体制、幅広い製品ラインアップ、・・・・・などの言葉が綴られています。

プレゼン資料に載っている強みは、本当に強みですか。
他社も同じことを言っていませんか。
強みを証明できますか・・・・

差別化のポイントは?差別化できていますか?



営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>


<『武蔵野・ロストハイウェイ』重版おめでとう>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (1)検討の「きっかけ」をつくる

2024-09-15 22:39:05 | ・・購買行動と営業プロセス
今週から「購買行動と営業活動」の詳細に入ります。

では、まず、第一段階の「問題の認識」です。

購買側行動の欄には、「客観的事実に基づく問題意識の発生」、および、「検討のきっかけの発生」とあります。



具体的な「きっかけ」としては、製造上の問題が発生し、それを解析・解決するために新たな測定器が必要となる、
あるいは、新製品の製造のために新たな製造装置が必要となる、営業の生産性を上げるために営業支援システムを導入する、
ビルを引っ越すので引越し先の設備を保守管理するベンダーが必要、などが考えられます。

これらは顧客本人も気づく分かりやすい「きっかけ」です。

営業活動の欄に、「きっかけ」の提供とありますが、これはどういうことでしょうか。

先の分かりやすい「きっかけ」ばかりではなく、
第三者の立場では明らかな問題でも本人たちが気付かないケースやその組織上の理由で検討の遡上に乗せてもらえない場合などに、
「問題に気付かせ、検討のきっかけを与えること」を言っています。

顧客が問題意識の高い人たちであれば、営業が黙っていても、
問題を認識し、営業に問い合わせがくるかと思いますが、
そうでない場合は、営業自身が問題提起をしないと商売にはなりません。

現状のプロセスあるいは業務でどのような問題があるのか営業が技術と一緒に分析し、問題提起して、解決策を提案する必要があります。

例えば、次世代の製品を開発するためには、もっと高精度の検査装置が必要であることを、データ付きで説明し、解決策を提案するなどです。

営業として大事なことは、顧客の開発担当者や現場のエンジニアと良好な関係を築き、事前に顧客の問題点や課題に関わる情報を収集・分析・整理できていることです。

それらの情報があれば、顧客のニーズに合った提案が可能となります。そうでないと、一般的な提案になってしまいます。

もちろん、最初は一般的な提案をして顧客の本質的な問題を探っていくという方法もあります。

営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - 営業に取って勝負所は?

2024-09-08 10:04:24 | ・・購買行動と営業プロセス
購買行動のモデルの代表は、AIDMA(Attention, Interest, Desire, Memory, Action)。

そして、インターネットの普及により、その進化版ともいえるAISAS(Attention, Interest, Search, Action, Share)が購買行動モデルの新たなモデルとなりました。

「Search(検索)」と「Share(共有)」がキーワードであることは、読者なら納得されると思います。

ここでは「購買行動と営業のプロセス」を紹介し、顧客が生産財を購入する一連の流れと営業の「やるべきこと」を明確にしていきます。

「生産財を購入する一連の流れ」と言いましたが、「コンプレックスセールス」に当てはまる一連の流れと考えていただければ良いと思います。

コンプレックスセールスとは、

・高額の商談や技術的に複雑な商談で、
・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注に至るまで長期間複数の商談を行う必要があり、
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定が必要とされ、
・意思決定は商談の場以外のところで行われる営業です。
・また、受注から納品・引き渡しまでに時間がかかり、
・その後もフォローが必要な案件でもあります。

例えば、プラント建設やIT関連の大型投資、生産設備、ビル管理などは好事例でしょう。

表中のどの段階が「営業にとって勝負所か」を考えていきましょう。ヒントは、「RFPからでは遅すぎる」です。





どの段階でしょか?

顧客の立場になれば分かりますが、RFPを協力会社に要求する段階では、顧客の意中の協力会社は決まっています。

「A社のこの機能が必須」「サービスが良い今の業者がいい」「今の業者は対応が悪すぎる。B社の方がいい」など。

つまり上記表の第一段階から第三段階までの間に顧客に食い込まないことには勝負にならないのです。

この段階で顧客に貢献することが肝要です。

できれば、RFPの仕様書に自社にしかない機能を書き加えてもらい、自社に有利な状況を設定する、といったことも。

「え~、そんな」なんて言わないでください。当たり前のことです。

営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>


<続編;武蔵野 - ロストハイウェイ ・・・・・・ 営業で道を見失った時は・・・・・・>


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新人営業の教科書 (XX)- 営業に必要なスキルの体系化 - 夏休み

2024-08-31 21:47:46 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
ここまで12回に渡り「新人営業の教科書 」を掲載。

少々詰め込みすぎたので、ここでいったん夏休み。

といってもブログを書く時間がないだけで週末も仕事。

仕事が途切れずにあるということは幸せだ。



<BUTAKINの冷やし。ニンニク、脂マシマシでスタミナづくり。白いソースは胡椒の効いたタルタル>


<夏休み中は、近隣で武蔵野散歩。『武蔵野・ロストハイウエイ』は、女性の逃亡劇。>


<『武蔵野』は都会の孤独?彷徨い>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新人営業の教科書 (12)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 自社に関する知識

2024-07-21 10:11:27 | 新人営業の教科書
さて、ここまで顧客情報の収集・分析・対策の話が続きましたが、今週はおおもとの「営業スキル体系」にもどり、「自社に関する知識」の話をします。「えー、なんで。自社のことなら知ってるわい」と言われそうですが・・・・・



就活時に今いる会社について十分に研究したはずです。どうでしょう、働き始めて内部情報も入手しやすくなったのではないかと思います。

「これからもこの会社にいてよいのか」「転職すべきか」などということを検討するために自分の会社を調べるわけではありません。自社の商品の営業に役立てるための調査です。

ここでは、個別の製品やサービスの競合分析ではなく、自分の会社の「会社としての強み・弱み」を調査・分析します。

例えば、強みには、「納入実績」「サービスサポート体制」「財務力」「販売網」「製品開発力」などがあります。つまり会社という組織としての強みです。

弱みとしては、「納入済み製品のトラブル」「新製品開発の遅れ」「会社が訴訟に巻き込まれた」「会社がリストラ中」「SNSでブラックとたたかれている」などが考えられます。

特に競合と比べた現実的な「会社の」強み・弱みを考えてみましょう。

重要なことは、組織能力など会社としての強みを営業活動に活用すること、トラブルなどの弱みを早め早めにリカバリーすることです。

例えば、ある顧客のある事業所でのあなたの会社の納入実績は9台、B社は1台、H社も1台とします。

プレゼン等で「納入実績」を示せば、顧客と密な関係や貢献度を示すことができますし、メーカーを変えた場合のデメリットをそれとなく匂わせることもできるでしょう。更に、「この際、B社、H社の製品もリプレースしてはどうか。可能であれば、複数台購入として、20%値引きできる」などと、提案することも可能でしょう。ただし、B社の導入を決めた人が、当該事業部の事業部長などといった場合は、持って行き方に注意する必要があります。

また、私がB社あるいはH社の営業なら、「もう1台入れて冗長構成にしましょう。そうすれば、備品も安く提供します」などと提案します。これにどう対抗するかも考えねばなりません。納入実績一つとっても様々な観点から検討する必要があります。

さて、「営業に必要な知識」はこれで終了です。

トップセールスの方の頭の中には、これらの知識が詰まっています。『理詰めの営業』のように、それを可視化できるツールもあります。また、あなたがやる気を見せれば、トップセールスの方から何かアドバイスをもらえるかもしれません。いや、与えられることを待つのではなく、積極的に聞き出すことです。

トップセールスまでの道は遠いかもしれませんが、営業に関する知識で、昨年、一昨年入社の先輩を抜くことは簡単かもしれません。なぜなら、あなたは何を勉強すればよいのか分かっているからです。仕事はしても勉強しない人も沢山います。
経験・体験・学習したことをしっかり体系化して身に付けることが肝要です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新人営業の教科書 (11)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 「顧客に関する知識」の続き - 業界情報

2024-07-14 10:13:42 | 新人営業の教科書
今週は、顧客基礎情報収集なかの「業界情報」の話です。

顧客が属する業界に関する学会誌・業界紙や日ごろの営業活動の中での情報収集から、業界としての技術トレンドや課題、大きな潮流などを把握しておきましょう。

新人営業から「もうお腹いっぱいです」との声が聞こえてきそうですが、この一週間でやれという話ではなく、この先、営業という仕事を続ける上での行動指針(『理詰めの営業』のベース)の一つと考えていただければと思います。

まずは、業界における当該顧客の位置づけ。

トップを走っているのか、二番手か。

また、技術トレンドや課題に関して、当該顧客がどう対応しているか、それがあなたの会社の事業に結び付くのか、つかないのか・・・・・

直近の案件のためだけでなく、営業トークのタネ、あるいは、中長期的なビジョン作成のためと考えていただいてもよいかと思います。

例えば、今週、訪問した自動車メーカーでの話。

電気自動車に関して下調べをした上で・・・・

CO2の発生を抑えるためガソリン車の販売が近い将来禁止され、電気自動車に代わる。関連するガソリンエンジンなどの部品は不要に。ガソリンスタンドも不要に。すり合わせ技術が不用となり、だれでも自動車を作れるようになる。

ここまでは、マスコミや本でしばしば取り上げられていますね。

今週、お訪ねした自動車メーカーさんでは、すでに実際に電気自動車を販売しており、そこでのお困りの点は・・・・・・

・充電設備の設置に関し、電気設備の追加が必要なためビル側との交渉が難航
(社有車やマンション住民の車の充電はどうするのか?)

・大量のバッテリーを積んでいるため車の重量は2トン半ほどに。機械式駐車場に負荷がかかりすぎて、故障の原因になる。あるいは機械式駐車場は使用不可に。
(米国では機械式駐車場はあまり使われないため問題にならない。機械の補強は可能か。それとも置き換えか?)

顧客をヒアリングしながら、次の飯の種が考えられそうですね。

顧客基礎情報は、顧客の全体像を把握し、今回の投資の確度の分析や関係者の洗い出し、あるいは顧客の選択等(営業として本格攻勢をかけるか否か)に活用します。

これらの情報の収集・分析の一部は、マーケティングの仕事ですが、マーケティング部のない企業では、営業が積極的かつ日常的に行わなければなりません。

実際のところ、営業が個人的にこれらの情報をすべて収集するのは不可能に近いと言えます。

また、タダで入手できる情報には限界があります。業界に精通したマーケティング会社から情報を買うなど会社としての対応も必要です。

まずは、自分の顧客のHPを調査するところから着手してみましょう。

最近の私の訪問事例では、初めてお会いする社長の略歴をLinkedInで調査し、会議のストーリー作りに役立てました。

LinkedInは個人のPRのツールであり、会社のHPからは分からない社長の略歴や社長個人としての実績、人柄を知ることができました。
(「LinkedInを見てから会議にきてね」と他の出席者に言ったのにも関わらず、見てこない出席者達。がっかりしますね。「意外と」ではなく「本当に」皆、準備してこない!)

勉強や準備を怠る先輩たちを追い抜く日は近いです!!!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新人営業の教科書 (10)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 「顧客に関する知識」の続き - 競合情報

2024-07-06 17:40:50 | 新人営業の教科書
さて、今週も「顧客に関する知識」の続きです。

f. 競合情報

競合情報の収集・分析は、営業に必要な知識の一つ「マーケティング」の分野の一つです。大変、奥の深い話で、これを専門に行う会社もあります。私がいた外資系の会社では、日本のライバルメーカーの製品の品質が何故格段に良いのかを知るために、調査会社に設計・製造・品質管理体制などを徹底的に調べさせたことがありました。かなり大規模でお金のかかる調査でした。

ここでは、少し肩の力を抜いて、「当該案件(あるいは当該顧客)と関連のある競合情報の収集」にフォーカスしましょう。

Googleなどで、商品名で検索すれば競合会社がピックアップできるでしょう。長年、同じビジネスを行っていれば社内で競合情報をある程度蓄えていると思います。

同じ商品を扱っている会社の名前、所在地、財務情報、サポート体制を含めた組織、販売チャネル、商品の位置づけ(主力商品か脇役か)、商品の仕様、価格情報(卸値、実勢販売価格、値引き率など)、顧客、当該顧客担当営業、担当営業の人脈など知りたい情報はたくさんあります。キリがありませんね。

まずは、商品の仕様、強み、弱みの比較からまとめてみましょう。

これだけでも大変なはずです。

製品の場合、仕様が入手できれば比較は可能(実力はデモをしないと分からない)ですが、サービスの場合はどう比較しますか。

例えば、清掃業者の場合は?

参考までに、ある会社がキッチン周りの備品補充や清掃を行うサービス業者選定のRFPで用いていた選定基準をお知らせします。ちなみにRFP(Request for Proposal)とは、発注側がベンダーや開発者に対して提案書(含む、見積書)を提出してもらうために依頼する書面です。

<RFP選定基準>


これらの項目があらかじめ分かっていたとして、どうあなたの会社の優位性をアピールするのか、どう競合他社との差別化を図るのか、頭を悩ましますね。

もう少し補足すると、以前もお話ししましたマクドナルドの例にように、提供する製品やサービスによっては、見方を変えて競合を探す必要があります。例えば、マクドナルドの競合は、ハンバーガーという切り口で言えばモスバーガーやバーガーキングなどですが、ランチの価格帯で見ると、コンビニ弁当や吉野家の牛丼などが競合になります。

あなたの会社の製品をいくつかの切り口で競合分析してみましょう。

キリがないと言っていながら、いろいろ出すね・・・・・・とぼやきたいところですね。

SWOT分析などの分析手法も加えればもっともっと勉強が必要!!

営業も勉強する気になるとなんぼでもやることがあるということです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新人営業の教科書 (9)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 「顧客に関する知識」の続き

2024-06-29 18:15:17 | 新人営業の教科書
今回も『顧客と「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」に関する知識』の続きです。

e. サプライチェーン

当該顧客の上流および下流のサプライチェーンを調べましょう。

昔、私が担当していたハードディスクドライブ(HDD)の場合、主要部品のディスクは富士電機、昭和電工、HOYA、ヘッドはTDK、アルプス電気、モーターはニデック、パナソニック。販売先はPCメーカーの日本電気、富士通、IBM、HPなどなど。いずれも当時の話です。

もちろん、ディスクの基板(アルミまたはガラス)以外、全部、自社製という垂直統合型メーカーもありました。いずれにしても部品の購入元や製品の販売先が分かりやすい製品でした。

サプライチェーンが分かりにくい業界もありそうです。そもそもサプライチェーンそのものの構築が大きな差別化のポイントの業界もあります。その一例が、以前、新聞で報道された「かっぱ寿司」元社長の情報持出事件です。

新聞によると、

2022年9月30日、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの社長だった田辺公己容疑者(※10月3日付で社長辞任)ら3人が、警視庁に逮捕された。容疑は競合する「はま寿司」の仕入れ価格に関する内部データの不正に持ち出し。不正競争防止法違反だという。

販売価格はオープンになっているので、仕入れ先と仕入れ価格、それとオペレーションが競争のポイントなのでしょう。

このような深刻な問題ではなくても、もし、分かればこんなことに使えるという事例をお知らせしましょう。

検査機器メーカーC社の営業の話です。

そのときのお客さんは小型モーターメーカーA社。

A社のモーターを購入し、最終製品を組み立てているメーカーB社でモーターの発塵に起因すると思われる問題が発生。B社はC社の検査装置を購入し、発塵の有無を検査。その後、B社は、本来この検査はモーターメーカーで検査すべきものだとしてA社に対し発塵検査を要求。

これを聴きつけたC社の営業は、B社のモーター納入仕様書に「C社の検査装置で検査したものをデータと共に納品すること」と書いてもらった。発塵用の検査機器は他社のものでもよいのだが、仕様書に書いてもらうことにより商談をかなり有利に進めることができた。

営業の知恵ですね。

この他にも、川上、川下を調べることにより生産数量や歩留まり等を推定することが可能となる場合があります。

「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」の話は、まさにこのサプライチェーンに含まれますが、サプライチェーンに関しては、新人営業の調査項目としては、「低」優先順位にしておきましょう。

でも、先輩にチラッと聞いてみましょう。先輩が知らなければ、いつかあなたが調べて先輩を抜きましょう。

<競争の激しい回転寿司業界。価格競争から顧客体験による差別化へとシフトしてきているが・・・・・。写真は私の大好きな「魚べい」の寿司>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする