法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

新年に相応しくないネタだが・・・・・「値上げ何てできねーよ」と怒る営業に値上げさせるには(その3)

2023-01-08 10:41:43 | ・・「だからどうなの」
明けましておめでとうございます。情報デザインの齋藤です。

年末、海外営業の達人と忘年会。

場所は中小企業のメッカ、蒲田。六本木や渋谷よりも落ち着きしっくりきます。御徒町(おかちまち)もいいけど。

大好きな黒ホッピーで乾杯。ちなみにホッピーは我が町、調布で製造されています。社長は有名な女性社長。



さて、本題に!

正月に相応しい「新年度営業方針」や「営業心得」など関わる内容ではありませんが、昨年からの続きということで・・・・・・

営業がもっとも嫌う値上げの話「だから」なのか、意外やアクセスが伸びています。

前回までに説明した値上げの方法は、顧客ごとの価格ギャップを調べ、ギャップの大きさと顧客セグメントに応じた戦略を取ること、
PBA(パワーバランス分析)を行って、顧客における自社の立場が自社有利にあるかどうかを慎重に分析し、自社に有利であれば値上げ交渉を実行するものでした。

留意点は、今後も継続して取引をする顧客であれば、顧客との関係が損なわれない程度に、逆に恩を売れるぐらいの値上げ(恩を売る様なかたちでの値上げ)を行うことでした。

では、その他の考慮すべき点、会社としてどう組織的に対応すべきか、検討します。

1.価格に対する敏感度の違いに着目。
  これはすでに(その1)で述べた方法です。

2.スイッチングコストの検討。
  スイッチングコストは、サプライヤーを変えることにより生じる顧客側のコストです。
  例えば、技術部門で生じる購入のための評価試験、製造工程の変更などや、購買部門で生じる契約・会社登録などの事務手続きなどです。
  このスイッチングコストが高いほど、顧客はベンダーを変えたいと思わず、値上げを受ける可能性が高くなります。

3.顧客同士のつながりの調査。
  地域的に同業者が集積している場合など、顧客同士のつながりがあると情報交換が行われ、値上げをきっかけに不満が噴出する場合があります。
  こういう地域を避けるか、それぞれの顧客に説明できるロジックをあらかじめ作る必要があります。

4.現場の営業のモラールとスキルの醸成。
  値上げは営業がもっとも嫌うことです。
  よって、会社のトップマネージメントや所長が、一部顧客を失うことを覚悟していることのコミットメントを示すことが重要です。
  また、顧客への説明方法のマニュアル化、トレーニングを行うことが必要です。

5.段階的な実行。
  全国一斉に値上げを行うのではなく、トライアル顧客を選び実行し、項目4のマニュアルの改訂などを行いながら慎重にすすめるべきです。

6.営業の業績評価方法の変更。
  営業の業績評価として、売上目標達成度だけでなく、値上げ実施率、利益率改善度などを加え、営業の活動を値上げに誘導することも大切です。

この他にも日々の営業の価格付けをチェックする機能、例えば、マーケティング組織、なども必要かと思います。

「わが社ではこうやって値上げした」などの話がありましたらお知らせ願います。

値上げの話は、ひとまず終了。

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グローバルリーダー協会のブログはここ。グローバル営業Ron McFarlandの自叙伝を公開中。

齋藤信幸のロングステイはここ。
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営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>
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「値上げ何てできねーよ」と怒る営業に値上げさせるには(その2)

2022-12-29 17:56:11 | ・・「だからどうなの」
情報デザインの齋藤です。

さて(その1)の続きです。営業がもっとも嫌う値上げの話でした。

前回、説明した方法は、顧客ごとの価格ギャップを調べ、ギャップの大きさと顧客セグメントに応じた戦略を取ることでした。

具体的には、

① ギャップが小さい場合は、顧客への「戦術的な」アプローチ

② ギャップが大きい場合は、「顧客セグメント」に応じたアプローチ。価格よりも製品の性能やサービスなどに重きを置き、価格についてはさほど問題にしない顧客に重点を置いて、値上げ交渉を実行

でした。

この他の方法としては、PBA(パワーバランス分析:Power Balance Analysis)を行って、顧客における自社の立場が自社有利にあるかどうかを慎重に分析し、自社に有利であれば値上げ交渉を実行するものです。

具体的には、

① 緊急発注してくる顧客:
  需要の急増などで緊急に製品を発注してくる場合で、顧客の方に選択肢は少ない

② 特注品の顧客:
  その顧客専用に作っている製品なので、基本的に顧客に選択肢はない

③ 自社の製品が顧客のユーザーから指定されている場合:
  顧客の製品を買うユーザーの仕様書に「・・・のテスターで試験すること」と書いてある場合などで、これも顧客の選択肢はない

④ 業績が良好でサラリーマン社長が経営している顧客:
  業績が良好な会社は、財布のひもが緩みがちで、価格に対する厳しさも弱まります。
  実際、オーナー企業の社長でもないかぎり、死んでも値上げはさせないという会社(社員)はいない。。。。というのが私の見解です

⑤ 業界として需給が逼迫しているときの顧客:交渉力が強くなるのは明らかです

です。①~⑤どれも供給側に有利であることが分かります。

大事なことは、今後も継続して取引をする顧客であれば、顧客との関係が損なわれない程度に、逆に恩を売れるぐらいの値上げ(恩を売る様なかたちでの値上げ)を行うことです。

それを成し遂げるのが営業。

では、次回は会社としてどう組織的に対応すべきかをお話しします。いや、それは来年にしよう。皆様、よいお年を!

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<調布市仙川で見かけました。ひと昔前の営業いやマーケティングと思っていましたが・・・・>


<新しい仕事が始まり、ストレスたっぷり状態!気分転換に漫画『武蔵野』を読んだ。阿部公房の小説『砂の女』『燃え尽きた地図』の読後感のような不思議な気分。大人の漫画だ>

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円安、ウクライナ紛争等の影響で値上げが必要に・・・(再掲)「値上げ何てできねーよ」と怒る営業に値上げさせるには(その1)

2022-12-18 10:20:24 | ・・「だからどうなの」
円安の進行やウクライナ紛争の影響等による物価上昇の中、顧客も値上げを受けなければならないと腹の中では思ってはいますが、
顧客自身の業績に直結する話であり、すぐにOKとは言うはずがありません。説得しなければならない営業には大きなストレスになります。

以下、私もしばしば経験した値上げの際の考え方です。再掲になりますが、ご参考まで。

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情報デザインの齋藤です。

外資系の営業をしているとトップダウンで値上げの要請がきます。

「値上げ何てできねーよ」「客が逃げちゃうよ」「現場が分かってねーんだよ」などなどのブーイング。

一方、『理詰めの営業』で、「安易に値下げをしない営業の頑張りが、会社に多大な利益をもたらす」と繰り返し言っている私は、説得役にならざるを得ません。

実際、価格の1%の上げ下げは、営業利益を7%上下させるというデータがあります。

しかし、「値下げをしない」というのと「値上げ」では、難しさに数倍の相違があります。

さて、どう対応するか。

一つは、どう営業を説得して値上げの活動をしてもらうか、もう一つは、顧客をどう説得して値上げに応じてもらうかです。

まず、顧客を層別して、トップダウンで言われた価格と現在の価格を比べ、そのギャップを明確にします。

すべての顧客が、新規の価格よりも低いわけではないでしょう。対象は、現在の価格が低い場合のみです。

ギャップが小さければ、顧客への戦術的なアプローチで、値上げは比較的容易と言えます。

一方、ギャップが大きい場合は、アプローチを慎重に検討する必要があります。

アプローチの一つは、顧客セグメントに応じた戦略です。

顧客には、価格に敏感な顧客と、価格よりも製品の性能やサービスなどに重きを置き、価格についてはさほど問題にしない顧客もあります。

後者のような顧客では、前者よりも高い価格で販売可能です。

同じ製品を同じ顧客に売る場合でも、短納期で対応、一部カスタマイズ、保証期間を延長、アプリケーションサポートの延長など顧客の欲するものを提供することにより値上げも可能になります。

もちろん、顧客とのその時点での関係(トラブル発生時などにはもちろん言えない)、競合の出方、顧客の戦略的重要度などを考慮すべきであることは言うまでもありません。

さて、この他にどのような値上げの方法があるでしょうか。引き続き検討していきましょう。

<ストレスの多い日々、気分転換に漫画『武蔵野』。阿部公房の小説『砂の女』や『燃え尽きた地図』の読後感の漫画。この奇妙な感覚を作者は狙っていたのか>


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「長い付き合いだからさ」、「だからどうなの」

2019-08-17 00:13:00 | ・・「だからどうなの」
前回の三波春夫の話は、アクセスがぐっと伸びました。

しかし、何故、そうなるかが分かりません。いまどき三波春夫で検索する人がそんなに多いと思えませんしね。

さて、「『お客様は神様』なのだから」と同じくらい使われるフレーズに「『長い付き合い』なのだから」があります。

代理店の営業さんから次のように言われたことがあります。

「長い付き合いなのだから、値下げしてくださいよ!」あるいは「これから長い付き合いになるのだから、今回、値下げしてくださいよ」と。

「だからどうなの」

『理詰めの営業』でも、「顧客を良く知ること」を大事にしており、長期的で良好な人間関係を気付くことは大変重要だと考えています。

しかし、なれ合いで付き合うのではなく、都度、その顧客の重要度を見直す必要があります。

顧客は大切ですが、すべての顧客が会社にとって大切なわけではありません。

「長い付き合いなのだから、値下げしてくださいよ!」「これから長い付き合いになるのだから、今回、値下げしてくださいよ」

に対しては、今後もリターンが見込まれるのであれば要求を呑んでもよいでしょう。

しかし、単に顧客とのズブズブの関係からの発言、あるいは、顧客からの値下げ要求のプレッシャーから逃れたいあまり、の発言であれば拒否すべきです。

我々の代理店の営業であるその立場を忘れて、自分の顧客の立場で発言してくる人も意外と多いですね。

「だからどうなの」

どううまく断るかも最前線の営業の大事な力ですね。



近江商人もプレッシャーやストレスから逃れるために庭を眺めて気分転換を図ったのでしょうか。そうは思えないけど。


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「お客様は神様です」「三波春夫でございます」

2019-08-12 10:53:13 | ・・「だからどうなの」
今となっては知らない人も多いと思いますが「お客様は神様です」は歌手、三波春夫のフレーズです。60歳以上の方は記憶に残っていると思います。

三波春夫オフィシャル・ホームページによれば、

『三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズなのです。

三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのですし、また、営業先のクライアントのことでもありません。

しかし、このフレーズが真意と離れて使われる時には、例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」と、いう風になるようです。そして、店員さんは「お客様は神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合。俗に言う“クレーマー”には恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです』

私も似たようなことを代理店の営業さんから言われたことがあります。「お客様は神様なんだから、値下げしてくださいよ!」と。

自分の顧客を大切に思うあまり、あるいは、顧客からの値下げ要求のプレッシャーから逃れたいあまり、の発言かと思います。

確かに顧客は大切ですが、すべての顧客が会社にとって大切なわけではありません(この時点で、「そんな言い方はないだろう」と腹の中で思う人もいるでしょう)。

どの顧客にも均一のサービスを提供するのは正しい方法ではありません。

自社にとって大切な顧客はどこかを見極め、重要度に応じた対応をすべきで、そのように経営資源を配分すべきです。

価格設定、値下げ要求への対応も同様です。

最後に、三波春夫の「お客様は神様」が生まれた背景は、

『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。
ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです』三波春夫オフィシャル・ホームページ

だそうです。



多くのビジネスマンを輩出した商いの町、近江八幡
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