法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

営業関連書籍紹介:Harvard Business Review『営業の教科書』- 営業を教えているのか?

2022-03-27 21:52:04 | 営業関連書籍の紹介
書籍名:営業の教科書(英語名は、HBR's 10 MUST READS ON SALES)
出版社:ダイヤモンド社
著者:ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部訳)



章立ては以下のとおり。

第1章 真の購買決定者は誰か:大口取引に成功する方法
第2章 営業を本気にさせる報酬制度とは
第3章 ソリューション営業は終わった
第4章 ソリューション営業からインサイト営業へ
第5章 ビッグデータで営業の精度を高める
第6章 法人営業で最後の最後で選ばれる方法
第7章 法人営業では五人の見方を作れ
第8章 報酬制度は事業の成長に応じて変える
第9章 営業組織は事業ライフサイクルに従う
第10章 【インタビュー】インセンティブがすべてではない
第11章 営業とマーケティングの壁を壊す

第1章はコンプレックスセールスにおける意思決定を心理学的な側面から分析したもので、『理詰めの営業』の関係顧客分析の強化に役立った。

第3章と第4章はインサイト営業に関する論文で、『チャレンジャー・セールス・モデル』(海と月社)の著者、ブレント・アダムソン等によるもの。
同書の要約として読むことができるが、このセールス・モデルを体系化・システム化するのは、なかなか難しい。

第6章は顧客の購入の決め手となるのは、性能や価格ではなく「正当化要因」であると説いている。
正当化要因には有効期限があり、これをどう継続的に見つけていくかを議論している。
マーケティングの競合分析ではなく、『理詰めの営業』の競合分析の一助になる論文であった。

第7章は自社の商品やサービスを推奨してくれる人(モビライザー)の育成・活用方法を説いている。
『理詰めの営業』の関係顧客分析でアドバイザーあるいはサポーターとして定義している顧客のことで、
この役割となる顧客の育成・活用はコンプレックスセールスでは必須となる。

他の章は、現時点では私に研究対象外。

ところで、第1章の著者は、ハーバード・ビジネス・スクール准教授のトーマス・V・ボノマ。
ハーバードでも営業は教えられていた!!???

先日紹介した『なぜハーバード・ビジネス・スクールで営業を教えないのか?』の内容は、嘘か?

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営業関連書籍紹介:『営業は感情移入』- 本のタイトルから受ける印象よりも科学的で奥の深いアプローチを提示

2022-03-20 10:51:33 | 営業関連書籍の紹介
書籍名:営業は感情移入
出版社:プレジデント社
著者:横田雅俊(カーナープロダクト代表取締役)

読後に調べたことであるが、著者が起こした会社は「営業を科学する」ことをテーマにしており、そのホームページの最初には、
「株式会社カーナープロダクトは、営業に特化したコンサルティングファームです。科学的手法に基いた徹底的な分析を基に、オーダーメイドでマーケティング戦略、営業戦略策定、営業コンサルティング、営業研修・営業セミナー等を提供しています。理論や理屈ではなく、成果に直結する具体的なアクションにより、顧客企業の継続的成長に貢献いたします。」
とある。

営業研究の材料の一つとして本屋でこの本を手に取ったときは、本のタイトルから精神論満載の本かと思った。しかし、読み進めるにつれ、私が進めている営業のアプローチに近く、奥の深い本であることが判った。

「顧客のパートナーになるための条件=情報収集x価値提案x顧客のメリット」と定義し、顧客の情報の収集と顧客理解の重要性を説き、顧客を十分に理解していると認知され、相談を持ちかけられるようになり、課題解決の提案を行う。これを継続し、顧客のロイアリティを獲得する。

課題解決の提案を行うためには顧客の抱えている課題ばかりでなく組織や人間関係も把握する必要があり、そのためには、知識力、観察力、質問力、想像力、共感力、記憶力が必要とする。

これらの考え方はニール・ラッカム(Neil Rackham)のSPINやMiller Heimanのブルーシートの考え方と共通する部分も多い。

著者は理系の出身であるため、「理論や理屈ではなく」と言いつつも、科学的なアプローチを取っている。

また、著者の会社は、コンサルティングの会社であるが、具体的なツールについてはほとんど触れていない。

しかし、戦略思考を学びたい営業には、有効な本といえる。

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営業関連書籍紹介:『なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか』- そもそも学校では教えない「営業」

2022-03-13 12:26:04 | 営業関連書籍の紹介
書籍名:なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか
出版社:プレジデント社
著者:フィリップ・デルヴィス・ブロートン
訳者:関美和



理系の私がエレクトロニクスのエンジニアからマーケティング、営業とキャリアを積み重ねる中で、どう勉強したらよいのか一番悩んだのが営業であった。
エンジニアの仕事では、学生時代に学んだ専門科目等を基礎にして、実務を行いながら関連する書籍や論文を読み、自分の知識・経験を蓄積できた。

転職してプロダクト・マーケティングとなったときは、フィリップ・コトラーの『マーケティング・マネジメント』などを精読し、
また、ボストンカレッジのエグゼクティブコースでインターナショナル・マーケティングを学ぶ機会も得た。

では、営業はどうでしょうか。

何事も新しいことを始めるときは勉強から入る。しかし、営業学という学問はない。大学に営業学部という学部は存在しない。

学問的には、営業はマーケティングの4P(製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion))のプロモーションの中の人的販売に過ぎない。
コトラーの本を紐解いても、営業に関する記述は多くはない。

なぜ、世の中に営業が沢山いるのに営業を体系的に学ぶことができないのかと疑問に思っていた私はこの本を手に取ってみた。

その理由は、この本の序章に書かれており、第1章から終章までは、営業の意義、営業の困難さ、営業に必要な資質、営業という仕事の幅の広さ・奥行などが書かれている。
あたかも、営業はあたかもその複雑さと幅の広さ・奥行の深さ故に、学問として「体系化できない」のだと言いたいようであった。

私が営業を研究し、コンプレックスセールスに関して『理詰めの営業』という方法論を作り出した背景には、この「営業を体系化できないか」という疑問がきっかけであった。
営業に向けた精神論ではなく論理的で明確な指針ができないか、個人の資質にのみ依存しない営業の方法論を確立できないかと考えた。
目指したのは、営業プロセスの標準化やマニュアル化ではなく、顧客の動きや環境変化に対して動的に、柔軟に対応するためのツールの作成と営業を論理的に行う方法の開発であった。

<ハーバード大学構内風景>


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営業関連書籍紹介:『伝統と革新の相克 営業の本質』- 営業を学術的に論じる

2022-03-05 22:44:34 | 営業関連書籍の紹介
書籍名:伝統と革新の相克 営業の本質
出版社:有斐閣
編者:石井淳蔵(神戸大学教授*)、嶋口充輝(慶應義塾大学教授*)
訳者:㈱富士ゼロックス総合教育研究所
*出版時のタイトル

営業関連の書物では大変珍しい学術書で、編者もマーケティング界のトップクラスの方々である。

「営業を科学する」と標榜する方々には、必読の書。

現実編、理論編、戦略編の3部構成となっているが、順番に関わりなく興味のある項目を読める内容になっている。

主な目次は以下の通り。
・ 営業革新の現実
 - コンビニエンス・ストア向けの営業は不要か
 - ハイテク営業の可能性(松下電工にみる営業支援システム)
 - 組織型営業の革新(タカラベルモントの事例)
 - 営業体制のダイヤモンド
・ 営業の理論
 - 営業の信頼性理論
 - 営業の関係理論
 - 営業の認知理論
・ 営業の戦略
 - 営業の戦略と組織
 - ワークショップ型営業の可能性

日ごろ営業として働いている方々や経営者も、自分たちが感じている矛盾点や違和感の原因はこういうことだったのかと納得する本書の内容である。

また、別途紹介するが、石井淳蔵著『営業をマネジメントする』は、営業プロセス・マネジメントの良書であり、事例も分かりやすい。

しかし、私は西村務著『生産財のマーケティング - ビジネス対ビジネスの戦略と実際』の方が、生産財の営業やBtoBの営業には有益と確信している。

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