法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (4)競合分析・選定基準の明確化

2024-10-26 21:53:48 | ・・購買行動と営業プロセス
それでは、公式購買プロセスの始まりである第四段階を詳しく見ていきましょう。



この段階から顧客は、正式な購買手続きに従って購買活動を進めます。具体的には、問題、課題を解決できる可能性のある製品やサービスを提供できるサプライヤーを探します。複数のサプライヤーと連絡を取り、問題あるいは課題、検討しているソリューションの概要を開示します。

営業は自社の技術者とともに開示された内容を検討・理解します。また、顧客と打ち合わせを行い、問題・課題の理解を確実なものにします。顧客が検討しているソリューションに関しても、適宜、提案を行います。

また、営業は、顧客がどのような選定基準でサプライヤーを選ぶのか、競合がどこなのかを調査します。

RFPを出す側では、選定結果を報告するためのツールとして選定基準を作成します。RFPの中に選定基準が書かれている場合もあります。選定基準を聞き出し、それに対する戦術を考えましょう。

選定基準がない場合が一番危険です。それがないと、「価格だけで決まってしまった」「部長の意向で決まった」など、それまでの営業の努力が無駄になってしまうことが多々あります。

以下は、選定基準の一例です。以前、アップしましたが、参考までにもう一度、記載させていただきます。

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2月中旬に1千万円超の案件のRFPを三社に発行。案件は向こう5年間の設備管理を年約1千万超の金額で請け負ってもらうもので、この他にスポットでの仕事もあります。また、2月14日の記事の案件との複合見積もりも可能とするもので、かつ、向こう5年間のコスト低減プランを要求するものです。

この三社は、大手ビル管理会社のY社、一回目のRFPと同じ外資系大手B社、優良中小企業C社です。回答までの約3週間、前回同様、B社以外の質問はほとんどなし。

こちらが期待していたコスト低減プランを提示してきたのはB社とC社でしたが、具体的なプランはB社のみ。Y社に至っては要求には答えず、一年目の見積書を提出したのみ。また、見積書に関するこちらからの質問には、回答期限を超えて回答。「俺たちを選ばない訳はない」と思っているのでしょうか。

こんなものでしょうか。私だったら「選定基準」や「お困りの点」などを聞きまくります・・・・・前回同様、これらの会社に営業はいないのかと思ってしまいました。

ベンダー評価・選定基準の項目は以下の7項目。



1.技術力
2.価格
3.サービス提供能力
4.企業としての評判
5.担当者・担当チームの能力
6.付加価値
7.支払条件等

項目2の価格以外の各項目には、3つの小評価項目があり、各小評価項目を点数化(満点は100点)し、小評価項目の平均をとったものが。その項目の得点となります。

ちなみに価格は以下の計算式を用います。

最低入札価格/当該ベンダーの入札価格x100

これらの項目や重みづけは業種・業態によって変わります。たとえば、生産財であれば「技術的な課題の解決能力」という項目を設けて、重みづけも高いものになると思います。

私の場合は、このベンダー評価・選択基準を私のクライアント(RFPの送り先ではありません)に事前に説明し、了承を得て、RFPを始めます。また、安すぎる価格を除くために、自分なりの見積金額を提示しています。安すぎる金額には、営業サイドの何らかの理解不足や仕様を無視して無理なシフトを組むなどの勝手な方策があるため、要注意です。

最近は、公正・公平な入札を行うために、入札を専門に行う会社に委託する場合があります。私の顧問先でもある一定の金額以上の入札価格が想定される場合は、当該専門会社に依頼し、ベンダーとの癒着やキックバックなどが生じないようにしています。

それにしても「本物の営業」はビル管理業界にはなかなかいないですね。
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『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - 非公式購買プロセスと公式購買プロセス

2024-10-13 09:30:29 | ・・購買行動と営業プロセス
第一段階から第三段階までは、顧客が検討を重ね、購買の意思決定を行うプロセスで、営業がもっとも顧客に貢献できるプロセスです。

一方、第四段階以降は、購買を実現させるプロセスで、顧客対サプライヤーに分かれて交渉する段階です。

顧客は外部に対して購買の意思を明らかにし、おおやけに調達先候補と接触し、RFPを発行して、提案書、見積書を要求します。

そして、提出された資料を比較・分析して調達先を選定します。

第四段階以降を「公式購買プロセス」と呼びます。反対に、第三段階までを「非公式購買プロセス」と呼びます。

コンプレックスセールスの営業にとって、どちらのプロセスがより重要か。

それは言うまでもなく、非公式購買プロセスです。

このプロセスでいかに顧客のニーズを正確に把握、あるいは、新しいインサイトを伝授し、
自社ならではのソリューションに結び付け、顧客をしっかりサポートし、強固な関係を構築することが肝要
です。

公式購買プロセス開始時点では、顧客の意中の調達先は決まっているのです。

この段階で、「自社ならではの強み」を仕様書に加えられれば、第四段階のRFPも「Win」に決まりです。

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『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (3)説得材料の提供、不安の低減

2024-10-06 20:17:26 | ・・購買行動と営業プロセス
第三段階は、「必要な財の計画」を行う段階で、顧客は「より具体的に」問題や課題の解決に必要な製品・サービスを製品名・仕様・価格等のように具体的に記述します。そして、社内での説明、購入計画(年間予算等)へのインプット等を行います。



ここでの営業の役割は、顧客の「この段階でのキーパーソン」が、社内を説得できる材料を提供することです。

「この段階でのキーパーソン」とカッコ書きにしたのは、この人が第二段階で調べた意思決定者とは限らないからです。キーパーソンは、案件が進む段階によって異なります。

営業は、また、顧客が感じているリスクを和らげ、提案しているソリューションに対する確信を深めさせることが大切です。「この会社の(営業の)ソリューションなら大丈夫だ。サポートも安心」などと顧客に確信させることです。

逆に言えば、営業は顧客が感じているリスクや不安を察知し、それらを取り除くためのデータや情報を提供します。

小型商談では、商品を購入したあとで「買って失敗した」と思っても大きな痛手にはなりません。このため顧客は容易にリスクをとることができます。私も買ったがほとんど袖を通さない服や長続きしなかったスポーツ用具があります。

しかし、コンプレックスセールスの対象となるような製品・サービスはどうでしょうか。買ったはいいが、使い勝手が悪すぎて社内のユーザーの評判が悪いソフトウェア、納期が間に合わず会社のプロジェクトの進捗に悪影響、など、失敗例は身近にもたくさんあります。「もし、そうなったらどうしよう」という顧客が感じているリスクや不安を取り除く努力が必須となります。

営業は自分から進んで話し合うべき点や懸念材料はないかと顧客に聞きます。たとえば、

営業:齋藤さん、これですべてだと思いますが、次のステップに移る前に、もっと説明をききたい点はありますか。
顧客:はい、貴社のサービスサポート体制、とくに、緊急時のサポートについてうかがいたいと思います。
営業:それではご説明いたします。弊社のサービスサポートチームは、・・・

このようなごく普通の話の流れの中で、顧客の懸念事項を解消できます。

また、営業は顧客の課題や問題を解決するために提案した内容が、顧客の計画にもれなく含まれているかを確認するとともに、実施の意向固めのサポートを行います。

更に、購入すべきものの計画や内容が決まっていても、資金の手当てや移転先の確保など、購買を可能にする条件を満たせたかが問題になります。

これが、表中の「調達に伴う十分条件の整備」です。ここまで確認でき、顧客と密な関係が構築できていれば、次の段階、公式購買プロセスに進んでも勝算はかなり高いでしょう。

これまで説明してきた第一段階から第三段階までが、顧客が検討を重ねて態度決定を行うプロセスです。

さて、皆さんの抱えている第三段階の案件の状況はいかがですか。

「まだ、入札の案内が来ていない(見積もり依頼が来ていない)のでやりようがない」ですか?

営業は、とっくに始まっています!!




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