法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』 - 競合分析

2018-08-19 22:31:42 | ・・価値基準で競合を分析する
『理詰めの営業』の競合分析ツールは、マーケティングでいうところの競合分析とは異なります。

一般的なマーケティングでは、目的により各種分析手法を使い分けます。

競合探索ための分析方法:マクロ環境分析、バリュー分析、5フォース分析
競合調査のための分析手法:4C分析、4P分析
戦略策定のための分析手法:SWOT分析

『理詰めの営業』では、「顧客の選定基準に基づいた競合分析」を行います。

「営業のやるべきことが分かる」- 第四段階「競合分析・選定基準の明確化」で述べたように、営業は、サプライヤーの選定基準が何なのかを調査します。

デモ結果、サービスサポート体制、納入実績、価格等、どのような選定基準があり、どのような比重を置くのかを調べます。これが、定まっていない場合は、どんなにデモで良い結果を出しても失注する可能性があります。例えば、顧客に意中のサプライヤーがある場合は、そのサプライヤーを選定するためにデモ結果ではなく納入実績に重きを置いた選定基準を設定するからです。

選定基準については顧客のコミットメントを取っておくほうがよいでしょう(なかなか日本企業相手には難しいですが)。理想的には、第三段階までの間に、営業は自社に都合が良いような選定基準を設けるように顧客を誘導すべきです。

そして、競合他社がどこなのか推定し、競合他社の製品やサービス、強み・弱み等を調査します。

あなたの会社がこのRFPの説明会で初めて呼ばれたのなら、少なくともすでに1社はもっと早い段階から顧客と話会って、懐深く入っています。それがどの会社か分かった上で、その会社と顧客の人間関係、評判をまず調べましょう。この案件に関して、その会社以上に、強い人間関係をあなたが持っているか、気づくことができるかそこが一つのポイントになります。

「選定基準」に対する自社のソリューションとその問題点、懸念事項等を記入し、その上で代替ソリューションとの比較を行います。代替ソリューションには、競合他社の製品やサービスに加えて、現存装置の改良、現状維持も含まれます。この情報を分析し、プレゼンテーションで強調すべきポイント、新規開発の必要性等を検討します。代替ソリューションとの比較は、カタログ値ではなくデモデータ等の実測値であることが望ましく、自社のエンジニアも含めたチームとして人間関係を活用し情報収集に努めます。 

各項目を記入し、優位性のある項目をグリーン、最善ではないが問題なしを黄色、問題のあるところを赤にして、比較し、自社の強み・弱み・問題点を明確にします。選定基準以外の主要な顧客のコメントも記入します。例えばサポート力など顧客から高い評価を得ているポイントは他社と比較します。

以下の事例の場合、三つの選定条件が示され、「装置性能に関しては今のところ問題はないが、中古装置の確保という課題が残る。また、サポート力がセールスポイントである」ことが分かります。

ここでは、価格については、色をつけていません。何故か。価格については、デモを実施し装置の実力が判明してから検討するからです。合理的な金額であれば、デモ結果やROIが良ければ価格が他社よりも高くても問題ではないからです。


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『理詰めの営業』 - 関係顧客分析

2018-08-08 21:29:52 | ・・関係顧客を分析する
この案件に関わる顧客内部のすべての関係者を分析するツールです。

関係者名、役職名、「役割」、「影響度」、「関心度」、「個人的目標」、「会社人としての目標」からなる一覧表を作成します。

関係者の洗い出しには、顧客基礎情報にある組織図、意思決定プロセス情報が必須です。

「役割」は、この案件に関する予算申請者、予算承認者、購入申請者、購入承認者、技術評価実施者、技術評価決定者、ユーザー、オペレーターなどになります。

生産財の営業をしていた当時、私は上記役割を記号化していました。

E(Economic Buyer): 予算の承認・執行権限保持者、製品・サービスの購入承認
T(Technical Buyer): 製品・サービスの技術的な評価を行うエンジニアやマネージメント
U(User): 購入した場合に実際にその製品・サービスを使うエンジニアやオペレーター
A(Adviser): 自社に好意的で関連情報やガイダンスを提供してくれる協力者

この役割は、製品やサービスの種類によって異なります。

「影響度」は、その案件を次の営業ステップに進める力の度合いです。影響度は営業ステップによって変化していきます。例えば、予算申請段階では、課題・問題を把握し、起案しようとしているエンジニアやその上司、部長あたりまでが、影響力が大ではないでしょうか。一般的には、役員や社長はこの段階では口を出さないでしょう。また、会社によっては購入金額により権限移譲があり、影響度の範囲は限定されます。影響度は、大、中、小あるいは5段階の数字などで表します。

「関心度」は、解決すべき問題・課題に対する深刻度です。関心度に関しては、関心「あり」、関心「なし」、「過信」と記入します。関係者がどれだけ「自分自身の問題として問題解決に高い関心」を持っているかが重要であす。関心の低い人にいくらソリューションを説明しても効果はありません。したがって、関心の低い人にどう問題意識を持たせ、深刻度を上げていくかが重要となります。特に影響度の大きい人の関心度が低い場合は、早急に関心度が上がるように手を打つべきです。「過信」は、当該製品やサービスを不要とする考えです。

次に、「個人的目標」は、会社の方針とは別に個人として実現したいと考えている目標で、例えば「ゴルフがうまくなりたい」「実績を作って転職したい」「今のライフスタイルを続けたい」などです。個人のライフスタイル等に関係する内容で、このような情報の入手には顧客との強固な関係の構築が必要です。この情報は接待や面談時の話題などに活用できます。さて「出世したい」と思っている方の場合、営業はどうこの状況を活用できるのでしょうか。

「会社人としての目標」は、仕事上の目標で、例えば、技術部門の部長の場合は、「計画どおりの製品開発」、「歩留まりの改善」、「短期間での量産立ち上げ」などが考えられます。

このように顧客分析を行った上で、各関係者、特にキーマンに対して次の会議等でどう対応すべきかを考えます。例えば、関心の低い人にどう問題意識を持たせ、深刻度を上げていくか等です。

このツールの記入には、顧客との良好で密な関係が必要であり、このツールは「いかに顧客を知らないか」を営業に気づかせるものでもあります。

下記は、測定器メーカーの営業が作成した関係顧客分析の一例。

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