法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

「値上げ何てできねーよ」と怒る営業に値上げさせるには(その2)

2022-12-29 17:56:11 | ・・「だからどうなの」
情報デザインの齋藤です。

さて(その1)の続きです。営業がもっとも嫌う値上げの話でした。

前回、説明した方法は、顧客ごとの価格ギャップを調べ、ギャップの大きさと顧客セグメントに応じた戦略を取ることでした。

具体的には、

① ギャップが小さい場合は、顧客への「戦術的な」アプローチ

② ギャップが大きい場合は、「顧客セグメント」に応じたアプローチ。価格よりも製品の性能やサービスなどに重きを置き、価格についてはさほど問題にしない顧客に重点を置いて、値上げ交渉を実行

でした。

この他の方法としては、PBA(パワーバランス分析:Power Balance Analysis)を行って、顧客における自社の立場が自社有利にあるかどうかを慎重に分析し、自社に有利であれば値上げ交渉を実行するものです。

具体的には、

① 緊急発注してくる顧客:
  需要の急増などで緊急に製品を発注してくる場合で、顧客の方に選択肢は少ない

② 特注品の顧客:
  その顧客専用に作っている製品なので、基本的に顧客に選択肢はない

③ 自社の製品が顧客のユーザーから指定されている場合:
  顧客の製品を買うユーザーの仕様書に「・・・のテスターで試験すること」と書いてある場合などで、これも顧客の選択肢はない

④ 業績が良好でサラリーマン社長が経営している顧客:
  業績が良好な会社は、財布のひもが緩みがちで、価格に対する厳しさも弱まります。
  実際、オーナー企業の社長でもないかぎり、死んでも値上げはさせないという会社(社員)はいない。。。。というのが私の見解です

⑤ 業界として需給が逼迫しているときの顧客:交渉力が強くなるのは明らかです

です。①~⑤どれも供給側に有利であることが分かります。

大事なことは、今後も継続して取引をする顧客であれば、顧客との関係が損なわれない程度に、逆に恩を売れるぐらいの値上げ(恩を売る様なかたちでの値上げ)を行うことです。

それを成し遂げるのが営業。

では、次回は会社としてどう組織的に対応すべきかをお話しします。いや、それは来年にしよう。皆様、よいお年を!

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<調布市仙川で見かけました。ひと昔前の営業いやマーケティングと思っていましたが・・・・>


<新しい仕事が始まり、ストレスたっぷり状態!気分転換に漫画『武蔵野』を読んだ。阿部公房の小説『砂の女』『燃え尽きた地図』の読後感のような不思議な気分。大人の漫画だ>

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円安、ウクライナ紛争等の影響で値上げが必要に・・・(再掲)「値上げ何てできねーよ」と怒る営業に値上げさせるには(その1)

2022-12-18 10:20:24 | ・・「だからどうなの」
円安の進行やウクライナ紛争の影響等による物価上昇の中、顧客も値上げを受けなければならないと腹の中では思ってはいますが、
顧客自身の業績に直結する話であり、すぐにOKとは言うはずがありません。説得しなければならない営業には大きなストレスになります。

以下、私もしばしば経験した値上げの際の考え方です。再掲になりますが、ご参考まで。

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情報デザインの齋藤です。

外資系の営業をしているとトップダウンで値上げの要請がきます。

「値上げ何てできねーよ」「客が逃げちゃうよ」「現場が分かってねーんだよ」などなどのブーイング。

一方、『理詰めの営業』で、「安易に値下げをしない営業の頑張りが、会社に多大な利益をもたらす」と繰り返し言っている私は、説得役にならざるを得ません。

実際、価格の1%の上げ下げは、営業利益を7%上下させるというデータがあります。

しかし、「値下げをしない」というのと「値上げ」では、難しさに数倍の相違があります。

さて、どう対応するか。

一つは、どう営業を説得して値上げの活動をしてもらうか、もう一つは、顧客をどう説得して値上げに応じてもらうかです。

まず、顧客を層別して、トップダウンで言われた価格と現在の価格を比べ、そのギャップを明確にします。

すべての顧客が、新規の価格よりも低いわけではないでしょう。対象は、現在の価格が低い場合のみです。

ギャップが小さければ、顧客への戦術的なアプローチで、値上げは比較的容易と言えます。

一方、ギャップが大きい場合は、アプローチを慎重に検討する必要があります。

アプローチの一つは、顧客セグメントに応じた戦略です。

顧客には、価格に敏感な顧客と、価格よりも製品の性能やサービスなどに重きを置き、価格についてはさほど問題にしない顧客もあります。

後者のような顧客では、前者よりも高い価格で販売可能です。

同じ製品を同じ顧客に売る場合でも、短納期で対応、一部カスタマイズ、保証期間を延長、アプリケーションサポートの延長など顧客の欲するものを提供することにより値上げも可能になります。

もちろん、顧客とのその時点での関係(トラブル発生時などにはもちろん言えない)、競合の出方、顧客の戦略的重要度などを考慮すべきであることは言うまでもありません。

さて、この他にどのような値上げの方法があるでしょうか。引き続き検討していきましょう。

<ストレスの多い日々、気分転換に漫画『武蔵野』。阿部公房の小説『砂の女』や『燃え尽きた地図』の読後感の漫画。この奇妙な感覚を作者は狙っていたのか>


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Coffee Break:『Steve Jobs』を偲んで- シンプルにする

2022-12-10 17:25:39 | ・・スチーブ・ジョブズの営業
情報デザインの齋藤です。

伝記「スティーブ・ジョブズ」(ウォルター・アイザックソン著)の続きです。

「シンプルにする、つまり、背景にある問題を本当に理解し、エレガントなソリューションを考え出すというのは、とても大変な作業なんだ」(スティーブ・ジョブズ)

これは、スティーブが、製品のデザインについて述べたものです。

私は、ビジネスイッシューのソリューションもシンプルでなければならないと思います。

複雑すぎては実施が困難、コストもかかります。

策士、策に溺れるということにもなりかねません。

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< 我が町、調布を描いた(?)『死都調布』の作者の最新作が今日、出版されました。阿部公房の『箱男』や『砂の女』のような奇妙な読後感です>
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Coffee Break:『Steve Jobs』を偲んで- 共食いを恐れるな

2022-12-02 23:17:45 | ・・スチーブ・ジョブズの営業
伝記『Steve Jobs』(ウォルター・アイザックソン著、井口耕二訳、講談社)の続きです。

iPod & iTunes、何故、ウォークマンで世界を席巻したソニーは、この仕組みを作れなかったのか。

ハードディスク業界にいた私は、ソニーが似たような構想を持っていたことを知っています。

しかし、何回打合せしても前に進まない意思決定ができない会社との印象を持ったことも覚えています。

ソニーには、ハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ販売を統合するというジョブズの戦略に対抗するために必要なものはすべて揃っていました。

何よりもウォークマンとうい強力なブランドを持っていました。

構想が実現できなかった理由の一つは、部門ごとの独立採算性にあったと言われています。

そのような組織だと各部門の利害がからまり、部門間が連携して相乗効果を生むのは大変困難です。

一方、アップルはカリスマのジョブズがすべてをコントロール、会社全体で損益を考えます。

もう一つの失敗の原因は、ソニーが共食いを心配したこと。

デジタル化した楽曲を簡単に共有できる音楽プレーヤーとサービスを提供すると、自社のレコード部門の売り上げが減ってしまうと心配したのです。

一方、ジョブズは、「共食いを恐れるな」を基本原則にしています。

「自分で自分を食わなければ、誰かに食われるだけ」

だから、アップルはiPhoneを出せばiPodの売り上げが落ちるかもしれない、iPadを出せばノートブックの売り上げが落ちるかもしれないと思っても、ためらわずに突き進みます。

ソニーは、遅ればせながらソニーコネクトという類似のサービスを開始しましたが、3年強で撤退。部門間の抗争が原因と言われています。

「食われる前に食う」。コンピュータの歴史をみても分かることですが、なかなか「自分で自分を食う」決断はできない、まさに、『イノベーションのジレンマ』(クレイトン・クリステンセン著)」です。





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