法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (8-4) 相互依存関係を深化させるポイント-2

2024-12-28 16:44:29 | ・・購買行動と営業プロセス
相互依存関係を深めていくことの重要性を、ハードディスクや測定器、ビル管理のセールス、いわゆる、コンプレックスセールスを行ってきた私はたびたび痛感させられました。

相互依存関係深化のためには、下記の3点を日々、顧みることが肝要です。

・どの顧客と接点があるかではなく、個々の顧客からどう思われているか。


「担当エンジニアも課長も部長も事業部長もその上の役員も社長も知っている」ことはすばらしいことですが、その人たちにどう思われているか考えて見ましょう。「頼りになる営業」と思われているでしょうか。

・売り手と買い手は、どれくらい依存しあっているか、あるいは、依存しあっていると感じているか。

あなたが依存していなければ顧客も依存していないかもしれません。いやいや「彼女は俺にべたぼれ」とうぬぼれて振られたことはありませんか。自分の製品がないと顧客がどれだけ困るか具体的に考えてみよう。顧客の選択肢は?

・売り手が買い手個人をどれだけ知っているか、買い手の心理に配慮できているか。

手始めに『理詰めの営業』の「関係顧客分析」を埋めてみましょう。

例えば受注できた直近の案件の関係者を洗い出し、記入してみてください。

そこまでの時間がない方は、最も仲の良い顧客の上司について検討してみてください。

この段階でつまずいているようでは、顧客リレーションシップの構築がまだできていないというしかないです。



深いリレーションシップを築けるかどうかは売り手次第です。

営業だけでなく、開発、製造、サービスのエンジニアにも参加してもらい、人的な依存関係の構築、マルチチャネルの情報収集を行いましょう。

また、単に顧客の要望に応える、顧客を傷つけないように大事にする、というのではなく、技術的な議論などを通じて、お互いに刺激し合える関係にまでなれば、より強固なリレーションシップが築けたといえるのではないでしょうか。

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『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (8-3) 相互依存関係を深化させるポイント - 1

2024-12-20 23:29:13 | ・・購買行動と営業プロセス
先週お知らせしたように、顧客リレーションシップという無形資産を増減させる行動で、一番懸念しているのは顧客とのコミュニケーションです。

「こちらから電話をかける」vs「顧客からの電話に折り返すのみ」とありますが、現状は
「こちらからメールする」「顧客からのメールに返信するのみ」ではないでしょうか。



実際、顧問先の協力会社の営業を観察していると、メール以外のコミュニケーションが非常に少ないことが分かりました。
メールでの問い合わせには、きちんと回答してきます。しかし、言葉を交わすのは、月次定例会時の30分程度です。
しかも、質問はほとんどなし。来年度の投資に対する提案など、下調べしなければならないことはたくさんあるはずですが、なにも聞いてきません。
こちらが詳細を伝えるのを待っているようです。他のベンダーとすでに商談を進めていたらどうするつもりなのでしょうか。
「営業のやるべきことが分かる」-第四段階「競合分析・選定基準の明確化」で書いたようにRFPが発行された時点で、
すでに顧客の意中の企業は決まっているのです。

たしかに、メールの活用によりコミュニケーションの頻度や情報量は増えています。
しかし、顧客リレーションシップの「深化の度合い」はいかがでしょうか。

いまさらですが、メールには以下のようなメリット、デメリットがあります。

・メリット
- 自分の都合で送信・受信できる
- 相手も自分の都合で確認、返信できる
- 複数の相手、社内、社外にも同時に送信できる
- 添付機能やURLを使い、多くの情報を伝えられる
- 履歴が残せる

デメリット
- 感情や思いが伝わらない
- 相手がいつ確認するかわからない
- 複雑な内容や微妙なニュアンスを伝えるのが難しい
- 送信者の意図とは違った意味合いで受け取られることがある
- 誤った情報でも履歴として記録が残る

「履歴が残る」ことをメリットとしてあげましたが、状況によってはデメリットになります。

「非公式情報」はメールでは送れません。

先週書いた、下記の質問(コンプレックスセールスに必要な情報)にメールで応える人はいないでしょう。

・中長期投資計画、本年度の投資計画は。
・現在の問題・課題は。
・顧客の事業は今後どのように展開していくのか。
・それが今後の購買にどう影響するか。
・競合他社はどのような製品戦略を持っているか
・競合他社の製品への満足度は。問題点は。
・我々の製品は顧客のニーズに十分応えているか
・我々の製品は顧客の課題・問題を解決しているか。
・意思決定プロセスは。
・キーパーソンはだれか。
・新任の事業部長の経歴や評判は。
・なぜ、A氏は我々の製品が嫌いなのか。

メールのデメリットの部分を面談等、他の方法で補っているか、顧客の期待に本当に答えているか、日々、考えて行動する必要があります。
メールで事が順調に進んでいると思わないことが大切です。

コンプレックスセールスに必須の上記情報を得るためには、相互依存関係の深化が必須です。その上で適切なコミュニケーション手段の選択が必要です。
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『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (8-2) 納品後の成果の確認 & 相互依存関係の深化

2024-12-13 16:30:32 | ・・購買行動と営業プロセス
さて、注文をもらい、「選んでいただいた」「借りがある」売り手は、その後、どうリレーションシップを維持・発展させればよいのでしょうか。

リレーションシップが深まれば、いままで入手しにくかった様々な貴重な情報が、嘘のように手に入るようになります。

たとえば、顧客は次のような質問に答えてくれるようになります。

中長期投資計画、本年度の投資計画は。
現在の問題・課題は。
顧客の事業は今後どのように展開していくのか。
それが今後の購買にどう影響するか。
競合他社はどのような製品戦略を持っているか
競合他社の製品への満足度は。問題点は。
我々の製品は顧客のニーズに十分応えているか
我々の製品は顧客の課題・問題を解決しているか。
意思決定プロセスは、キーパーソンはだれか。
新任の事業部長の経歴や評判は。
なぜ、A氏は我々の製品が嫌いなのか。

『理詰めの営業』の分析に必要な情報が容易に入手できるようになります。

逆に、競合他社に案件を取られたり、販売の予想が外れたり、「え、どうして」と相手の行動に不意を突かれたりするのは、
リレーションシップが弱体化し、隙間風が吹いているからです。

顧客から苦情が来ないのは、リレーションシップに軋みが生じている兆候の最たるものです。
顧客が言葉に出さないのは、信頼が薄れていたり、リレーションシップに陰りが表れたりしている証拠です。

あなた自身も体験したことがあるはずです。「言ってもしょうがない」。

<相互依存関係のない会社はあるか?>


<相互依存関係の深化は恩恵をもたらす>


「顧客リレーションシップ」は無形資産です。資産ですのでその価値は増減します。
資産を増加させる行動と減少させる行動をまとめてみました。



私が一番懸念しているのは顧客とのコミュニケーションです。

「こちらから電話をかける」vs「顧客からの電話に折り返すのみ」
とありますが、現状は
「こちらからメールする」vs「顧客からのメールに返信するのみ」
ではないでしょうか。

メールの活用によりコミュニケーションの頻度やボリュームは増えているかもしれません。しかし、顧客リレーションシップの「深化」はいかがでしょうか。
次回は、インターネット時代のコミュニケーションとCRMについて考えてみます。
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『理詰めの営業』- 購買行動と営業 - (8-1) 納品の成果のフィードバック & 顧客関係の維持・強化

2024-12-05 20:59:45 | ・・購買行動と営業プロセス
「契約完了。さて次の案件」とは簡単にいかないのがコンプレックスセールス。
納入までの長い道のり、納入してからの更なる苦難の道が待っています。

また、契約の内容も売って終わりではなく、長期を前提としたレンタルやアウトソーシング、
長期間に渡り納品を継続する契約、納入後のメンテナンスを含む契約、など、
長期的な取引を前提とした契約形態が増えています。相互依存が原則となる取引条件の増加です。

私が扱っていた生産財の場合、メーカーは「協力会社の設備(部品・材料も同様)がなければ製品を作れない」、
協力会社は「メーカーに購入してもらうために設備(部品・材料も同様)を作っている、転用先はない」状況にあり、
相互依存どっぷりの関係にあります。もちろん、コモディティ化した部品や製品も若干ありますが。

このようなことから長期に亘る相互依存関係を原則とした契約の場合、
顧客とのリレーションシップを深め、「信用」という無形資産を守り育て続けることが大切です。


ともすると、売り手は、契約が取れると「目標達成だ。次だ、次だ」と思い、
緊張感が緩み、リレーションシップは縮小してしまいます。
それは、競合に付け入るスキを与えることになります。というのも、買い手の評価は終わっていないのです。
それどころか、期待通りの結果が出るか、関心を持ち続け、緊張は一層高まり、コミットメントを深めまようとします。

また、買い手の立場に立てば、「いくつかの競合の中から選んであげた」
すなわち「貸しをつくった」「恩を売った」と買い手は思っているのです。
このため、謙虚な売り手であれば「選んでいただいた」「借りがある」と思うはずです。

この売り手の立場を素直に捉えて、リレーションシップを築き直し、発展させていく必要があります。



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