法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(7) - 自社のポジションを探る

2024-01-08 17:27:33 | 会議設計
ここでは「日常業務にどう会議設計を活かすか」をお話していますが *****以下の文章は。以前ご紹介したコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

会議設計のコンセプトを営業以外の日常業務に活かす場合、「自社のポジションを探る」はどのようなことに相当するでしょうか。

対外的な話であれば、ビルのテナントとしての「自社」、あるシステムのユーザーとしての「自社」などが考えられますね。

テナントの場合、大家さんの収入に占める割合が高ければ強気の交渉が可能でしょう。

あるシステムのユーザーの場合も、大規模システムを借りていれば強気の交渉が可能と言えますが、他社のシステムに移行できず、現在の会社への依存度が大きくなってしまった場合は、逆の立場になりかねません。

日常業務を見渡して自社、自分の部署、あるいは、自分自身がどんなポジションにいるのか考えて見るのも面白いです。

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客先での自社の現時点のポジションを整理し、「良好」「問題あり」の判定を行います。

例えば、「キーパーソンと課題を共有できている」「過去の納入実績は他社の2倍」「サービスサポートについては高く評価されている」「財務的に安定(無借金経営)」などはプラスに評価できます。

一方、「前回の投資では失注している」「オペレーターが弊社のサービスエンジニアを嫌っている」などはマイナスに評価されます。会議の直近に起きた故障もマイナスです。私自身も、実際、顧客訪問の直前にシステムダウンが起き、新製品の売り込みに苦労したことがあります。

いずれにしても、「顧客基礎情報分析」「問題・課題・ニーズ分析」「関係顧客分析」「競合分析」「自社分析」から出てきた強み・弱み・課題を整理し、会議に影響のある項目を記入します。

その中で、営業ステップを前進させるために何をどうこの会議で活用し、何をどうリカバーするか検討します。すなわち、自社の強みを活用し、弱みをリカバーする方法を考えます。

例えば、サービスサポートを顧客が高く評価しているのであれば、プレゼンに自社のサービス体制や実績を加え、他社との差別化のポイントにします。
逆に前回の投資で失注しているのであれば、失注原因を明らかにしてそのリカバーができていることを明確にします。例えば、前回は他社にあって自社にない機能があったが今は十分に対応できるとプレゼンすることです。

今回の例であれば、納入実績はプラス要因ですが、「山形事業所でのトラブルによる装置の安定性への疑問」や「原宿部長が競合メーカーの高雄工業を高く評価」はマイナス要因となります。これらを踏まえて、どのように会議を設計するかを考えます。

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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(X) - 今年はこれにて!来年は1月7日から掲載開始。

2023-12-23 18:12:45 | 会議設計
ここでは「日常業務にどう会議設計を活かすか」をお話していますが、今年はこの辺で。続きは1月7日に。

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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(6) - 相手の期待を予想する

2023-12-10 20:09:39 | 会議設計
ここでは「日常業務にどう会議設計を活かすか」をお話していますが *****以下の文章は。以前ご紹介したコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

ここでいう相手の期待というのはポジティブなものばかりではありません。

実は、明日、ISO14001の会議を招集しています。今月、社内の予行練習、来月本番のオーディットがあるためです。

しかし、出席者の気持ちは、

「めんどくさいなぁ。本業と関係ないじゃん」
「齋藤さん、まとめてやってよ」

というのが本音だと思います。どう話を持っていけば、分担して作業をやってもらえるか、上司にどう言ってもらえば良いか、などをこの週末考えています。

毎週話しているお父さんのお小遣い値上げの話も同様です。

「ちょっと話があるんだけど」

と行った時、奥さんはなに期待しているでしょうか。

普段会話のない夫からかしこまって言われると警戒心が百倍に膨らむのではないのでしょうか。

この場合は、相手の期待を予想できても対策が立てられない!!かもね。

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2020年もまもなく終りですね。

売上に余裕のある営業は、今月無理に注文を取らないで来年に持っていこうと考えていることでしょう。

一方で、売上未達成の営業は、あと4週間でなんとかクローズしなければなりません。売上未達成では、営業を外されるかもしれません。外資系にいた私も、四半期ごとのプレッシャーはかなりありました。

各案件は、『理詰めの営業』で最初に作った営業ステップのどこにあるのでしょうか。あと4週間でクローズできる案件は、最終ステップに近いものに限られるでしょう。それを見極めた上で、

・手持ちのリソース(社長、役員、上司)を最大限に活用して顧客を説得。
・顧客の最終意思決定者にダイレクトにコミュニケーションを取り、決裁してもらう。そのために、短時間で琴線に触れるプレゼンを準備。決裁と同時に関係部署に発注の手続きを取るように指示も出してもらう<これをSkypeなどでやらねばならないことが昨今の難しい点>
・今月中の発注を条件に値引き。そのためにはある程度値引きの余地を残してあることが前提。
・発注が決まっていて顧客の事務処理が遅い場合は、納期に影響を与える等伝えてプッシュ。例えば、生産のキャパが限られているので今ある製品は他の顧客に回ってしまうなど。

などのアクションを取りましょう。

これらができるか否かは、各案件の状況を社長・役員・上司等が共有化していて、かつ、関係顧客を十分に理解し顧客と良好な関係が構築できているかにかかっています。

『理詰めの営業』の各種分析とそれに対するアクションが取れているかどうかなのです。

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さて、本日のテーマは、「相手の期待を予想する」です。

その前に、ここまでの流れを整理してみます。

まず、「会議のゴールを設定」します。
そして、そのゴールを達成するための具体的な「シナリオを作成」します。
ここから、目標達成に必要な「必須出席者(顧客および自社)の確認」、「確認事項・不足情報の洗い出し」を行うというものでした。

次に、顧客の各出席者がどのような期待・考えを持って会議に来るのかを予想します。

今回の事例では、顧客から打診があった翌週に顧客V社と打ち合わせを行います。目的はRFPへの参加の可否決定に必要な詳細情報の収集および参加する場合の戦略立案に必要な情報の収集です。

その打ち合わせのための「会議設計」です。

先週の記事では、「V社との打ち合わせでは、V社の担当者だけがいいのか、上司にも出ていただいた方がいいのか、どちらが詳細情報を聞き出せるか、営業の判断が求められます」とありましたが、

今回はV社の担当者とだけ面会(または電話会議で打ち合わせを)すると仮定しましょう。

V社の担当者の期待はどうでしょうか。

今までのV社との関係の密度や経過により、想定される内容は異なりますね。

例えば、

a.(現在のベンダーには不満)、是非、代わりのベンダーがほしい。ついては、この会社のことをもっと知りたい。
b. この会社のことは良く知っているので、是非、RFPに参加してもらい、選択肢の一つになってほしい。
c. この会社のことは良く知っており、是非、RFPに参加してもらい、この会社に任せたい。
d. 大阪支社はこの会社に任せているが、担当者やリーダーが頻繁に変わるようだ。大丈夫だろうか。とりあえずRFPに参加してもらおう。
e. 三社に見積もりを成立させるため、参加して欲しい。本命は現行ベンダー。

この事例は、ビル管理ですが、上記のシチュエーションは、他の業種でも当てはまるでしょう。さて、あなただったらどう対応しますか。

相手の期待を予想することにより、打ち合わせに必要な資料や話の内容、順番、役者の選択などを適切に行えるようになります。



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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(5) - 役者を揃える

2023-12-03 19:44:35 | 会議設計
ここでは「日常業務にどう会議設計を活かすか」をお話していますが *****以下の文章は。以前ご紹介したコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

さて、1:1の会議の場合を除き、シナリオにはゴール達成の応援団となるべき登場人物(役者)がいるはずです。

例えば、営業の説明を補足してくれるエンジニアや予め仕込んでおいて「なるほど」と言ってくれる顧客側の役者。

打合せには受け身なものもありますが、自分が能動的に仕掛けた打ち合わせは、シナリオのある劇です。

先週も使ったお父さんの小遣い値上げの話に子供させて、

「お父さんがかわいそう」と言ってもらってはどうでしょう。

奥さんも軟化するかもしれません。

「子供を巻き込むな」と怒鳴られるかもしれませんが。

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「できる営業」は、会議のゴールを達成するまでの議事進行のシナリオが頭の中にできています。それまでの経験と訓練から導かれるもので、シナリオだけでなく会議を進めるための問題点や不足している情報なども即座に整理できます。



シナリオを考え、それが決まったら、「最大のゴール」を達成するために必要な人をリストアップし、会議への出席を依頼します。

会議への招集を担当者に任せるのではなく、営業自らキーパーソンに連絡し、出席を依頼すべきです。そのためには、キーパーソンに事前に会い、良好な関係を構築しておく必要があります。

相手任せではなく、営業自ら積極的に、能動的に会議をプランし、営業ステップを前に進めるように策(戦略というほどではない)を練ります。

さて、ビル管理の事例について考えます。

この事例では、顧客から打診があった翌週に顧客V社と打ち合わせを行います。目的はRFPへの参加の可否決定に必要な当該案件の詳細情報の収集および参加する場合の戦略立案に必要な情報の収集です。

前々回の記事に書いたように、

Step2の打ち合わせで調査・確認しなければならないのは、
・案件の内容:最初のV社からの電話で、大まかには聞いているでしょうが、RFPの対象となる物件、業務範囲など案件の内容を確認
・スケジュール:RFPの資料の入手から提出、受注した場合の業務実施時期の確認
・RFPの条件:三社見積りか、競合はどこか

「もっと重要なこと」は、
・V社が現在のベンダーに満足しているか
・満足していないとしたらどんな点か
・満足している場合、ベンダーを変更させることができるか
といった点を確認することです。



さて、V社との打ち合わせでは、V社の担当者だけがいいのか、上司にも出ていただいた方がいいのか、どちらが詳細情報を聞き出せるか、営業の判断が求められます。
もちろん、こちら側も日ごろ接している営業だけがいいのか、上司や他の部署の人も出席すべきか、などゴールを達成するための「役者」を考える必要があります。

ちなみに、上記のような調査項目のうち「もっと重要なこと」についてメールで聞いても、回答してこないでしょう。証拠が残るようなことはしたくないからです。

新型コロナ騒動の中、面談は難しいかもしれません。最低でも電話会議を行い、ゴールを達成できるように「会議設計シート」を用いて準備しましょう。

次回は、「相手の期待を予想する」です。

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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(4) - シナリオを考える

2023-11-26 20:35:47 | 会議設計
ここでは日常業務にどう会議設計を活かすか、をお話していますが *****以下の文章はコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

先週の記事でゴール設定の一例として

・社内プレゼンで課長に提案を承認させる(最大のゴール)
・提案内容を課長に理解させ(理解していただき)、更なる検討の了解を得る(最小のゴール)

を上げましたが、このゴールを達成するための道筋を考えるプロセスが「シナリオ作成」です。

日常業務ではありませんが、分かりやすい事例として、これも先週あげた

・カミさんに小遣い1万円値上げを申請し、認めさせる。(最大のゴール)
・カミさんに小遣い1万円値上げを申請し、3千円は認めさせる。(最小のゴール)

について考えてみましょう。

唐突に「小遣い1万円上げてくれよ」と言っても、「馬鹿じゃないの。今朝の新聞見てないの。物価が上がってこっちだって大変なのよ・・・・・」と十倍返し。

やはりタイミングとストーリーが必要。じっくりシナリオを考えてみよう。例えば、

1.カミさんの得意料理が出たときに、「やっぱりこれ旨いな」とほめる。カミさん、にっこり。
2.「昼飯はコンビニ弁当ばかりだしな」というと「そうねコンビニ弁当ばかりだと体に良くないわ」とカミさん。
3.「せめて定食屋で食べれたらなぁ」とオレ。「定食屋だといくらぐらいかかるの」とカミさん・
4.「800円から1000円」とオレ。「コンビニ弁当とは大分違うね」とカミさん。
5.「小遣い少し上げてくれない?」とオレ。「少しっていくら」とカミさん。
6.「一万円」とオレ。「あなたに体を壊されたら困るかいいわ」とカミさん。

先週言った「給料が上がらないのに何故、小遣いを上げなければならないのか」の理由として健康問題を上げたが果たして・・・・6の通りに行くか。

7.6でカミさんが無言の場合は「三千円でもだめ?」と弱気なオレ。

やはり、「馬鹿じゃないの。今朝の新聞見てないの。物価が上がってこっちだって大変なのよ・・・・・」に戻りそう。

営業の値上げ交渉より難しそうですね。

いずれにしても大事な打ち合わや交渉の際は、あらかじめシナリオを考え、刺さる一言や質問を考えておくことが大切です。

小遣い値上げで刺さる一言があったら教えてください。

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正月明けの一週間は結構、仕事の密度の濃い5日間になりました。

支援先に外資系企業が多いため、クリスマスの前あたりから顧客の反応がスローになり、年末は少し楽になりました。しかし、逆に年始、海外の企業は2日から始まっているので、メールも溜まっていますし、エンジン全開の人もいます。こちらも年始の挨拶もそこそこにほぼエンジン全開でした。

この三連休はありがたい。旧正月、早く来てくれ(アジア地域の会社が休みになるところが多いので)。

さて、会議設計に戻ります。

「できる営業」は、会議のゴールを達成するまでの議事進行のシナリオが頭の中にできています。それまでの経験と訓練から導かれるもので、シナリオだけでなく会議を進めるための問題点や不足している情報なども即座に整理できます。

ここでは、客先に行く前の「事前打ち合わせのたたき台」として、営業の稲田さんにシナリオを考えてもらいます。



私:稲田さん、できるだけ具体的にお願いします。不足している情報や社内で検討すべき点も挙げてください。
稲田:場所は、品川電子開発部会議室、縦長に2列テーブルが並んだ会議室か、それともロの字に並んだ会議室か、先輩に確認する必要がありますね。プロジェクターは設置されていると思うが、これも確認し、使用許可をもらいます。
全体の流れは、名刺交換、仙川部長に口火を切ってもらって業界の話で場を和らげたところで、本題の歩留まり改善方法のプレゼン、デモ提案、デモ日程の検討・決定の順。最後に、競合他社の状況を確認。議事進行は齋藤課長。
私:山形事業所で先月起きたトラブルの件は、品川電子の方も気にされていると思います。この会議で状況を説明しますか。
稲田:1か月前に起きた山形事業所でのトラブルの件は、故障解析も終わり、対策を打ったことを説明する予定です。どのタイミングで言うべきか、言わざるべきか、事前打ち合わせで検討します。
私:御社からの出席者と席順は?
稲田:席順はプロジェクターに一番近いところが営業の稲田、そこから営業課長の齋藤、営業部長の仙川、プレゼンを行うアプリケーションの高井、そして装置を開発した課長の柴崎。
私:絶対に出席して欲しい品川電子の方はどなたですか?
稲田:品川電子に出席を依頼したのは歩留まり改善を急いでいる開発部渋谷部長、目黒課長、大崎主任。渋谷部長に決定権があるらしいので渋谷部長は必須です。
私:他には?
稲田:・・・・
私:デモを行うかどうかは渋谷部長が決めるようですが、デモはどのように行うのですか。
稲田:あ、そうだ、デモが決まった場合、サンプルが必要になるので生産技術部の出席が必要ですが、誰かきてくれるかな
私:誰か来てくれるかではなく、必要な人を出席させる。誰を?それが重要です。

稲田さん、課長に電話。即決させるためには生産技術部の原宿部長の出席が必須だということになりました。

私:競合情報を聞き出せそうな人はいますか?
稲田:購買の山田主任なら少し教えてくれると思います。会議には声をかけておいて、情報収集は席を変えての方がよさそうです。
私:では、会議設計シートに、今話した内容を記入してください。



まずまず埋まったようですね。事前打合せまでは、少し時間があるので、宿題も解決し、シートの内容も更に詳細なものになるでしょう。



まずシナリオを考え、それが決まったら、「最大のゴール」を達成するために必要な人をリストアップし、会議への出席を依頼します。前述の会話例では、曖昧な点もありますが、開発部部長、生産技術部部長の二人が必須出席者になります。

会議への招集を担当者に任せるのではなく、営業自らキーパーソンに連絡し、出席を依頼すべきです。そのためには、キーパーソンに事前に会い、良好な関係を構築しておく必要があります。

相手任せではなく、営業自ら積極的に、能動的に会議をプランし、営業ステップを前に進めるように策(戦略というほどではない)を練ります。
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