法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

「営業がやるべきことが分かる」 - その営業を勉強する方法は?(その2)

2018-04-30 23:11:37 | マーケティングと理詰めの営業
大前研一が営業プロフェッショナルを志す人のために書いたという本も読みました。

書籍名:大前研一と考える営業学 営業こそプロフェッショナルを目指せ
出版社:ダイヤモンド社
著者:大前研一(㈱ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長)、ほか

大前研一が営業をどう料理するのか、かなり期待して読みましたが、期待外れでした。

大前研一をしても営業を科学するのは難しいということでしょうか。

確かに、本のタイトルも「大前研一の・・・・」ではなく、「大前研一と考える・・・・」と、いつもより一歩引いたタイトルです。

章立ては以下の通り。

第一章 営業のプロフェッショナル化
第二章 問題解決型営業のすすめ
第三章 営業のマーケティングマインド
第四章 営業のセルフ・マネジメント力
第五章 営業チーム力の向上

どの章も重要な内容であるが、今までの大前研一の本には必ずあった、斬新さ、「目からうろこ」といったところが、残念ながらありませんでした。

具体的なソリューションとしては、アビームコンサルティングの「ロジカル・セリング」が、一歩あるいはそれ以上進んでいると思いました。

結局、マーケティングの考え方を参考にしつつ成績優秀な営業を研究することにしました。良い顧客を担当しているから営業成績が良いのか、良い営業だから重要な顧客をまかされているのか、見極めながら、様々な業種の営業や経営者の方々と話をさせていただきました。

その結果、見えてきたのは優秀な営業は、案件の匂いをいち早く嗅ぎ付け、蓄積した顧客情報等を元に受注までの営業ステップを即座に、かつ、関連する顧客の顔も含めて具体的に頭に描きます。そして目的達成のための戦略・戦術を練ります。営業ステップは、営業個人には依存せず、業界、業種、製品、サービス等に応じたものとして存在します。この営業ステップと推進方法を共有化することは可能です。

トップセールスは、案件ごとに常に最新の情報を収集・分析し、戦略を立て、能動的に会議を設定し、営業ステップを受注へと一歩一歩確実に前進させていきます。このトップセールスの頭の中にあるセールス方法を整理・可視化し、体系化しようと考えました。

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「営業がやるべきことが分かる」 - その営業を勉強する方法は?(その1)

2018-04-22 22:09:19 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
理系の大学を卒業し、エレクトロニクスのエンジニアからマーケティングそして営業とキャリアを積み重ねるなかで、どう勉強したらよいのか一番悩んだのが営業でした。

エンジニアの仕事は、学生時代に学んだ数学や物理、化学、専門科目を基礎にして、実務を行いながら関連する書籍や論文を読み、自分の知識・経験を蓄積していきました。

転職してプロダクト・マーケティングとなったときは、技術的なバックグラウンドを活かしつつ、フィリップ・コトラーの『マーケティング・マネジメント』や田中幸一の『マーケティング理論と実際』、西村務の『新しい生産財のマーケティング』などを精読。また、ボストンカレッジのエグゼクティブコースでインターナショナル・マーケティングを学ぶ機会もいただきました。今も、Webマーケティングや中高年のマーケティングなど興味を持って研究しています。

では、営業はどうでしょうか。

何事も新しいことを始めるときは勉強から入ります。営業を学問的に研究しようと思いましたが、営業学という学問はありません。営業はマーケティングの4P(製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion))のプロモーションの中の人的販売に過ぎません。コトラーの本を紐解いても、営業に関する記述は多くはありません。

一方、書店に行くと営業に関する本はたくさんあります。

外資系コンサルティング会社の社員が書いた本には、論理的に営業を分析したものもあり、ある程度は役立ちましたが、肝心なところがぼやけていたり、事例の内容が簡単化されすぎていたりで、今一つ満足できない内容でした。

また、営業の神様といわれる人たちが書いた営業の本は、精神論、根性論が多く、元気づけられることはありましたが、営業の方法論を考える上ではあまり役立ちませんでした。

私自身がハードディスクの営業をしていたのは、パソコンのハードディスクが搭載され始めた時期でした。世の中がその製品を必要としていたので、同業他社との競争はありましたが、自分のエンジニアとしての経験を活かして、顧客の懐に入り、信頼を築くことにより、比較的容易に成果を上げることができました。

しかし、90年代後半に半導体製造装置の営業に移ってみると、私のやっていた素人営業では通じませんでした。

担当していた半導体製造装置の場合、顧客が世界を代表する企業で組織が巨大、顧客の意思決定は非常に複雑。販売する製品も高価で技術的にも高度で複雑。ハードディスクの時は、エンジニアとしてのバックグラウンドを生かして、一人で営業をできましたが、半導体製造装置ではそうはいきませんでした。

どうすればいいのか。同じような立場の営業はいるはずですが、勉強すべき適切な本が見つかりませんでした。さて、どうすればいいのか。
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「営業がやるべきことが分かる」-営業の基本としての人間関係作り

2018-04-15 21:33:13 | マーケティングと理詰めの営業
営業の場合、ゼロから人間関係を作らねばならないことが多々あります。誰かに紹介してもらう場合は、あらかじめどのような人か人物像、評判を確認することができます。そうでな場合は、ゼロから手探り状態で「相手を知る」「こちらを知っていただく」ことを行っていく必要があります。

いきなり本題に入るのではなく、最初は差し障りのない時候の挨拶から入って、誰でも耳に入れているような業界の話題、ゴルフなどのスポーツの話題、政治以外のテレビニュース、酒や食べ物の話などから相手の反応を見ながら入ります。相手が話しやすいリラックスした雰囲気を作ることが重要です。

例えば、相手が日焼けをしたスポーツマンタイプであったら、「何かスポーツをおやりですか」と尋ねても良いでしょう。「いやぁ、毎週末、家庭菜園をしていまして」となったら、「どんな野菜を作られているのですか」「どのような手入れをされていますか」など二三質問してみましょう。それと自分のことも伝えると相手の記憶に残ることができます。例えば、「私は家庭菜園というほどのことはやっていませんが、ベランダで昨年、ゴーヤを植えて結構収穫しました」など実体験に基づいた話をすることはできます。

とは言え、仕事中なので無駄話ばかりをする訳にはいきません。話題に対する相手の反応を見つつ、仕事が好きな人間か、相手はどういう立場かなどを確認しながら、タイミングを見て(空気を読んで)、本題に入っていきます。アポを取るときに、「何々をご紹介したい」などと目的を事前にお伝えしておけば本題に入りやすいでしょう。

事前に相手から聞き出したい情報を整理し、それを引き出すための質問を用意しておきましょう。例えば売ろうとしている製品の導入目的となる相手の製品の技術的な課題などがあれば、「業界では・・・のような課題はありますがどう思いますか」などと質問してみましょう。想定している課題があるか、課題はあるが気づいていないだけか、あるいは課題そのものがないか(的外れ)、探り出しましょう。

また、相手の話の中に、別の潜在的な課題が眠っている可能性がありますので、相手にしゃべらせながら、察知することが重要です。

相手が興味をもったら更に具体的で詳細な話をさせて欲しい旨を伝えて、次のアポを取りましょう。営業が技術的なことまですべてカバーできるのが理想ですが、昨今の複雑な技術の説明にはエンジニアのサポートが必要です。チームで対応することをお勧めします。チームとして、会社としての対応ができるよう、営業は会社の組織を動かさねばなりません。
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「営業がやるべきことが分かる」-第三段階「説得材料の提供と不安の除去」

2018-04-08 20:32:25 | マーケティングと理詰めの営業
営業活動の第三段階では、顧客は「より具体的に」問題や課題の解決に必要な製品・サービスを製品名・仕様・価格等のように具体的に記述します。

そして、社内での説明、購入計画(年間予算申請等)へのインプットを行います。

ここでの営業の役割の一つは、顧客の「この段階でのキーパーソン」が、社内を説得できる材料を提供することです。

「この段階でのキーパーソン」とカッコ書きにしたのは、この人が第二段階で調べた意思決定者とは限らないからです。

キーパーソンは、案件が進む段階によって異なりのが普通です。

営業は、また、顧客が感じているリスクを和らげ、提案しているソリューションに対する顧客の確信を深めさせることが大切です。

「この会社の(営業の)ソリューションなら大丈夫だ。サポートも安心」などと顧客に確信させることです。

逆に言えば、営業は顧客が感じているリスクや不安を察知し、それらを取り除くためのデータや情報の提供、説得を行います。



これまで説明してきた第一段階から第三段階までが、顧客が検討を重ねて態度決定を行うプロセスです。

さて、皆さんの抱えている案件の状況はいかがですか。

「まだ、入札の案内が来ていない(見積もり依頼が来ていない)のでやりようがない」ですか?

もう営業は、始まっています!!いや、見ようによっては営業活動の終盤では!?


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「営業がやるべきことが分かる」 ‐ 属人的営業の問題点

2018-04-01 21:40:20 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
前回、テーマとしてあげた営業の個人的な能力・人間関係にもとづく営業、いわゆる属人的な営業では、以下のような問題が生じます。

・人と人との人間関係に依存しているため、他の人への引き継ぎが困難
・営業能力向上の教育が難しく、結果として能力のバラツキが大きくなる
・営業のプロセスが見えないため、マネージャが適宜適切な対策を打てない
・同様な理由で営業マネージャはリソースの有効活用ができない
・営業の中に運不運、不公平感が発生

 また、以下のような見方もできます。

・現在の経営環境に合わない
 ‐顧客の情報収集力・商品知識の向上
  インターネットの普及により顧客の調査能力が向上し、関連知識の習得が容易に。よって営業にはそれ以上の情報力・商品知識が求められる
 ‐顧客の選択肢の増加
  インターネットの普及により顧客の調査能力が向上し、顧客はより多くの選択肢を獲得
 ‐販促手段の効果の変化
  インターネットを販促に活用することにより、営業にはより高度な対応が求められる
 ‐商品のライフサイクルの短縮化
  ライフサイクルの短縮化により個人による短期間での商品知識の習得に限界、グループで商品を分担する必要性が増加
 ‐長期継続的な取引、サプライチェーン
  顧客は長期的な取引を求めており、会社対会社の対応が必須

この他に、
・個人プレーに陥る
・環境の変化に合わせた営業方法の変更が困難
・営業と顧客との相性の問題
・不正の発生
などの問題が発生します。

 これらの問題を解決するにはどうしたらよいでしょうか。やはり営業プロセスのみえる化が必要です。
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