法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

新人営業の教科書 (12)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 自社に関する知識

2024-07-21 10:11:27 | 新人営業の教科書
さて、ここまで顧客情報の収集・分析・対策の話が続きましたが、今週はおおもとの「営業スキル体系」にもどり、「自社に関する知識」の話をします。「えー、なんで。自社のことなら知ってるわい」と言われそうですが・・・・・



就活時に今いる会社について十分に研究したはずです。どうでしょう、働き始めて内部情報も入手しやすくなったのではないかと思います。

「これからもこの会社にいてよいのか」「転職すべきか」などということを検討するために自分の会社を調べるわけではありません。自社の商品の営業に役立てるための調査です。

ここでは、個別の製品やサービスの競合分析ではなく、自分の会社の「会社としての強み・弱み」を調査・分析します。

例えば、強みには、「納入実績」「サービスサポート体制」「財務力」「販売網」「製品開発力」などがあります。つまり会社という組織としての強みです。

弱みとしては、「納入済み製品のトラブル」「新製品開発の遅れ」「会社が訴訟に巻き込まれた」「会社がリストラ中」「SNSでブラックとたたかれている」などが考えられます。

特に競合と比べた現実的な「会社の」強み・弱みを考えてみましょう。

重要なことは、組織能力など会社としての強みを営業活動に活用すること、トラブルなどの弱みを早め早めにリカバリーすることです。

例えば、ある顧客のある事業所でのあなたの会社の納入実績は9台、B社は1台、H社も1台とします。

プレゼン等で「納入実績」を示せば、顧客と密な関係や貢献度を示すことができますし、メーカーを変えた場合のデメリットをそれとなく匂わせることもできるでしょう。更に、「この際、B社、H社の製品もリプレースしてはどうか。可能であれば、複数台購入として、20%値引きできる」などと、提案することも可能でしょう。ただし、B社の導入を決めた人が、当該事業部の事業部長などといった場合は、持って行き方に注意する必要があります。

また、私がB社あるいはH社の営業なら、「もう1台入れて冗長構成にしましょう。そうすれば、備品も安く提供します」などと提案します。これにどう対抗するかも考えねばなりません。納入実績一つとっても様々な観点から検討する必要があります。

さて、「営業に必要な知識」はこれで終了です。

トップセールスの方の頭の中には、これらの知識が詰まっています。『理詰めの営業』のように、それを可視化できるツールもあります。また、あなたがやる気を見せれば、トップセールスの方から何かアドバイスをもらえるかもしれません。いや、与えられることを待つのではなく、積極的に聞き出すことです。

トップセールスまでの道は遠いかもしれませんが、営業に関する知識で、昨年、一昨年入社の先輩を抜くことは簡単かもしれません。なぜなら、あなたは何を勉強すればよいのか分かっているからです。仕事はしても勉強しない人も沢山います。
経験・体験・学習したことをしっかり体系化して身に付けることが肝要です。
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新人営業の教科書 (11)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 「顧客に関する知識」の続き - 業界情報

2024-07-14 10:13:42 | 新人営業の教科書
今週は、顧客基礎情報収集なかの「業界情報」の話です。

顧客が属する業界に関する学会誌・業界紙や日ごろの営業活動の中での情報収集から、業界としての技術トレンドや課題、大きな潮流などを把握しておきましょう。

新人営業から「もうお腹いっぱいです」との声が聞こえてきそうですが、この一週間でやれという話ではなく、この先、営業という仕事を続ける上での行動指針(『理詰めの営業』のベース)の一つと考えていただければと思います。

まずは、業界における当該顧客の位置づけ。

トップを走っているのか、二番手か。

また、技術トレンドや課題に関して、当該顧客がどう対応しているか、それがあなたの会社の事業に結び付くのか、つかないのか・・・・・

直近の案件のためだけでなく、営業トークのタネ、あるいは、中長期的なビジョン作成のためと考えていただいてもよいかと思います。

例えば、今週、訪問した自動車メーカーでの話。

電気自動車に関して下調べをした上で・・・・

CO2の発生を抑えるためガソリン車の販売が近い将来禁止され、電気自動車に代わる。関連するガソリンエンジンなどの部品は不要に。ガソリンスタンドも不要に。すり合わせ技術が不用となり、だれでも自動車を作れるようになる。

ここまでは、マスコミや本でしばしば取り上げられていますね。

今週、お訪ねした自動車メーカーさんでは、すでに実際に電気自動車を販売しており、そこでのお困りの点は・・・・・・

・充電設備の設置に関し、電気設備の追加が必要なためビル側との交渉が難航
(社有車やマンション住民の車の充電はどうするのか?)

・大量のバッテリーを積んでいるため車の重量は2トン半ほどに。機械式駐車場に負荷がかかりすぎて、故障の原因になる。あるいは機械式駐車場は使用不可に。
(米国では機械式駐車場はあまり使われないため問題にならない。機械の補強は可能か。それとも置き換えか?)

顧客をヒアリングしながら、次の飯の種が考えられそうですね。

顧客基礎情報は、顧客の全体像を把握し、今回の投資の確度の分析や関係者の洗い出し、あるいは顧客の選択等(営業として本格攻勢をかけるか否か)に活用します。

これらの情報の収集・分析の一部は、マーケティングの仕事ですが、マーケティング部のない企業では、営業が積極的かつ日常的に行わなければなりません。

実際のところ、営業が個人的にこれらの情報をすべて収集するのは不可能に近いと言えます。

また、タダで入手できる情報には限界があります。業界に精通したマーケティング会社から情報を買うなど会社としての対応も必要です。

まずは、自分の顧客のHPを調査するところから着手してみましょう。

最近の私の訪問事例では、初めてお会いする社長の略歴をLinkedInで調査し、会議のストーリー作りに役立てました。

LinkedInは個人のPRのツールであり、会社のHPからは分からない社長の略歴や社長個人としての実績、人柄を知ることができました。
(「LinkedInを見てから会議にきてね」と他の出席者に言ったのにも関わらず、見てこない出席者達。がっかりしますね。「意外と」ではなく「本当に」皆、準備してこない!)

勉強や準備を怠る先輩たちを追い抜く日は近いです!!!
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新人営業の教科書 (10)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 「顧客に関する知識」の続き - 競合情報

2024-07-06 17:40:50 | 新人営業の教科書
さて、今週も「顧客に関する知識」の続きです。

f. 競合情報

競合情報の収集・分析は、営業に必要な知識の一つ「マーケティング」の分野の一つです。大変、奥の深い話で、これを専門に行う会社もあります。私がいた外資系の会社では、日本のライバルメーカーの製品の品質が何故格段に良いのかを知るために、調査会社に設計・製造・品質管理体制などを徹底的に調べさせたことがありました。かなり大規模でお金のかかる調査でした。

ここでは、少し肩の力を抜いて、「当該案件(あるいは当該顧客)と関連のある競合情報の収集」にフォーカスしましょう。

Googleなどで、商品名で検索すれば競合会社がピックアップできるでしょう。長年、同じビジネスを行っていれば社内で競合情報をある程度蓄えていると思います。

同じ商品を扱っている会社の名前、所在地、財務情報、サポート体制を含めた組織、販売チャネル、商品の位置づけ(主力商品か脇役か)、商品の仕様、価格情報(卸値、実勢販売価格、値引き率など)、顧客、当該顧客担当営業、担当営業の人脈など知りたい情報はたくさんあります。キリがありませんね。

まずは、商品の仕様、強み、弱みの比較からまとめてみましょう。

これだけでも大変なはずです。

製品の場合、仕様が入手できれば比較は可能(実力はデモをしないと分からない)ですが、サービスの場合はどう比較しますか。

例えば、清掃業者の場合は?

参考までに、ある会社がキッチン周りの備品補充や清掃を行うサービス業者選定のRFPで用いていた選定基準をお知らせします。ちなみにRFP(Request for Proposal)とは、発注側がベンダーや開発者に対して提案書(含む、見積書)を提出してもらうために依頼する書面です。

<RFP選定基準>


これらの項目があらかじめ分かっていたとして、どうあなたの会社の優位性をアピールするのか、どう競合他社との差別化を図るのか、頭を悩ましますね。

もう少し補足すると、以前もお話ししましたマクドナルドの例にように、提供する製品やサービスによっては、見方を変えて競合を探す必要があります。例えば、マクドナルドの競合は、ハンバーガーという切り口で言えばモスバーガーやバーガーキングなどですが、ランチの価格帯で見ると、コンビニ弁当や吉野家の牛丼などが競合になります。

あなたの会社の製品をいくつかの切り口で競合分析してみましょう。

キリがないと言っていながら、いろいろ出すね・・・・・・とぼやきたいところですね。

SWOT分析などの分析手法も加えればもっともっと勉強が必要!!

営業も勉強する気になるとなんぼでもやることがあるということです。
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