前回、「大切なことは、事前調査を行い、相手が抱える問題点などの情報をできる限り探り出し、打ち合わせの前に全体のシナリオと効果がありそうな質問を準備しておくことです」といいかしたが、もう一つ大切なことが、抜けていました。それは、「解決質問」を出すタイミングです。
解決質問は、顧客に適切な解決策を考えるように誘導、あるいは、解決策の価値や重要性を理解するように誘導する質問です。使用するタイミングは、問題・課題等が明確になり、その深刻さを顧客が理解した後です。
e-ラーニング講座の売り込みの例では、顧客に解決策を考えるように誘導はできていません。その代わり、解決策の価値を認識させています。もし、営業が解決策をすぐに提示したらどうなったでしょうか。
営業:メールでお客さんや協力会社とトラブルが起きることが多いのですか。具体的にどんな問題ですか。(問題質問)
顧客:添付物をつけ忘れて、顧客から言われるまでほったらかしにしたケースや、顧客の悪口を書いたメールが間に入っていたケース、内容が分かりにくいメール、名前の間違いなど基本的なところです。実際に部長が謝罪に行ったこともありました。
営業:なるほど。弊社の「ビジネスメールの基本ルール」という講座でメールの書き方の基本を学んでいただければ、こういう問題はなくなりますよ。
<この質問に対する顧客の反応>
① 顧客:いやいや、当面は私が見て、指導しますよ。自分で見たほうが部下の実力も分かりますし、どんな仕事をしているか分かりますから。<変化の必要性なしとする顧客>
あるいは
② 顧客:いくらかかりますか<とりあえず値段を聞いておこうとする顧客>
他にも考えられますが、営業のトークに対する顧客の反応として①、②を用意しました。この後、どのように話が展開していくでしょうか。ここから顧客に解決策の価値や問題の深刻度を認識させる状況に持っていくことはできるでしょうか。
質問によりニーズを育て、料理する
さて、現状に満足しきっている顧客は、変化の必要性を全く感じません。そこに何らかのニーズが生まれる最初の兆しは、小さな不満や不平です。それがはっきりとした問題や課題へと発展し、行動を起こそうとする意志が生じます。そこまでニーズが育って初めて購買に結びつくのです。
いまさらですが、ニーズには潜在ニーズと顕在ニーズがあります。
潜在ニーズは、顧客が漏らした問題や不平、不満のことです。「ボロエアコン、冷房が効かないな」「プリンターの印刷速度が遅い」「手書きで出張旅費精算かよ」などがこれに当たります。
一方、顕在ニーズとは、顧客が自分の口で語る欲求や欲望です。「エアコンの買い替えが必要だ」「印刷速度の速いプリンターを探している」「自分の席でできる簡単な出張旅費精算システムが必要だ」などがこれです。
小型の案件では、潜在ニーズを多く見つければ、あるいは、できるだけ多くの潜在ニーズを顕在ニーズに育てれば、受注の件数が高まります。コンプレックスセールスのような大型の案件でも潜在ニーズを顕在ニーズに育てることは大変重要ですが、潜在ニーズの数は、受注成功の確率増には結び付きません。
コンプレックスセールスのような大型の案件は、解決策のコストが高く、また、解決策実行時の顧客のリスクも高いため、解決策を正当化できるように、潜在ニーズを更に育て、深刻で重大なものに料理する必要があります。
さて、質問設計はここで終わりにし、次回は、会議設計に戻りましょう。「えーと、会議設計って」という読者のために、復習から始める予定です。
<何故、『死都調布』?>
解決質問は、顧客に適切な解決策を考えるように誘導、あるいは、解決策の価値や重要性を理解するように誘導する質問です。使用するタイミングは、問題・課題等が明確になり、その深刻さを顧客が理解した後です。
e-ラーニング講座の売り込みの例では、顧客に解決策を考えるように誘導はできていません。その代わり、解決策の価値を認識させています。もし、営業が解決策をすぐに提示したらどうなったでしょうか。
営業:メールでお客さんや協力会社とトラブルが起きることが多いのですか。具体的にどんな問題ですか。(問題質問)
顧客:添付物をつけ忘れて、顧客から言われるまでほったらかしにしたケースや、顧客の悪口を書いたメールが間に入っていたケース、内容が分かりにくいメール、名前の間違いなど基本的なところです。実際に部長が謝罪に行ったこともありました。
営業:なるほど。弊社の「ビジネスメールの基本ルール」という講座でメールの書き方の基本を学んでいただければ、こういう問題はなくなりますよ。
<この質問に対する顧客の反応>
① 顧客:いやいや、当面は私が見て、指導しますよ。自分で見たほうが部下の実力も分かりますし、どんな仕事をしているか分かりますから。<変化の必要性なしとする顧客>
あるいは
② 顧客:いくらかかりますか<とりあえず値段を聞いておこうとする顧客>
他にも考えられますが、営業のトークに対する顧客の反応として①、②を用意しました。この後、どのように話が展開していくでしょうか。ここから顧客に解決策の価値や問題の深刻度を認識させる状況に持っていくことはできるでしょうか。
質問によりニーズを育て、料理する
さて、現状に満足しきっている顧客は、変化の必要性を全く感じません。そこに何らかのニーズが生まれる最初の兆しは、小さな不満や不平です。それがはっきりとした問題や課題へと発展し、行動を起こそうとする意志が生じます。そこまでニーズが育って初めて購買に結びつくのです。
いまさらですが、ニーズには潜在ニーズと顕在ニーズがあります。
潜在ニーズは、顧客が漏らした問題や不平、不満のことです。「ボロエアコン、冷房が効かないな」「プリンターの印刷速度が遅い」「手書きで出張旅費精算かよ」などがこれに当たります。
一方、顕在ニーズとは、顧客が自分の口で語る欲求や欲望です。「エアコンの買い替えが必要だ」「印刷速度の速いプリンターを探している」「自分の席でできる簡単な出張旅費精算システムが必要だ」などがこれです。
小型の案件では、潜在ニーズを多く見つければ、あるいは、できるだけ多くの潜在ニーズを顕在ニーズに育てれば、受注の件数が高まります。コンプレックスセールスのような大型の案件でも潜在ニーズを顕在ニーズに育てることは大変重要ですが、潜在ニーズの数は、受注成功の確率増には結び付きません。
コンプレックスセールスのような大型の案件は、解決策のコストが高く、また、解決策実行時の顧客のリスクも高いため、解決策を正当化できるように、潜在ニーズを更に育て、深刻で重大なものに料理する必要があります。
さて、質問設計はここで終わりにし、次回は、会議設計に戻りましょう。「えーと、会議設計って」という読者のために、復習から始める予定です。
<何故、『死都調布』?>