法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

新人営業の教科書 (7)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 顧客と「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」に関する知識

2024-06-16 12:12:00 | 新人営業の教科書
さて、今回は「営業に必要な知識」の中の『④顧客と「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」に関する知識」』です。

PowerPoint資料にはなかった「顧客の仕入れ先」も追加しました。ただ、今は「顧客本体」に集中しましょう。

ここで言う顧客は、販売先の会社です。いわゆるBtoBビジネスを想定しています。

商品が個人向けのもの、たとえばチョコレートのようなものでも、販売先は卸売業者、デパート、スーパー、コンビニなどの「会社」ですね。もちろん、小売店は個人相手の「販売」となりますが。

では、「営業に必要な知識」は、個人相手の営業には役立たないのか?そんなことはありません。建売住宅やマンション、車の営業を考えてみてください。

・マーケティング  
・商品知識
・市場に関する知識
・顧客と「顧客の顧客」に関する知識 
・自社に関する知識

顧客が「個客」になるだけで、どれも必要な知識です。建売住宅の営業の場合、住宅や内装、什器等に関する知識、建売住宅市場や競合するマンション・賃貸住宅に関する知識、住宅ローンに関する知識などが必要になります。「個客」に関する知識としては、年収(それを推定するための勤務先や職業)、年齢、家族構成、購入理由、新規か買い替えか、などが必要になるでしょう。会社同様に意思決定プロセスを見つけ出す必要もあります。例えば、ディシジョンメーカーは、ご主人ではなく奥様の方。あるいは、そのご両親。

「個客」相手の営業でも、このブログのように必要な知識を整理して調査・質問することが大切なのです。

顧客情報の収集は、顧客訪問前の大事な準備の一つです。新規顧客の場合は最初のステップであり、既存顧客であれば最新情報に更新するステップです。

必要情報および入手先の一覧を作ってみました。

必要情報は、企業業績、関連事業業績(あなたの商品と関連する事業)、中期・長期事業計画、本年度投資計画、組織図、意思決定プロセス、当該企業の課題、競合情報などです。

この表では、収集手段としてWebサイトや業界紙などを上げていますが、問題・課題など推定はできても、顧客と良好な関係を築かないと正確な情報を入手できない項目も多々あります。

新人営業の場合は、「アクセス可能な情報源から可能な限り」としましょう。特にWeb情報は確実に。訪問される側から見ると、Webに出ている内容を質問されると「勉強不足」と思ってしまいます。逆に、Webに記載されている内容を更に突っ込んで質問されると「よく調べているなぁ」となります。といっても、案件の本筋とかけ離れている内容ではだめですが。

もっとも普通の会社であれば、既存顧客や過去に売り込みをかけた顧客の情報は、データベース化されて社内に残っているはずです。それをまず学習し、不足情報を収集します。データベースにない、これから攻める顧客の場合は、かなりの調査・分析が必要になります。

いずれにしても、顧客基礎情報は、顧客の全体像を把握し、当該案件の実施の確度(本気度*)や関係者の洗い出し等に活用します。

*本気度:本当にあなたの会社から買いたいと思っているか、その度合いです。例えば、見積り依頼が来ても、意中の取引先が決まっており三社見積もりを成立させるだけの見積依頼、エンジニアが自分の好奇心で依頼した見積依頼、来年以降の予算を獲得するだけのための見積依頼などもあります。

新人営業にとっては濃すぎる内容ですが、焦らずに少しづつ積み上げていきましょう。まずは、一つ上の先輩のレベルを目指して。

では、次回、必要情報についてもう少し詳しく見てみましょう。

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新人営業の教科書 (6)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ③市場に関する知識

2024-06-01 17:38:12 | 新人営業の教科書
前回の「営業に必要な知識」の中の「商品知識」、この一週間に勉強しましたか?

自分が売ろうとしている商品に関する知識。商品の価値、強み、弱み、価格、特徴、成功事例・失敗事例など、熟知して当たり前の領域。

「目標:顧客の言っている専門用語を含めた内容が理解できる!」 でしたね。実際のところ新人が勉強するのは当たり前ですが、一週間で先輩に追いつくはずはありません、


さて、今回は「営業に必要な知識」の中の「市場に関する知識」です。





市場(マーケット)とは、製品やサービスを購入しようとしている、あるいは今後購入する見込みのある個人や組織の集まりです。 簡単に言うと「売れそうなところ」です。

大抵の場合は、明らかです。

特に生産財の場合は、用途で決まってしまいます。

私が扱っていたHDD(ハードディスクドライブ)の場合は、パソコンメーカーと外付けドライブメーカーでほぼ100%。昔、日本だけカラオケに使われたことがありましたが。

自動車の部品なら、トヨタ自動車、日産、BMWなどの自動車メーカー、自動車の修理工場、部品によってはイエローハットのような自動車用品店、DIY店も販売先になりますね。

あなたの商品の販売可能な市場はどこか考えてみましょう。

ちなみに、「商品」とは、経済活動において生産・流通・交換される物財のことです。 商品には具体例として先の自動車部品や食品、衣類などの物のほかに、法律相談や宅配便配達などのサービスや、証券などの権利、情報などが含まれます。

さて、先週、商品知識の一つとして「競合との比較」を上げました。市場を眺めてみて、あなたの商品の競合はどこでしょうか。同じ商品を提供しているA社、B社、C社。それだけでしょうか。

あなたも良く知っているマクドナルド。

マクドナルドの競争相手は誰でしょうか。

モスバーガー、フレッシュネスバーガー、バーガーキング、ウエンディーズ・・・・バーガーキングは若干、価格帯が異なるようですが、競合に入れておきましょう。

私がお気に入りの高級バーガー店(The Burger ShopやShake Shuck)は価格帯が大きく異なるので競争相手ではないですね。

ランチを想定すると、同じ価格帯で競うのは、前述のバーガーショップよりも、コンビニの弁当・おにぎり・サンドイッチや吉野家などの牛丼や富士そばなどの立ち食いそば、C&Cなどのカレー屋などになりますね。C&Cは高くなりすぎで競合ではないかも?

皆さんの商品はどうでしょう。上下左右斜め、視点を変えて市場をみてみましょう。

< ちなみに、米国ではハンバーガーやホットドッグなど栄養のバランスを欠いた調理済み食品を「ジャンクフード(junk food)」と呼んでいます。I love junk food.
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新人営業の教科書 (5)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ②商品知識

2024-05-25 21:29:00 | 新人営業の教科書
先週に続いて「営業に必要な知識」の中の商品知識です。



自分が売ろうとしている商品に関する知識です。商品の価値、強み、弱み、価格、特徴、成功事例・失敗事例など、熟知して当たり前の領域です。

まずは、ホームページやカタログに記載されている内容およびその裏付けを説明できるようになりましょう。そして競合との比較。

(これらの資料はマーケティングが作成することが多いのですが、資料がない場合は営業が開発エンジニアなどに聞いて作成し、社内研修等で知識を共有します。ただし、機密情報もあるので、どこまで開示できるか、作成した資料を冗長にみてもらうとよいでしょう。これは新人営業には早すぎますね。)

よほどぼんやりしている顧客でないかぎり、最近の顧客はネットで調べまくっていますので、ホームページに掲載されている内容は「そんなの知ってるよ」ということになり、この程度の内容では満足しない、説明を必要としない方もたくさんいます。

もちろん、顧客を上回るくらい営業は勉強すべきですが、エンジニア的な基礎力がないと難しいことも多いかと思います。やはり、技術的に難しいところは、無理をせずエンジニアに同行してもらい、説明してもらったほうが良いでしょう。その場でエンジニアが質問に応えてくれるので顧客も喜びます。エンジニアの説明を聞いているうちに、あなたの知識も「耳学問」として増えるはずです。少しばかり技術に強い営業になれます。

私の知人の奥さんに通訳業の方がいます。半導体関連企業から仕事が入ったのをきっかけに半導体の勉強を始め、半導体分野の通訳のスペシャリストになりました。年収は1千万円を超えたそうです。ちなみに、ご主人は半導体関連の装置を販売する営業ですが、半導体に関する知識の広さでは奥さんにかなわないそうです。本人の努力と「耳学問」の効用ですね。

知識の部分は、本人の努力次第でなんぼでも増やせます。まずは、手に入る情報を短期間で学習(詰め込み学習)しましょう。

目標:顧客の言っている専門用語を含めた内容が理解できる!


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新人営業の教科書 (4)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ①マーケティング

2024-05-18 21:02:17 | 新人営業の教科書
2.営業に必要な知識

次は、営業スキルの真ん中の層「営業に必要な知識」です。ここでは必要な知識として次の5点あげました。



・マーケティング  
・商品知識
・市場に関する知識
・顧客と「顧客の顧客」に関する知識 
・自社に関する知識

少し詳しく見ていきましょう。

① マーケティング
学問的には営業は、マーケティングの販売促進機能の一部です。どのような会社にも必要な機能であるにも関わらず、営業学という学問領域や「営業学部」などといった学校はないのです。マーケティングに関する本を読んでも、営業そのものに関する知識にはならないかもしれませんが、市場トレンド、購買行動、マーケティング・リサーチ、製品開発、製品ライフサイクル、製品価格、販売チャネル、広告やパブリシティなど、営業戦略等を検討する際の多くの視点を与えてくれます。

コトラーの『マーケティング・マネージメント』、『コトラーのマーケティング3.0』、『コトラーのマーケティング4.0』を一読することをお薦めします。私はコトラー信奉者なので。

また、かなり古くなりますが、『新しい生産財のマーケティング』(西村務著)も生産財の営業には大いに役立ちます。特に顧客の購買行動に基づいた営業プロセスを考える参考になるでしょう。

比較的最近の本では、新人営業が読むには早すぎますが『ストーリーとしての競争戦略』(楠木建著)が興味深いです。「優れた戦略とは思わず人に話したくなるような面白いストーリーだ・・・・・戦略を構成する要素がからみあって、全体としてゴールに向かって動いていくイメージが動画のように見えてくる」これがストーリーというものだそうで、競争戦略は「ストーリーづくり」としています。

もちろん営業戦略もストーリーづくり。トップセールスパーソンの中には、たくさんのストーリーが詰まっています。

マーケティングの本は、成功例を語ることが多く、スマートで面白いのですが、実際の営業のような泥臭さが足りない気がして物足りなさとマーケティング(という仕事)に対する羨ましさを感じます。

ちなみに、私は、エンジニアからプロダクト・マーケティング、それから営業へと変身しています。

<新卒営業は「いったいなんだこれ」という世代であろう。お父さんかお母さんに聴いてみて・・・・「へん~~しん」。勉強して最強営業に変身。>
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新人営業の教科書 (3)- 営業に必要なスキルの体系化 - 社会人基礎力

2024-05-12 10:37:19 | 新人営業の教科書
今回からは「営業に必要なスキルを体系化」の話です。

以下の資料は、営業に必要なスキルを体系化したものです。三層構造になっており、一番底の部分が社会人として備えるべき能力「社会人基礎力」、真ん中の層は、営業に必要な知識、一番上の層が営業として強化すべきスキルです。



一番下の枠から順に説明していきましょう。

1.社会人基礎力
「社会人基礎力」は2006年に「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として経済産業省から発表された概念です。その背景には、若者が学校卒業後にスムーズに職場に定着できない等の社会問題がありました。この問題の解決策として、それまで十分に意識されていなかった「職場等で求められる能力」を明確化し、意識的に育成していくこととしました。「社会人基礎力」を育成すべく授業のプログラムとして組み込んでいる高校・大学もあり、私も母校のプログラムを2年ほどお手伝いしました。

「社会人基礎力」は、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力と、それに伴う12の能力要素から構成されています。

「人生100年時代」のもと、2006年に発表した「社会人基礎力」はその重要性を増しており、有効です。しかし、「人生100年時代」ならではの切り口・視点が必要となっていました。

このような状況下、2017年に開催した「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」において、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力が「人生100年時代の社会人基礎力」と新たに定義されました。

社会人基礎力に関してはWebに診断プログラムが用意されていますので試してみるのもよいでしょう。監修は一般社団法人社会人基礎力診断協議会。このような団体があるとは思いませんでしたが・・・・・・

社会人基礎力診断 WEB診断| 【キャリエデュ】日経HRのキャリア教育・就職支援情報サイト (nikkeihr.co.jp)

自分が大学を卒業したとき、社会人基礎力はどうだったかと考えると、かなり劣っていたのではないかと思います。バイトはやっていたもののクラブに入るでもなく人との関りが少ない、特に、上下関係の希薄な中で過ごしたせいか、外資系企業に入社したとはいえ上司や先輩との上下関係には悩んだものでした。営業として人様の前に出るなんてことは考えられませんでした。

そんな私でもエンジニアを辞めて営業をできるようになったということは、社会に出てからも「社会人基礎力」は少しずつ身に着くということでしょう。「え~、まだまだだ力不足だよ・・・・」という声が聞こえてきこうですね。やはり「人生100年時代の社会人基礎力」として鍛え続けましょう。

でも、あまり真剣に考え悩まないように。

これらの能力を身に付けることにより、仕事がしやすく、生きやすくなるかもしれませんが、「人柄」や「人間性」という別の切り口もあります。こちらで勝負しても良いでしょう。


参考までに、「社会人基礎力」の3つの能力と12の能力要素について簡単に解説します。
<<読まなくても大丈夫です。受験勉強ではないので、まして、暗記は不要>>

① 前に踏み出す力(アクション)
「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」のこと。必要な能力要素は以下の3つです。

・主体性:物事に進んで取り組む力
・働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
・実行力:目的を設定し確実に行動する力

② 考え抜く力(シンキング)
「疑問を持ち、自ら深く考える力」のこと。備えておきたい能力要素は下記の3つです。

・課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
・創造力:新しい価値を生み出す力
・計画力:問題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力

③ チームで働く力(チームワーク)
「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」のこと。

・発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
・傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
・柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
・情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
・規律性:社会のルールや人との約束を守る力
・ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
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新人営業の教科書 (2)- 営業に必要なスキルとは?

2024-04-28 11:38:32 | 新人営業の教科書
(ハードディスクの開発)エンジニアであった私は、入社時からスキルアップを自己啓発の目標の一つにしてきました。磁気記録、論理回路設計、符号化技術、エラー訂正技術、流体力学、摩擦工学などなど学ぶべきたくさんの要素技術があり、スキルアップの方向が定まらないほどでした。

では、営業に必要なスキルは何でしょうか。ネットで検索してみると、次の資料のようにゴロゴロ出てきます。



何々「力」という項目が多いですね。ここ数年売れている書籍も『聞く力』(阿川佐和子著)、『伝える力』(池上彰著)など「力(ちから)」ブーム?

ちなみに、資料にある「因数分解力」は、例えば上司から頼まれた大雑把な仕事の指示を細かい「タスク」に分け、更に優先順位をつけ、一つ一つの仕事に集中する力だそうです。表現としては面白いですが、営業特有のスキルではないですね。

一方、「受注獲得力」は、営業に必須ですが、スキルと呼んでよいかどうかは疑問です。むしろ「受注獲得力」を因数分解して、より分かりやすい、習得可能なスキルにした方がよいでしょう。

次の資料は、これらのスキルと呼ばれているものを、名前を変えずに大きく分類したものです。「営業として強化すべき能力」と営業に関わらず「社会人基礎力に関わる力(社会人として備えるべき能力)」に分けました。「その他」には、販売する商品の知識を入れ、前の資料にはありませんでしたが「マーケティングの知識」を加えました。

「ざっくりまとめるとこうなるんだ」程度に見ていただければよいです。社会人として備えるべき能力「社会人基礎力」に関しては、「営業に必要なスキルを体系化」で説明します。



「え~、こんなに」と思うかもしれませんが、もう、ある程度備わっているスキルもあるはずです。また、この先、ひよっとしたら(しなくても)一生、営業を続けるのですから、じっくり戦略を考えて学習しましょう。実践は職場で!
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新人営業の教科書 (1)- 自分の「型」を作る!

2024-04-14 11:24:39 | 新人営業の教科書
いつも同じ時間の電車に乗って通勤していますが、4月に入るといつも見かけていた人がいなくなったり、真新しいスーツのいかにも新入社員といった出で立ちの人が増えたりします。

新入社員の方々は、新人研修や現場実習があり、しばらくは、慣れない環境でお疲れなことと思います。

配属先が営業だった人には、希望通り営業になれた人と、「えー、営業!向いてないのに」と本人の希望とは異なる営業部になって困惑している人もいるかと思います。

また、新入社員でなくとも新年度から会社の都合で営業に「異動させられた人」など様々な立場の人がいることでしょう。

私はかつて自分から希望して転職し、エンジニアから営業に「変身」しました。正確に言うと、エンジニアからマーケティングに転身し、その後、営業も行うようになりました。

<新人営業にもいろいろある>


私には営業の師匠に当たる人はいませんが、自分なりに営業を研究しました。そのとき用いた資料の一部が、このブログの一項目である「営業関連書籍」です。

エンジニアやマーケティングの研究とは異なり、学問的・科学的なアプローチで営業を研究することは容易ではありませんでした。

それでも、研究と経験を重ね、自分なりの営業手法を確立し、成果をコンスタントに出せるようになりました。

自分なりの営業手法(営業戦略を立案・実行する手法)、それは「自分の型」とも言えます。

「型」は、扱う製品やサービスにより異なる部分もありますが、「芯」になる部分は同じだと考えています。

トップセールスの頭の中には、営業としてのしっかりした考え方が出来上がっています。

それをどうやって観察し、盗み、自分のモノにし、「自分の型」を作っていくのか。それが新人営業に求められています。

「学ぶ」はもともと「真似(まね)ぶ」のことです。

よ~く先輩を観察して営業手法をまね、自分のものにし、更に良いものに仕上げましょう。

次回以降に説明することも参考にしながら、「自分の型」を作り、営業で成功してください。

もちろん、営業手法がすでに確立している会社もあるはずです。

その場合は、まずは、それを完全に吸収し、更に研究と経験を重ねて、もっと効果的なもの、どこでも通用するもの、「いつでも転職できる」くらいのレベルに仕上げてください。

どんなに良い製品・サービスがあっても、営業なしで売れるものはありません。営業は、どのような会社にも必須で、クリエイティブでやりがいのある職業です。

<「型」もいろいろあるが、自分にあった「型」を確立し勝負する!怖い顔は不要。スマイルで>



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契約は始まりに過ぎない(5) - 「顧客リレーションシップ」マネージメント成功のキー

2024-03-31 09:07:36 | ・・契約は始まりに過ぎない
「売ってさよなら」の「ない」、「できない」コンプレックスセールス。もう一度、その定義を確認してみましょう。

このコンプレックスセールスとは、以下の特徴を持つ営業です。

・高額の商談や技術的に複雑な商談
・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注、受注から納品に至るまで長期間、複数の商談が必要
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定
・意思決定は商談の場以外のところ
・納品後のフォローも重要

受注までは「理詰めの営業」を活用し、戦略的に行動しても、一旦、注文書を受け取ると営業の気持ちは別のところに行ってしまうことがあります。

営業と顧客の間の同床異夢の始まりです。

では、受注後も緊張感を維持するにはどうしたらよいでしょうか。

コンプレックスセールスの特徴を理解し、「契約は始まりにすぎない」ことを認識し、『理詰めの営業』を活用して案件を定期的に振り返ります。

そのとき顧客の微妙な変化を敏感に感じ取り、自社が解決すべき自社自身の課題と自社の利益になるチャンスを察知します。

また、顧客との依存関係が望ましい状況にあるか、顧客はどう思っているか、買い手の心理に配慮できているか、等をベースに自社の顧客リレーションシップの現状を振り返ります。

グループ営業の場合、あるいは、長期に亘る案件の場合、売上だけではなく顧客とのリレーションシップ構築の「強度」で、グループあるいは個人を評価することも必要です。

気づき、振り返り、顧客リレーションシップの強度から経営資源の割り当てを行い、顧客リレーションシップを良好にするためのコミュニケーションの確立と顧客とのコミュニケーションの習慣化が大事になります。

これにより有意義な顧客とのコンタクトが行われ、顧客リレーションシップという無形資産の増加を図ることができます。

さて、このような「顧客リレーションシップ」マネージメントをCRMシステムやSFAで後押しすることはできるでしょうか。

今のところ、私は有効なシステムを見つけ出せていません。読者の中で、適切なシステムをご存知な方がおられましたら、是非、コメントをお寄せいただければと思います。



営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>
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契約は始まりに過ぎない(4) - 相互依存関係深化のポイント

2024-03-24 09:00:52 | ・・契約は始まりに過ぎない
先週お知らせしたように、顧客リレーションシップという無形資産を増減させる行動で、一番懸念しているのは顧客とのコミュニケーションです。

「こちらから電話をかける」vs「顧客からの電話に折り返すのみ」とありますが、現状は
「こちらからメールする」「顧客からのメールに返信するのみ」ではないでしょうか。



実際、顧問先の協力会社(顧問先にサービスを提供する側)の営業を観察していると、メール以外のコミュニケーションが非常に少ないことが分かりました。
メールでの問い合わせには、きちんと回答してきます。しかし、言葉を交わすのは、月次定例会時の30分程度です。
しかも、質問・提案・アドバイス等はほとんどなし。

来年度の投資に対する提案など、下調べしなければならないことはたくさんあるはずですが、なにも聞いてきません。
こちらが詳細を伝えるのを待っているようです。
この協力会社を見限り他のベンダーと商談を進めていたらどうするつもりなのでしょうか。

「営業のやるべきことが分かる」-第四段階「競合分析・選定基準の明確化」で書いたようにRFPが発行された時点で、すでに顧客の意中の企業は決まっているのです。

たしかに、メールの活用によりコミュニケーションの頻度や情報量は増えています。
しかし、顧客リレーションシップの「深化の度合い」はいかがでしょうか。


いまさらですが、メールには以下のようなメリット、デメリットがあります。

・メリット
- 自分の都合で送信・受信できる
- 相手も自分の都合で確認、返信できる
- 複数の相手、社内、社外にも同時に送信できる
- 添付機能やURLを使い、多くの情報を伝えられる
- 履歴が残せる

デメリット
- 感情や思いが伝わらない
- 相手がいつ確認するかわからない
- 複雑な内容や微妙なニュアンスを伝えるのが難しい
- 送信者の意図とは違った意味合いで受け取られることがある
- 誤った情報でも履歴として記録が残る

「履歴が残る」ことをメリットとしてあげましたが、状況によってはデメリットになります。
「非公式情報」はメールでは送れません。先週書いた、下記の質問にメールで応える人はいないでしょう。

・中長期投資計画、本年度の投資計画は。
・現在の問題・課題は。
・顧客の事業は今後どのように展開していくのか。
・それが今後の購買にどう影響するか。
・競合他社はどのような製品戦略を持っているか
・競合他社の製品への満足度は。問題点は。
・我々の製品は顧客のニーズに十分応えているか
・我々の製品は顧客の課題・問題を解決しているか。
・意思決定プロセスは、キーパーソンはだれか。
・新任の事業部長の経歴や評判は。
・なぜ、A氏は我々の製品が嫌いなのか。

メールのデメリットの部分を面談等、他の方法で補っているか、顧客の期待に本当に答えているか日々、考えて行動する必要があります。
メールで事が順調に進んでいると思わないことが大切です。

コンプレックスセールスに必須の上記情報を得るためには、相互依存関係の深化が必須です。
その上で適切なコミュニケーション手段の選択が必要です。

相互依存関係深化のためには、下記の3点を日々、顧みることが肝要です。

・どの顧客と接点があるかではなく、個々の顧客からどう思われているか。

「担当エンジニアも課長も部長も事業部長もその上の役員も社長も知っている」ことはすばらしいことですが、
その人たちにどう思われているか考えて見ましょう。「頼りになる営業」と思われているでしょうか。

・売り手と買い手は、どれくらい依存しあっているか、あるいは、依存しあっていると感じているか。

あなたが依存していなければ顧客も依存していないかもしれません。
いやいや「彼女は俺にべたぼれ」とうぬぼれて振られたことはありませんか。
自分の製品がないと顧客がどれだけ困るか具体的に考えてみましょう。顧客の選択肢は?

・売り手が買い手個人をどれだけ知っているか、買い手の心理に配慮できているか。

手始めに『理詰めの営業』の「関係顧客分析」を埋めてみましょう。
この段階でつまずいているようでは、顧客リレーションシップの構築がまだできていないというしかないです。

深いリレーションシップを築けるかどうかは売り手次第です。
営業だけでなく、開発、製造、サービスのエンジニアにも参加してもらい、複数の人的な依存関係の構築、マルチチャネルの情報収集を行いましょう。





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契約は始まりに過ぎない (3)- 「顧客リレーションシップ」という資産は増減する。

2024-03-16 18:28:57 | ・・契約は始まりに過ぎない
顧客との関係が密になれば、いままで入手しにくかった様々な貴重な情報が、嘘のように手に入るようになります。

たとえば、顧客は以下の資料にあるような質問に直接的・間接的に答えてくれるようになります。

『理詰めの営業』の分析に必要な情報が容易に入手できるようになります。




競合他社に案件を取られたり、販売の予想が外れたり、「え、どうして」と相手の行動に不意を突かれたりするのは、
リレーションシップが弱体化し、隙間風が吹いているからです。

顧客から苦情が来ないのは、リレーションシップに軋みが生じている兆候の最たるものです。
顧客が言葉に出さないのは、信頼が薄れていたり、リレーションシップに陰りが表れたりしている証拠です。

あなた自身も顧客として体験したことがあるはずです「言ってもしょうがない」

「顧客リレーションシップ」は無形資産です。資産ですのでその価値は増減します。
資産を増加させる行動と減少させる行動をまとめてみました。



私が一番懸念しているのは顧客とのコミュニケーションです。

一覧表に、
「こちらから電話をかける」vs「顧客からの電話に折り返すのみ」
とありますが、現状は
「こちらからメールする」vs「顧客からのメールに返信するのみ」
ではないでしょうか。

メールの活用によりコミュニケーションの頻度やボリュームは増えているかもしれません。
しかし、顧客リレーションシップの「深化」はいかがでしょうか。


次回は、インターネット時代のコミュニケーションとCRMについて考えてみます。

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契約は始まりに過ぎない (2)- 相互依存関係

2024-03-09 17:18:46 | ・・契約は始まりに過ぎない
「契約完了。さて次の案件」とは簡単にいかないのがコンプレックスセールス。納入までの長い道のり、納入してからの更なる苦難の道が待っています。

また、契約の内容も売って終わりではなく、長期を前提としたレンタルやアウトソーシング、長期間に渡り納品を継続する契約、納入後のメンテナンスを含む契約、など、長期的な取引を前提とした契約形態が増えています。相互依存が原則となる取引条件の増加です。



私が扱っていた生産財の場合、メーカーは「協力会社の設備(部品・材料も同様)がなければ製品を作れない」、協力会社は「メーカーに購入してもらうために設備(部品・材料も同様)を作っている、転用先はない」状況にあり、相互依存どっぷりの関係にあります。もちろん、コモディティ化した部品や製品はありますが。

このようなことから長期に亘る相互依存関係を原則とした契約の場合、顧客とのリレーションシップを深め、「信用」という無形資産を守り育て続けることが大切です。

ともすると、売り手は、契約が取れると「目標達成だ。次だ、次だ」と思い、緊張感が緩み、リレーションシップは縮小してしまいます。それは、競合に付け入るスキを与えることになります。というのも、買い手の評価は終わっていないのです。それどころか、期待通りの結果が出るか、関心を持ち続け、緊張は一層高まり、コミットメントを深めまようとします。



また、買い手の立場に立てば、「いくつかの競合の中から選んであげた」すなわち「貸しをつくった」「恩を売った」と買い手は思っているのです。
このため、謙虚な売り手であれば「選んでいただいた」「借りがある」と思うはずです。

この売り手の立場を素直にとらえて、リレーションシップを築き直し、発展させていく必要があります。


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契約は始まりにすぎない (1)– 営業と顧客の同床異夢

2024-03-03 20:12:50 | ・・契約は始まりに過ぎない
以前から何回かこのブログでコンプレックスセールスを例に、
顧客が製品やサービスを購入する一連の流れと営業の「やるべきこと」を明確にしてきました。
また、どの段階が「営業にとって勝負所か」をみてきました。

ちなみに、コンプレックスセールスとは、

・高額の商談や技術的に複雑な商談で、
・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注に至るまで長期間複数の商談を行う必要があり、
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定が必要とされ、
・意思決定は商談の場以外のところで行われる営業です。

例えば、プラント建設やITシステム導入、生産設備の購入、オートメーションの導入、ビル管理、不動産の購入、大規模な移転などは好事例でしょう。





受注が決まると営業はホッとします。「やった、目標達成だ」「さて、次は」と次の案件に目を向けます。

発注した顧客も、「(事業部長の説得に時間がかかったが)やっと、発注できた」と一瞬、安堵しますが、
「予定通りに完成できるか」「課題は本当に解決できるか」と新たな不安が始まります。

手離れの良い製品であれば、「さて、次」は可能でしょう。
しかし、コンプレックスセールスに「売ってさよなら」はないのです。



私が携わっていた半導体向け計測機器の場合、受注から納入まで1年、それから立ち上げ、
顧客エンジニアのトレーニング、運用サポート、修理や定期メンテなど数年の付き合いが続きます。

顧客との付き合いの中から次のビジネスのネタを得ることや、逆に次期製品の開発依頼を受けることもありました。

すなわち、コンプレックスセールスには、長期にわたる第七段階の「納入の推進」があります。
そして、「購買行動と営業活動」の記事では省かれていますが、第八段階として「納入後の成果のフィードバックと評価」があります。
長期間に渡る付き合いの中での評価が次のビジネスにつながります。

「長期にわたる顧客との強い絆をどう維持していくか」>が、「契約は始まりに過ぎない」のテーマです。



営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>
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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(7) - 自社のポジションを探る

2024-01-08 17:27:33 | 会議設計
ここでは「日常業務にどう会議設計を活かすか」をお話していますが *****以下の文章は。以前ご紹介したコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

会議設計のコンセプトを営業以外の日常業務に活かす場合、「自社のポジションを探る」はどのようなことに相当するでしょうか。

対外的な話であれば、ビルのテナントとしての「自社」、あるシステムのユーザーとしての「自社」などが考えられますね。

テナントの場合、大家さんの収入に占める割合が高ければ強気の交渉が可能でしょう。

あるシステムのユーザーの場合も、大規模システムを借りていれば強気の交渉が可能と言えますが、他社のシステムに移行できず、現在の会社への依存度が大きくなってしまった場合は、逆の立場になりかねません。

日常業務を見渡して自社、自分の部署、あるいは、自分自身がどんなポジションにいるのか考えて見るのも面白いです。

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客先での自社の現時点のポジションを整理し、「良好」「問題あり」の判定を行います。

例えば、「キーパーソンと課題を共有できている」「過去の納入実績は他社の2倍」「サービスサポートについては高く評価されている」「財務的に安定(無借金経営)」などはプラスに評価できます。

一方、「前回の投資では失注している」「オペレーターが弊社のサービスエンジニアを嫌っている」などはマイナスに評価されます。会議の直近に起きた故障もマイナスです。私自身も、実際、顧客訪問の直前にシステムダウンが起き、新製品の売り込みに苦労したことがあります。

いずれにしても、「顧客基礎情報分析」「問題・課題・ニーズ分析」「関係顧客分析」「競合分析」「自社分析」から出てきた強み・弱み・課題を整理し、会議に影響のある項目を記入します。

その中で、営業ステップを前進させるために何をどうこの会議で活用し、何をどうリカバーするか検討します。すなわち、自社の強みを活用し、弱みをリカバーする方法を考えます。

例えば、サービスサポートを顧客が高く評価しているのであれば、プレゼンに自社のサービス体制や実績を加え、他社との差別化のポイントにします。
逆に前回の投資で失注しているのであれば、失注原因を明らかにしてそのリカバーができていることを明確にします。例えば、前回は他社にあって自社にない機能があったが今は十分に対応できるとプレゼンすることです。

今回の例であれば、納入実績はプラス要因ですが、「山形事業所でのトラブルによる装置の安定性への疑問」や「原宿部長が競合メーカーの高雄工業を高く評価」はマイナス要因となります。これらを踏まえて、どのように会議を設計するかを考えます。

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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(X) - 今年はこれにて!来年は1月7日から掲載開始。

2023-12-23 18:12:45 | 会議設計
ここでは「日常業務にどう会議設計を活かすか」をお話していますが、今年はこの辺で。続きは1月7日に。

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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(6) - 相手の期待を予想する

2023-12-10 20:09:39 | 会議設計
ここでは「日常業務にどう会議設計を活かすか」をお話していますが *****以下の文章は。以前ご紹介したコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

ここでいう相手の期待というのはポジティブなものばかりではありません。

実は、明日、ISO14001の会議を招集しています。今月、社内の予行練習、来月本番のオーディットがあるためです。

しかし、出席者の気持ちは、

「めんどくさいなぁ。本業と関係ないじゃん」
「齋藤さん、まとめてやってよ」

というのが本音だと思います。どう話を持っていけば、分担して作業をやってもらえるか、上司にどう言ってもらえば良いか、などをこの週末考えています。

毎週話しているお父さんのお小遣い値上げの話も同様です。

「ちょっと話があるんだけど」

と行った時、奥さんはなに期待しているでしょうか。

普段会話のない夫からかしこまって言われると警戒心が百倍に膨らむのではないのでしょうか。

この場合は、相手の期待を予想できても対策が立てられない!!かもね。

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2020年もまもなく終りですね。

売上に余裕のある営業は、今月無理に注文を取らないで来年に持っていこうと考えていることでしょう。

一方で、売上未達成の営業は、あと4週間でなんとかクローズしなければなりません。売上未達成では、営業を外されるかもしれません。外資系にいた私も、四半期ごとのプレッシャーはかなりありました。

各案件は、『理詰めの営業』で最初に作った営業ステップのどこにあるのでしょうか。あと4週間でクローズできる案件は、最終ステップに近いものに限られるでしょう。それを見極めた上で、

・手持ちのリソース(社長、役員、上司)を最大限に活用して顧客を説得。
・顧客の最終意思決定者にダイレクトにコミュニケーションを取り、決裁してもらう。そのために、短時間で琴線に触れるプレゼンを準備。決裁と同時に関係部署に発注の手続きを取るように指示も出してもらう<これをSkypeなどでやらねばならないことが昨今の難しい点>
・今月中の発注を条件に値引き。そのためにはある程度値引きの余地を残してあることが前提。
・発注が決まっていて顧客の事務処理が遅い場合は、納期に影響を与える等伝えてプッシュ。例えば、生産のキャパが限られているので今ある製品は他の顧客に回ってしまうなど。

などのアクションを取りましょう。

これらができるか否かは、各案件の状況を社長・役員・上司等が共有化していて、かつ、関係顧客を十分に理解し顧客と良好な関係が構築できているかにかかっています。

『理詰めの営業』の各種分析とそれに対するアクションが取れているかどうかなのです。

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さて、本日のテーマは、「相手の期待を予想する」です。

その前に、ここまでの流れを整理してみます。

まず、「会議のゴールを設定」します。
そして、そのゴールを達成するための具体的な「シナリオを作成」します。
ここから、目標達成に必要な「必須出席者(顧客および自社)の確認」、「確認事項・不足情報の洗い出し」を行うというものでした。

次に、顧客の各出席者がどのような期待・考えを持って会議に来るのかを予想します。

今回の事例では、顧客から打診があった翌週に顧客V社と打ち合わせを行います。目的はRFPへの参加の可否決定に必要な詳細情報の収集および参加する場合の戦略立案に必要な情報の収集です。

その打ち合わせのための「会議設計」です。

先週の記事では、「V社との打ち合わせでは、V社の担当者だけがいいのか、上司にも出ていただいた方がいいのか、どちらが詳細情報を聞き出せるか、営業の判断が求められます」とありましたが、

今回はV社の担当者とだけ面会(または電話会議で打ち合わせを)すると仮定しましょう。

V社の担当者の期待はどうでしょうか。

今までのV社との関係の密度や経過により、想定される内容は異なりますね。

例えば、

a.(現在のベンダーには不満)、是非、代わりのベンダーがほしい。ついては、この会社のことをもっと知りたい。
b. この会社のことは良く知っているので、是非、RFPに参加してもらい、選択肢の一つになってほしい。
c. この会社のことは良く知っており、是非、RFPに参加してもらい、この会社に任せたい。
d. 大阪支社はこの会社に任せているが、担当者やリーダーが頻繁に変わるようだ。大丈夫だろうか。とりあえずRFPに参加してもらおう。
e. 三社に見積もりを成立させるため、参加して欲しい。本命は現行ベンダー。

この事例は、ビル管理ですが、上記のシチュエーションは、他の業種でも当てはまるでしょう。さて、あなただったらどう対応しますか。

相手の期待を予想することにより、打ち合わせに必要な資料や話の内容、順番、役者の選択などを適切に行えるようになります。



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