毎年ゴールデンウィークのような大型連休になると、高速道路事故と水難事故で、死者が出ます。
こういった大型連休のたびに人が死ぬと思うと、
「どうして日本人は連休になると、観光地や大型商業施設にわざわざ遊びに行きたがるのだろうか」
と疑問に思ってしまいます。
結論からいいますと、どうしてこのような悲惨な事件が起きるのかといえば、
「連休であろうがなかろうが、物流を止めることができないから」
という一点に尽きます。
ロジスティック=兵站といい、物流のことを言います。
普段、高速道路を走っているのは、いわゆる「プロドライバー」と呼ばれる人達ばかりですから、高速道路の秩序は守られています。
高速道路を使用するのは、「物流会社のトラック」「観光バス」「営業用の車」
この程度でしょう。
高速道路を普段から仕事で使っている方はお分かりだと思いますが、高速道路は本来渋滞はあってはいけません。
そういった状況を回避するために、高速道路、及び自動車道は、最低速度というものが指定されています。
・・・・・・(法定最高速度と最低速度)
最高速度
一般国道の自動車専用道路での法定最高速度は、
緊急自動車は80km/hです。
自動車・自動二輪車で60km/hです。
ちなみに原付(原動機付自転車)は30km/hです。
しかし、実際には速度を守って走行している原付を見かけたことがほとんどありません。原付を追い越す時は自転車以上に注意が必要です。
高速自動車国道の本線車道のうち、対面通行でない区間
○100km/h(大型乗用車、普通自動車及び軽自動車、自動二輪車、緊急自動車)
(中型乗用車および車両総重量8トン未満・最大積載量5トン未満の中型貨物車が加わる予定)
○80km/h(大型貨物車、大型特殊自動車、三輪及び通常けん引の普通自動車及び軽自動車)
(車両総重量8トン以上・最大積載量5トン以上の中型貨物車が加わる予定)
道路標識等により最高速度が指定されている場合は、原則としてその指定最高速度に規制されます。
最低速度
自動車(及び自動二輪車)のみに対する規制なので、原動機付自転車には適用されません。
高速自動車国道の本線車道のうち、対面通行でない区間の法廷最低速度は50km/hです。
高速自動車国道の本線車道のうち、対面通行の区間(暫定2車線区間等)や登坂車線、自動車専用道路および一般道路では規定がなく、標識や標示による指定最低速度のみが有効です。
上記道路においては、最低速度に違反したとしても罰則等は適用されません。但し、運転や判断のミス等で人身等の事故を起こした場合は、刑事上等の責任を問われます。
・・・・・・(転載ここまで)
お分かりでしょうか?対面通行でないつまり中央分離帯のある高速道路は、最低速度が自足50km以下では通行してはいけないと道交法に銘記されています。
しかし、こういった一時的な交通量が急増すると、当然、自然渋滞が発生してしまいます。
ということは、道路管理者は、こういった予測される自然渋滞は回避しなくてはならないと考えられます。
つまり、「高速道路利用規制をかける」必要が出てくるということです。
野放図に、高速道路入り口を開けていたら、それこそ、レジャーや帰省のためにドライバーが高速道路を使い始めます。
そうすれば、当然交通量増加に伴い、自然渋滞が発生します。
プロのドライバーは、仕事で高速道路を走っていますから、こういった状況(渋滞)に慣れていませんので、注意力は散漫となっています。
そこで、不注意から多重事故、死亡事故に繋がるレベルの大事故が発生してしまうのではないでしょうか?
報道される多くの高速道路の多重事故は、トラックによる渋滞への追突ばかりです。
<トラック事故をどう防ぐ? 相次ぐ高速道路での悲劇>
動画を見てみると、トラック事故の対策を、トラック運転手の責任にしています。
安全運転教育を運転シュミレーターで演習させているだけです。
そして、警察も「余所見をしない、前方不注視が事故原因」
というだけで、対策らしい対策は全くありませんでした。
最後は、個人責任、運転手の責任となるだけで、原因解決になっていません。
さすがは、公の人達の考えです。
こういった大型連休における大事故の原因は、交通量急増における自然渋滞が原因でした。
そして、その自然渋滞と呼ばれるものは、何故起こるか?と考えると、普段渋滞がない高速道路で渋滞が起こってしまっている状況が生み出していると考えられます。
ですから、単純に考えると、「年末年始、大型連休の交通量のコントロール」
を誰かが行えば良いのです。
道路公団でもいいし、高速隊でもいいのです。
高速道路にはいたるところにNシステムが設置されています。
・・・・・・・・(自動車ナンバー自動読取装置(じどうしゃナンバーじどうよみとりそうち)
日本の道路に警察が設置する、走行中の自動車のナンバープレートを自動的に読み取り、手配車両のナンバーと照合するシステムである[1]。手配車両の追跡に用いられ、犯罪捜査の重大な手がかりとなることもある。俗称は「Nシステム」である。
本装置は、それぞれの都道府県によって名称が異なっており、「車両捜査支援システム(捜査支援システム)」又は「初動捜査(初動捜査活動)支援システム」若しくは「車両ナンバー捜査支援システム」或いは「悪質重要事件(重要犯罪等)捜査支援システム」ないしは「緊急配備(緊急配備等初動捜査)支援システム」などと示されることがある。また、名称を公開していない県もある。
日本の高速道路のインターチェンジにある車両番号読取装置は「AVIシステム」、渋滞情報など移動時間の取得に使われるものは旅行時間測定システム(Tシステム)という。同様のシステムはイギリスのロンドンなどにもある。
・・・・・・・・(転載ここまで)
日本には「日本道路交通情報センター」という公益財団法人があり、渋滞等の道路管理をしています。
・・・・・・・(公益財団法人 日本道路交通情報センター JARTICについて)
概要・組織・沿革
公益財団法人 日本道路交通情報センター (JARTIC) は、
交通管理者 (都道府県警察本部) や道路管理者 (国土交通省、道府県土木部等、高速道路会社等) からの委託により、
道路交通情報の収集・提供業務を行っています。
高度化・多様化・広域化する道路交通情報への需要に対し迅速かつ的確に対処するため、全国133ヶ所にセンター・駐在を配置し、道路交通情報の一元的集約と道路利用者の皆様へ、電話、ラジオ・テレビ放送、インターネットやカーナビ等のメディアを通して道路交通情報を提供し、安全で円滑な道路交通の確保に寄与することを目的としています。
また、道路網の拡充や情報技術の急速な進展に伴い、当センターが有する 「道路交通情報システム」 の全国広域ネットワーク化を行い、道路交通情報のリアルタイム化や提供内容の拡充に努めるとともに、オンライン接続によって多くのメディア等に対し、道路や道路交通に関するさまざまな情報を提供するなど、質・量ともに優れた情報提供サービスを実施しています。
・・・・・・・・(転載ここまで)
そして道路混雑の調査をしています。
・・・・・・(3 高速道路ピーク時期における渋滞予測情報の需要調査)
当センターが平成25年に実施した一般ドライバー1万人を対象とした道路交通情報利用実態調査によると、道路交通情報が必要と思う時は、 「雪、霧、大雨などの異常気象時」 (58.3%)、 「お盆を中心とした夏休みの期間」 (52.6%)、 「ゴールデンウィーク」 (48.9%) が上位となっており、高速道路の渋滞がピークとなる時期の情報需要が高いことが分かる。しかし、同調査によると、普段利用する道路交通情報は、 「渋滞状況等の予測情報」 が14%とそれほど多くはないことも把握された。
本調査では、平成27年のゴールデンウィークにおける道路交通情報の需要を調査し、高速道路ピーク時期における渋滞情報 (現況) と渋滞予測情報の需要傾向から、渋滞予測が持つ交通分散の効果を高める可能性について検討した。
当センターのホームページによる渋滞予測情報の提供状況
当センターでは、各高速道路会社等の渋滞予測情報を取り纏め、ホームページやテレビ・ラジオ放送、電話応答、Twitter等で広くドライバーへ提供しているが、本調査では、ホームページのアクセス数を対象に検討した。
平成27年ゴールデンウィークの高速道路の渋滞予測は下り線のピークが5月2日 (土) ~3日 (日・祝)、 上り線のピークが5月3日 (日・祝) ~ 5日 (火・祝) となった。この情報は、3月27日 (金) に各高速道路会社等から発表され当センターのホームページに掲載したが、ゴールデンウィーク直近までアクセス数が少なかった。ドライバーの需要は、4月26日 (日) から徐々に増加し、下り線の渋滞ピークの前日にアクセス数が最大となり、翌日から減少しはじめ、4月26日 (日) ~ 5月6日 (水・祝) の11日間で約350万PVのアクセス数を記録した。このような傾向は、前年度も同様であった。
この結果から、予測情報は出発の1~2日前に確認している可能性が高いことが分かる。ゴールデンウィーク等の旅行計画は、出発の1~2日前よりも前に計画していることが多いと考えられるため、予測情報は目的地の決定に影響を与えない可能性のあることが分かる。これは、過去に当センターが行った観光計画に関するアンケートの傾向とも一致する。
また、予測情報の需要は、下り線の渋滞ピーク前日の12時台に最も多く閲覧され、17時台以降に再びアクセス数が伸びることから、職場等の休憩時間や終業時間後に利用する人が多いと推測される。
渋滞情報 (現況) と予測情報の需要
高速道路ピーク時期の渋滞情報 (現況) の需要は、道路交通情報利用実態調査のとおり多くのドライバーが必要とするが、アクセス数の推移を予測情報と比較して見ると、下り線渋滞ピークの前日までは予測情報が増加し、その後は予測情報が減少する代わりに、渋滞情報 (現況) が急激に増加する (図-3)。
また、渋滞情報 (現況) 及び予測情報を閲覧するために利用されたデバイスは、下り線渋滞ピークの前日まではパソコンとスマートフォンの割合がほぼ同じ割合 (約半数) となっているが、渋滞ピーク期間に入るとスマートフォンの利用が最大で68%まで拡大した (図-4)。
これは、出発前は自宅や社内でパソコンを利用して予測情報を閲覧するが、出掛けてからは主にスマートフォンを利用して渋滞情報 (現況) を閲覧し、予測情報はそれほど利用されていない可能性のあることが分かる。
渋滞予測と実績の比較
ゴールデンウィーク後の各高速道路会社の発表によると、10km以上の渋滞発生回数は328回 (下り線:137回、上り線:191回) となった。予測では、330回 (下り線:143回、上り線:187回) であり、全体数としては予測どおりとなったが、5月2日 (土) の予測と実績を見ると、予測が67回 (下り線:45回、上り線:22回)、 実績が43回 (下り線:32回、上り線:11回) と大幅に減っている (図-5)。一方で、5月3日 (日・祝) ~ 5月6日 (水・祝) では、実績が予測を上回るケースが多くなり、予測情報が多く見られた翌日 (5月2日(土) )の渋滞に影響を与えている可能性が窺える。
・・・・・・・・(転載ここまで)
「とっとと交通規制しろよ」といいたくなりますね。
高速道路のトラック事故の原因が、イレギュラーかつ大型連休の渋滞であると予測できるのだから、高速道路の使用規制をかければ済むだけの話です。
どうしてこういった発想が出てこないか不思議で仕方ありません。
大方、旧日本道路公団は「大型連休はかきいれ時だから何でも良いから利用させて収益を上げよ」
と考えているだけでしょう。
余談ですが、日本道路公団は「道路関係四公団」に民営化分社化されました。
・・・・・・(道路関係四公団(どうろかんけいよんこうだん)
2005年(平成17年)9月30日まで主として有料道路の建設・管理等を行っていた、日本道路公団(JH)、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団の4つの特殊法人である[1]。
2005年(平成17年)10月1日に四公団の民営化が行われ、日本道路公団は分割され東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社に、首都高速道路公団は首都高速道路株式会社に、阪神高速道路公団は阪神高速道路株式会社に、本州四国連絡橋公団は本州四国連絡高速道路株式会社になり、各公団の従来の業務・権利・義務を承継することになった
・・・・・・・(転載ここまで)
登山でも入山規制というものが存在します。
それは、登山者を守るためです。
なぜ、道路交通において、冬場のチェーン規制以外にこういった規制が行われないのでしょうか?
こういったトラック事故、多重事故は、起こるべくして起こっているといっても過言ではありません。
旧日本道路公団にとって、大型連休や年末年始に起こる悲惨な事故よりも、目先の収益増加のほうが、魅力的なのかもしれませんね。
テレビや雑誌で話題の観光地や大型商業施設に家族を連れて行くのが家族サービスではありません。
大型連休には、外出を控え自宅や近場でのんびりと過ごすこと、家族との時間を大切にすることの方が有意義だと思います。
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