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【IM理論】看護理論が分かりにくいのはケア・結論から遡らないからです

2019年01月18日 | IM理論

今回は前回に続き看護過程についてのお話をしていきたいと思います。

看護過程ではそれぞれ看護理論を使って、

「①情報収集(観察)⇒②アセスメント(分析)⇒③課題発見(判断)⇒④計画立案(対策)」

という経過を辿ります。

しかし実際の看護実習で、こんなのんきなことをしていたら、時間だけが過ぎていって

③課題発見まで辿り着かないです。

ですから、もっと細かく嚙み砕いて考えてみます。

看護の③課題発見の「課題」とは一体何でしょうか?

それはADLつまり日常生活動作の「セルフケアレベルがどの程度自立しているか?」ということが「課題」「看護問題」となります。

ではADLの判断基準とは?という観点で見ていきます。

ここで【IM理論】5項目を列記します 

①清潔 ⇒単独で入浴、洗面、歯磨き

②排泄 ⇒トイレにて排尿、排便

③食事 ⇒自力摂取

④活動 ⇒気分転換、移動が自己にてできている

⑤教育 ⇒安全教育、退院後の疾病知識、内服管理、受診管理、

といった、日常生活動作の問題点です。

 

では、実際の思考プロセスを「清潔」というカテゴリーを切り取って見ていきましょう。

「皮膚の状態」を一つ見てみます。

仮に皮膚の状態が良好だったとしても、

「その良好な状態をどのように維持しているのか?」ということです。

看護師に毎日ベッドバス(清拭)によって清潔を保っているのならば、「セルフケアできていない=課題」があります。

そこで「なぜ、この人は入浴できないのか?」考えます。

その理由を探していきます。

以下、代表的な「入浴の阻害要因」について列挙致します。

・治療上の安静のため、心臓に負荷のかかる入浴禁止指示がある

・オペ後、創部の感染の恐れがあるため入浴禁の指示がある

・禁忌肢位があり、ベッド上生活指示がある

・感染状態でシャワー浴や湯舟につかるという身体負荷の強いことにより症状悪化の恐れがある

・ドレーン、ルート、バルーンカテーテル挿入されており、入浴による感染リスクが高い

・車いすでの座位の保持が困難

いかがでしょうか?

セルフケアレベルから見ても、そして看護上、ホメオスタシスアップの観点からしても

「入浴できること」のメリットは大きいです。

さらに、ベッドバス(全身清拭)しているのは、マンパワー不足が原因かもしれません。

 

そこで「機械浴(特浴)や車いすシャワー浴、車いす入浴(介助入浴)ならできないか?」という視点に切り替えます。

ストレッチャーに移乗して、寝たままで入浴することができるのが機械浴で、設備さえあれば実施すべきです。

そのほか、車いすに移ってもらって、車いすごとシャワー浴をする方法や、車いすからシャワーチェアに移る練習をして、移乗中に脱衣をしてシャワー浴をすることも可能です。

それらの可能性がないか考察します。

「その可能性を阻害するものが何か?」つまり「セルフケアを阻害するものは何か?」を「観察=情報収集」するのが看護過程(看護としての思考過程=患者理解プロセス方法)だと言えます。

シャワー浴で例を一つ上げるなら、立位保持が不可なら、

看護師2名でベッドから車いすに移乗すればいいだけですね。

そして、座位不安定なら看護師1名が座位保持させ、残り1名でシャワー浴介助すればいいだけです。

つまり、「マンパワー」さえ使えばほとんどが「禁止指示」「全身状態不良」という理由を除いて、入浴は可能だということです。

 

ですから、「なぜこの患者は入浴できないか?」「どうすれば入浴できるのか?」をつきつめる、さらに

「この患者を入浴させるに至る根拠を集め、説明できるようにする」

「この患者はやむを得ず、”ベッド上清拭しかできない”理由を説明するための根拠集め」

が看護過程であると言えます。

ですから、突き詰めて考えれば「治療上、主治医から”入浴、シャワー浴禁止”または”安静指示”の指示がない限り」ベッド上清拭をする必要はありません。

入浴の手順、計画ができていれば実施可能となるわけです。

ですから通常の看護過程では

「①情報収集(観察)⇒②アセスメント(分析)⇒③課題発見(判断)⇒④計画立案(対策)」

となりますが、実際はというと

「①課題発見(判断)⇒②アセスメント(分析)⇒③情報収集(観察)⇒④計画立案(対策)」

と辿る方が正しいのです。

これをいきなり「情報収集」から始めるため、わけがわからなくなります。

例えば入浴するのに

「血液検査数値」が必要でしょうか?せいぜい感染しているかどうか?がわかればよいだけです。

それよりも、優先順位として

①「医師からの治療上の指示、安静度」

②「禁忌肢位」

③「ルート、ドレーン類の有無」

の物質的な目に見える情報のほうが重要となってきます。

この3つがクリアできたら、入浴は可能ということになります。

そして、他の情報は「入浴中、入浴後の状態観察の判断材料のために必要」となってくる補完情報です。

実にシンプルだと思いませんか?

今回は、「清潔」を例に取り上げてIM理論を説明しました。

以下に今回のプロセスをまとめます。

 

①観察:実際のADLを細かく見る

②分析:「なぜセルフケアできないか?」セルフケアを阻害する情報収集する

③判断:セルフケアを阻害する要因を順位付けする

④対策:阻害要因対策をして課題解決計画を立案

 

これらのプロセスを記録にすればよいだけです。

看護過程の参考になればと思いますので是非看護実習でご利用ください。

 

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