看護学校の教員をしていると、科目未履修つまり欠点があったり、実習で欠点がついた学生を「辞めさせる」ための
「退学勧告」をすることも仕事の1つです。
実習で欠点がつくということはその時点で「看護師の仕事が向いていない」
仮に臨床に出ても「相当努力しないとまともについていけない」という最後通告なのです。
野球をやっている人は沢山います。
「私は将来、巨人の4番を打ちたい」
と考えても、プロ野球選手になれる人は、野球選手の中でもほんの一握り。
「①類まれな身体能力(才能と素質)と人の②何倍も努力すること(真面目さ、勤勉さ)」によって
望んでいた結果に結びつくのではないか?と思います。
①の才能と素質だけでプロになる人はいます。
②の真面目さや勤勉さだけでプロになれる人もいるかもしれません。
しかし、プロで4番になる人は①と②を兼ね備えていないといけません。
つまり、専門学校での看護師養成の原点は「能力主義の世界」なのです。
ですから、専門学校で看護師を目指していて、①才能や能力、②真面目さ勤勉さの①②が不足している看護学生に対して
どのように説得するかというと、
「学校側としては他の学生と同じように指導します。
その中であなたがついてこれなければ進級は難しいし、卒業ができません。
卒業見込みを持って、看護師国家試験の受験条件となることは知っていますよね?
看護学校では才能や素質のある学生もあなた以上に努力しています。
”私は頑張っています”が通用しない世界なのです。
うさぎと亀の昔話で、才能のあるウサギは、亀を見下してさぼってしまいます。
しかしここでは、”努力力するウサギ”しか卒業することができません。
ですから、この学校ではあなたはうさぎとかめの”亀”だと自覚してください。
人並の努力では3年で卒業できません。
うさぎの倍、3倍努力してやっと3年で卒業できると思ってください。
うさぎと同じように努力していたら、6年はかかります。
いいですか?ウサギの3倍努力できますか?
あなたが基準じゃないですからね。ウサギの3倍努力し続けないと卒業できないくらい厳しい状態だということです。
一度、ご家族、お母さんと相談してきてください。
同期生と同じように卒業することは難しいということを伝えてください」
このように説明します。
私は才能や資質がない人が成功しようとするには、「最低10年は必要だ」と思います。
そこで大切になるのは「それでも10年続けられるほど、その業界が好きで好きでたまらないか?」
という「動機の面」だと思うのです。
看護学生の本音の志望理由の9割が
「自分は勉強できないし何も取柄がないから、このまま行ったら、まともに就職ができない。
看護師免許を取って手に職をつけたら、仕事には困らないだろう」
という「好きか嫌いか?」ではなく食べていくためだけの「手に職をつけたい」という打算的な考えで
看護師を目指して入学してきます。
「楽してある程度豊かな生活がしたい」
という「楽発想」で看護師を目指してくるのです。
ですから3年間「ずーっと我慢している状態」なのです。
これは本当に不幸だと思います。
人生は我慢をするためのものではありません。
ましてや「卒業して看護師国家試験に合格して資格を取得しても」続けられる仕事かどうかは不明です。
実際に現場に出てみて「この業界、この仕事は合わないな」と感じる人ばかりだからです。
本当に好きな仕事なら、女性が結婚しても続けます。
しかし、多くの女性は結婚を機に看護師を辞めてしまいます。
それくらい向き不向きがあるのが専門職の特徴なのです。
ですから、養成学校の段階で「自分には無理だ」と分かる方がどれだけメリットがあるかと思います。
とりあえず国家資格だけ持っていても、「こんな仕事2度としたくない」「医療従事者、あたまおかしい」と一度でも思ってしまえば
国家資格なんて紙くず同然です。
私は若いころ柔道をやっていましたが、名門校などに出稽古や合宿に行くと、とてつもない厳しい稽古メニューをこなしています。
名門校出身の後輩に「今まで、柔道辞めたいと思ったことはなかったの?」と質問すると
「本気で辞めたいと思ったことはない。たまに休みたいなと思うくらいです。
なんだかんだ柔道好きだし、
①柔道の事考えていると楽しい研究熱心で努力家
②しかもジュニア時代から実績があり才能がある、
そんな奴らが名門校には集まりますから、そういう環境で練習するのは
”お友達柔道””お遊び柔道”にはない良さもあるんですよ」
しかし後輩は「大学でお遊び柔道やってますけど、柔道とったら打ち込むものがなくなって困ってます。
かといって、今更、県警機動隊や名門大学で自分を磨く気にはなれないし。中途半端で辛いですね」
と後悔している節もありました。
さて、ここから前向きなお話をします。
「それでもやっぱり国家資格は国家資格だから、とりあえず免許は欲しい」と考えている看護学生がいるかもしれません。
そういう人に是非おススメするのは「地方の看護大学」もしくは「看護学科のある国公立大」に入学することです。
ハッキリと言いますが、専門学校と看護系大学では教育レベルが雲泥の差です。
専門学校の方が量質ともに厳しいしハイレベルです。
「大学は辞めさせない」からです。
毎日出席してレポート課題だけこなしていれば4年間で卒業できます。
実はコロナの影響で看護学校の退学者は減っています。
看護系大学での退学者はほとんどいません。
「学費と4年間通うという時間の問題」だけ解決できれば「国家資格だけ取る」のが目的なら
断然看護系大学へ進学することをおススメします。
学費も時間もかからない専門学校は恐ろしく厳しいですから。
そんなことよりも、「自分が本当にやりたい事は何なのか?」
というこを見つけることです。
人生の取扱説明書も知らずにプラモデルを作り始める日本の子育て、学校教育。
是非、「どうやって生きればいいのか?」を以下の動画で学ぶところから始めてもらいたいと思います。
皆様に祝福がありますように。
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