ヴェルディのオペラ”仮面舞踏会”を見に上野の文化会館に行きました。

文化会館は、5階まである広い会場内のどこの座席でも響きが良く、私が好きなホールです。でも、特に大ホールはかなり久しぶり。トイレはどこだっけ?改装されたんだったかしら?・・という位、ご無沙汰でした。今は、本当にホールはいっぱいありますからね。
二期会の公演も久しぶり。学生時代の副科、声楽の先生、下野昇先生が二期会だったので、先生の”タンホイザー”を見に行ったりもしたなあ・・。先生はお元気かしら・・?
”仮面舞踏会”を見るのは、初めてでした。ボストンの総督リッカルド伯爵(伯爵はありえないが・・)信頼する秘書レナート。しかし、その妻アメーリアは伯爵に強く思われていて、悲劇が起きるのです。第2幕での「私を愛していると言っておくれ」「愛しています」「愛していると言ってくれるのか?」というシーンは、感動的。何度見ても同じ箇所で目頭が熱くなる映画と同じように、迫ってくるものがあります。設定に無理がありながらも、この愛の告白を求める場面のために、またこのオペラを見たいと思わせる作品にまとめ上げたヴェルディの実力。流石、多くのオペラを作った巨匠だなあ、と思いました。
主要な役の歌手たちは、みな素晴らしく、力むことなく、余裕で声が響いていました。ホルンとのハモリで音程が・・という箇所もあったけれど、皆さん、本当に声が素晴らしかったです。若干、残念というか、まだ進化の余地という点は、芝居としての表情でしょうか・・。学生時代の合唱の授業で、最終学年(大学1年)の先生、田中信昭先生が「顔の表情が声の表情になる」とおっしゃったのを私はずっっと覚えていますが、その通りなので、あそこまで声が出来てきている日本人オペラ歌手の皆さん、お顔の表情の研究がもっと出来たら、もっと素晴らしいのではないでしょうか? 中では、リッカルド、ウルリカ、オスカル役の3人は、役にはまった演技を見せていると思いました。いずれにしても、日本のオペラ歌手の進化には感心しました。
美術は、現代の象徴的な装置。特に奇抜な物は無く、今日現代の日本人が納得できる分かりやすい演出だったと思います。”仮面舞踏会”のタイトルから、ヴェネツィアの謝肉祭のような弾けた華やかさを想像していたら全く違って、コロス全員が顔を半分隠す白いマスクに黒いマントで揃え、その下の顔は、下半分を白っぽく塗って、同じ無表情に見えるように演出されて、シリアスな印象でした。バレエの6ペアだけが仮面無しで華やかさを見せていましたが、不思議なことに、パンフレットには”ダンサー”ではなく”アクター”(助演)と書かれていました。読売日響の演奏も、素晴らしかったです。あれだけ目立ったハープ奏者の名前がパンフレットに書かれてなかったなあ。
オペラは総合芸術で、作品の作者、企画、演出、オーケストラ、歌手、合唱、バレエ、練習スタッフ、美術、衣装、音響、照明、字幕・・まだまだあるかもしれませんが、多くの人の力が結集して贅沢な時間を作ります。そして、観客も大きな役割を担っています。これは、勿論オペラだけではありませんが、今日の聴衆は、関係者、音楽家の雰囲気を漂わせる方も多く見られ、その他の方もオペラを見慣れている方ばかりのようでした。聴衆も進化しているようです。
でも、あまり、一部の特殊な人たちだけのものではなく、一般の方にとっても、数あるジャンルの中のひとつ・・くらいではあって欲しいなあ。


文化会館は、5階まである広い会場内のどこの座席でも響きが良く、私が好きなホールです。でも、特に大ホールはかなり久しぶり。トイレはどこだっけ?改装されたんだったかしら?・・という位、ご無沙汰でした。今は、本当にホールはいっぱいありますからね。

二期会の公演も久しぶり。学生時代の副科、声楽の先生、下野昇先生が二期会だったので、先生の”タンホイザー”を見に行ったりもしたなあ・・。先生はお元気かしら・・?
”仮面舞踏会”を見るのは、初めてでした。ボストンの総督リッカルド伯爵(伯爵はありえないが・・)信頼する秘書レナート。しかし、その妻アメーリアは伯爵に強く思われていて、悲劇が起きるのです。第2幕での「私を愛していると言っておくれ」「愛しています」「愛していると言ってくれるのか?」というシーンは、感動的。何度見ても同じ箇所で目頭が熱くなる映画と同じように、迫ってくるものがあります。設定に無理がありながらも、この愛の告白を求める場面のために、またこのオペラを見たいと思わせる作品にまとめ上げたヴェルディの実力。流石、多くのオペラを作った巨匠だなあ、と思いました。

主要な役の歌手たちは、みな素晴らしく、力むことなく、余裕で声が響いていました。ホルンとのハモリで音程が・・という箇所もあったけれど、皆さん、本当に声が素晴らしかったです。若干、残念というか、まだ進化の余地という点は、芝居としての表情でしょうか・・。学生時代の合唱の授業で、最終学年(大学1年)の先生、田中信昭先生が「顔の表情が声の表情になる」とおっしゃったのを私はずっっと覚えていますが、その通りなので、あそこまで声が出来てきている日本人オペラ歌手の皆さん、お顔の表情の研究がもっと出来たら、もっと素晴らしいのではないでしょうか? 中では、リッカルド、ウルリカ、オスカル役の3人は、役にはまった演技を見せていると思いました。いずれにしても、日本のオペラ歌手の進化には感心しました。

美術は、現代の象徴的な装置。特に奇抜な物は無く、今日現代の日本人が納得できる分かりやすい演出だったと思います。”仮面舞踏会”のタイトルから、ヴェネツィアの謝肉祭のような弾けた華やかさを想像していたら全く違って、コロス全員が顔を半分隠す白いマスクに黒いマントで揃え、その下の顔は、下半分を白っぽく塗って、同じ無表情に見えるように演出されて、シリアスな印象でした。バレエの6ペアだけが仮面無しで華やかさを見せていましたが、不思議なことに、パンフレットには”ダンサー”ではなく”アクター”(助演)と書かれていました。読売日響の演奏も、素晴らしかったです。あれだけ目立ったハープ奏者の名前がパンフレットに書かれてなかったなあ。

オペラは総合芸術で、作品の作者、企画、演出、オーケストラ、歌手、合唱、バレエ、練習スタッフ、美術、衣装、音響、照明、字幕・・まだまだあるかもしれませんが、多くの人の力が結集して贅沢な時間を作ります。そして、観客も大きな役割を担っています。これは、勿論オペラだけではありませんが、今日の聴衆は、関係者、音楽家の雰囲気を漂わせる方も多く見られ、その他の方もオペラを見慣れている方ばかりのようでした。聴衆も進化しているようです。

でも、あまり、一部の特殊な人たちだけのものではなく、一般の方にとっても、数あるジャンルの中のひとつ・・くらいではあって欲しいなあ。
