室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

ス・ボイントクス

2009-02-13 22:14:15 | Weblog
天才少年を生で見た事ありますか?

写真は馬頭琴の天才少年です。お父さんはモンゴル人、お母さんは日本人。両親は兵庫県の篠山の山の中で“モンゴルの里”というモンゴル料理と宿泊施設をやっています。朝青龍の一連の騒動の報道でも見た“ゲル”と呼ばれるテント状のホテルです。

少年はハン君11歳。去年のヤンネ舘野“ヤラト・ツアー”の時に食事に「モンゴル料理を食べに行こう」と言われて“モンゴルの里”に行きました。食事の後に「馬頭琴を弾く少年がいるんだよ」と言われ、「へえー、“馬頭琴”珍しいなー」と、興味を持って聴かせてもらいました。

まず驚いたのは、ハン君の演奏のミュージシャンとしての才能です。
歌心にしてもリズム感にしても、ただ教わった以上のものを感じました。”馬頭琴”は、鬼瓦のような形のボディに細い棹が付いていて、新聞束ねに使う紐みたいな弦が2本張ってあります。音域は、チェロという程は低くないので、ビオラのような感じでしょうか・・。弦を指の腹で上から押さえるのではなく、指の甲、指の側面で触れて音程を付け、ビブラート掛けているようでした。

ハン君は馬頭琴の楽譜を見せてくれて、「この曲が合格したら、最年少だと先生に言われた」と、意欲を見せていました。私たちは、楽器にも、彼自身にも興味を駆られて色々質問をしました。私たちはハン君の演奏に刺激を受けて、自分達の演奏がやりたくなってしまった程、感心しました。

そのハン君がお父さんのドロンさんと一緒に、先日の”みーつけた”での、私たちタンゲロス・アルティコスの演奏を聴きに来ていました。終演後、周りの片づけが一段落すると、皆の求めに応じて、ハン君は馬頭琴を弾いてくれました。

去年の楽器より、一段上等な楽器にバージョンアップしたそうで、深い響きが加わった印象を受けました。

彼のCDがヤンネのプロデュースで作られました。“モンゴル・オルゴ / ス・ボイントクス”です。“みーつけた”でも売られていたので私も一枚買いました。帰宅して聴いてみましたが、とても良いです。ハン君のモンゴル人の血の誇りといった堂々たる勇姿のジャケットもカッコイイです。

広々とした空と大地と、その中に存在する人の心を表現する感性。11歳にして大したものです。将来が楽しみです。