室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

夏の家族旅行 其の二

2009-07-19 13:18:32 | Weblog
翌日は、本来の目的の、伯父の三回忌の当日です。
6時に起きて、7時朝食、8時に駅に向かいました。

倉敷から山陽本線で福山まで40分。それから福塩線というローカル線に乗り換えて30分。戸手という駅で下車。迎えに来てくれた従兄弟のプリウスで、伯父の家へ。

曹洞宗の中興寺のご住職が、全体の流れを説明して下さり、所々に法話や解説が入る他は、もっぱら全員で配られたお経を音読します。一瞬「脳トレのようだ」と頭によぎったりしながら、息継ぎの場所を考えながら(ブレスしていると置いていかれる)集中して、読み続けます。

50分程で、一通りの法要が終わって、お墓参り。
コケに滑って転ばないように気をつけながら直径10cm位の石を踏みしめ、一族のお墓を目指して上ります。伯母が用意してくれた虫除けシートのお陰で、腕は大丈夫でしたが、足は蚊の餌食になっていました。

お線香を一人1本ずつ立て、ご住職が短いお経を唱えてくださり、記念写真を撮って、今度はお寺へ。
去年改修したという本堂に上がって、全員でお焼香をした後、本堂の案内をして下さり、普通は見られない奥の部屋も見せて下さいました。中興寺は700年前に鎌倉の建長寺から分かれた、歴史あるお寺だそうですが、建物は350年経っていて、茅葺き用の柱や梁なのに、明治以降に瓦を乗せた為に構造上危なくなって、去年改修工事をしたのだそうです。

代々のご住職の古いお位牌や、高僧の像などご説明を聞いているうちに、「そうか、檀家に支えられて存続しているのだから、実情を公開する必要性があるのだ」と気がつきました。伯母も「寄付したから、見せてくれるんやわね」とコソッと言っていました。

本質を外さずに、現代の日本社会に活きた仏教のあり方として、努力されているのを感じました。

再び伯父の家に戻り、いよいよお会食。
写真のお膳が20くらい並びました。かなりの量でしたがどんどん口に運び、一年ぶりに会った、年の近い四国の従兄弟たちの近況を聞いたり、思い出話をしたり、短い時間を貪るように過ごしました。

そして、音楽好きだった伯父を偲んで、私が伴奏をして、全員で歌を歌いました。『千の風になって』『遥かな友に』『椰子の実』の3曲。全員でお経を音読した時に負けないくらいの、一族としての絆があったように思いました。

本当に音楽が好きだった伯父は、遠く離れていても、沢山いる甥や姪の中でも、私についての話を結構していた、と従姉妹の旦那さんから聞いて、以前に達筆で手紙をくれた事など思い出しました。私が小学生の時に夏休みに来た時にすでにあったグランドピアノ。その伯父のピアノを弾く事ができて良かったと思いました。


慌ただしく四国組が帰り、「みんな元気で幸せでいて欲しい」と心から願いながら、私たちも家路につきました。

帰りの上り新幹線の新神戸付近で、弟一家が今日から神戸へ遊びに行くと言っていた事を思い出しました。ちょうど近くを通っている事を知らせようと義妹にメールを送ったら、「私たちの新幹線は、まだ掛川を過ぎた辺りです」という返事。

「夕焼け見えてる?」とメールすると、「夕焼け見えてます。恐らく岐阜羽島付近ですれ違うかも」という返事が返って来ました。

のぞみ号同士のすれ違いって、本当に物凄いスピードなので、16両ずつのすれ違いでも2秒もかからず、お互いを揺すり合って通り過ぎるものですが、それでも、家族が乗っている新幹線だと思うと、他の新幹線とは違う、特別な新幹線に思えるから不思議です。

相手の名古屋到着時間を知らせてきたので、その時点からの中間の一を計算して、19痔21分頃にすれ違いそうだと分かりました。

そして、
「これかな?」
弟から 「今、通り過ぎた?」「うん、今、木曽川の鉄橋を過ぎた」
「ちょうどこちらも鉄橋だわ。やったね!」

全く、密かな、ウチだけの喜びではありましたが、何だか嬉しくて、ずっと覚えておきたい想い出となりました。

岡山駅で買った“あなご弁当”“さわら弁当”“ままかり弁当”を3人で分けっこして頂いたのですが、どれも美味しく、『終わり良ければ全て良し』 愉しい旅となりました。


夏の家族旅行 其の一

2009-07-19 11:19:02 | Weblog
ここは、何処? ワタシはだーれ?

・・なんて事はありませんが、この写真で何処か分かる方は“美術館ツー”ですなー。

これは、倉敷の美観区にある《大原美術館》です。

本当は、母方の伯父の法事の福山行き。新幹線を安く乗るために東海ツアーズの“倉敷1泊付き”を利用しました。
岡山か倉敷で1泊した方が、普通に往復する料金より壱萬イェン位もお安くなる不思議なプランがあるのです。
両親と3人ですから、合計で参萬イェンもお安くなるんです。
ただ、倉敷=福山間はオプション扱い(別料金)。それと電車の予約変更ができないリスクがあるのですが、電車は全部順調で、上手く行きました。

1年ぶりの家族旅行でしたが、今回は珍しく傘を片手の観光となりました。
この時期、お天気が良ければ絶対に暑い訳で、「生憎のお天気だけど、ドピカン晴れで暑いのもツライから、マシか・・?」なんて、現状を肯定する事にして、歴史のある大原美術館、アイビー・スクエアと美観区散策をしました。

倉敷へは、20年位前に倉敷音楽祭で来させて頂いて以来ですが、あの当時より落ち着いた町並みになった印象を受けました。
観光客のターゲットが、中高年層になったんでしょうか・・?

演奏の仕事で来るのと観光で来るのとでは、全然違うのは当たり前ですが、この20年間で美術館の展示の仕方そのものも、ずいぶんと変化したような印象を受けながら大原美術館を隅々まで鑑賞しました。

“ぐるなび”で検索して出て来たのですが、「ホテルでいいや」という事になり、夕食も朝食もホテルで取りました。
その東海ツアーズで宿泊できる、唯一三人部屋が可能だったホテルです。一応、“じゃらん”での評価は、総合で4点以上でなかなかの高得点でしたが、夕食についての評価は無く(夕食つきのプランが存在しないらしい)朝食に関しては3点台でした。

果たして、実際にはどうかと言うと、ミニ会席コースはお味は悪くありませんでした。お刺身が美味しかったです。母が取った地鶏のソテー・コースの方は、メインディッシュの地鶏に塩味が皆無で、バルサミコ酢しか味が感じられなかったので、一寸質問してみたのですが「聞いてきます」と言っただけで、とうとう回答はありませんでした。

うーん、まあこちらも疲れているから、それ以上追求する気力も無く、ただ【?】だけ・・。
もっと大きな【?】は、食べ終わっていないのにウェイトレスが食器を下げようと、何度も来る事でした。
母は「早く追い出そうとするみたいで感じ悪い」と言いたそうでしたが、決定的なクレームを口にすると旅行全体にケチが付いてしまう気がしたので、「テーブルがお皿でいっぱいにならないようにしてるんじゃない?」などとなだめたりしていました。

そもそも倉敷駅からのタクシーの運転手さんも「近くて悪いけど、大粒の雨なので・・。このホテル知ってます?」と聞いたら「知らんなー」という返事で、サービス業とは思えない態度でした。今の倉敷、ブーム時の活気は無く、観光ズレとは言わないが、残念ながら「素敵な街でした、行って良かった・・」という印象ではありませんでした。

ついでの観光とはいえ、父はせっかく旅行を楽しみにしていたので可哀想でした。
でも、父に言わせれば「早く寝たいのに、いつまでも《ハリー・ポッター》を見ていてなかなか寝かせて貰えなかった」と私に対しての方が文句を言いたかったようです。
つづく・・。