室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

海の日コンサート in 逗子教会

2009-07-22 10:18:35 | Weblog
逗子教会で《海の日コンサート》がありました。

シューベルト歌曲の第一人者、畑儀文さんの独唱会なのですが、舘野泉さんのお弟子さんで素晴らしいピアニストのマルッティ・ラウティオさん、ヤンネ舘野さんのバイオリン付き、という演奏会。友人たちの演奏会の話をシューベルト協会の佐藤巌さんから伺い「ぜひ、聴きに参ります」とお返事していたら、私も飛び入りアンコールで参加ということになりました。

そのアンコールも「何かタンゴを・・」という事で、前日まで曲が決まらず、候補曲の譜面を5つ位持って行きました。ゲネプロで、ヤンネと演奏する曲を2曲決めたところで、畑さんが「マルッティにあまり負担を掛けたくなくてね・・」と弾き語りをしているのを見て、思わず「私、やってもいいですよ」と言ってしまいました。「それじゃあ、お願いしちゃおうかな。展開を僕、考えます」と言われて、前半4曲、後半3曲、日本語の歌の伴奏をお引き受けする事になりました。

これは予期せぬ展開です。大阪にいるお弟子さんにFAXで送って貰って間に合った譜面もあったし、全く知らない曲も2曲ありましたが、何とかなりました。

それにしても、少し珍しいコンサートでした。
ピアニストがマルッティと、私を含めると2人いるのに、テノール歌手が自らピアノを弾いて、3曲弾き語りで始まるのですから。そして、海の日と逗子に関連のある曲。私はただ「横浜在住のピアニスト」とだけ紹介されて登場。パンフレットに名前が無い割に7曲も伴奏しちゃう。

シューベルトの歌曲コーナーでは、小品3曲をまた弾き語り。“冬の旅”の中の2曲はマルッティの伴奏で歌われました。
更に、アンコールは、まずヤンネと私が、海に因んで“鮫”を弾き、畑さんが弾き語りを2曲。最後にもう一度、ヤンネと私が“ラ・クンパルシータ”を演奏して終了。

終わってみると、パンフレットに書かれてあった曲はちゃんと全部こなしてあり、でも聴きに来てくれた演奏家の友人に言わせると「なんだか不思議な感じ」でありながら、殆どのお客様にとっては「とても愉しかった」コンサートになっていたようです。ヤンネのマネージャー、小笠原さんの「これが《畑ワールド》なんですう」という言葉に、「なるほど」と感心してしまいました。

写真は、見事に弾き語りをなさる畑さんです。こういうスタイルは、クラシックの歌手では、本当に珍しいと思います。でも、ピアノがかなりお上手で、殊にシューベルトの歌曲の中にはかなり難しい曲もあり、驚きました。また日本歌曲は、他人の伴奏では合わせるのがかなり難しいルバート(伸び縮み)があったので、「流石に歌手と良く気のあった伴奏」でした。

畑さんとは、またクリスマスに大阪でご一緒します。