室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

愉しい打ち上げ・其の3

2009-12-29 22:41:23 | Weblog
日本語だけの世界では、なかなかこういう写真は撮れないでしょうね。

英語では二人称はYou しか無いけれど、たいていのヨーロッパ語では、Tu やDu などの近しい二人称とVous やSie などの距離感のある二人称の2種類がありますが、私たちは明らかに“近しい二人称”の方で話していました。

日本語では、年齢差のある場合の表現方法が予め用意されているので、世代が違うとタメ口にはなり難いものです。

日本語同士だったら、「イクミ、ノー、そこはテンポを変えないヨ。その後から急に速くするんダ。」なんて言い方は絶対にしないでしょう。でも遠慮することなく、フランクに音楽の為に純粋に言い合えるのがとても新鮮で、そういう関係でいられる事が、とても気に入っています。


打ち上げは24時過ぎまで続き、やがてじゅんこ嬢は明子マネージャーと再びレンタカーの人々となって新横浜へ向かって行きました。ヤンネ、ヴィッレと私は駅前のホテルに送って頂き、長い一日を終えました。

翌日、仙台に行くというヤンネ、ヴィッレと一緒に・・と思ったのですが、翌日はオケの本番で、ピアノにシリアスなソロがあった事を思い出して、上野経由で帰途につきました。朝8時台の原ノ町駅、同じホームで上りと下りほぼ同時に来た電車でフィンランド人コンビと慌ただしく手を振り、別れました。

長~い足掛け4日間。(ヤンネとは5日間)
我ながらよく走り抜きました。

そして、11日後には、また続きが・・。

愉しい打ち上げ・其の1

2009-12-29 22:20:46 | Weblog
本番後は、ターキーという大人の雰囲気のお店へ行き、舘野泉ファン“タピオカの会”の皆さんのご招待で打ち上げがありました。

一昨年も《ゆめはっと》で演奏させて頂き、同じ《ターキー》での打ち上げにも参加させて頂き、私は印象に残っていたのに、“タピオカの会”には余程、印象が薄かったようで、今回は初顔のように思われて、やたらとチヤホヤされてしまいました。

実は、本番の途中から、ちょっとした腸炎かな、と思うようなお腹の痛みがあったのですが、美味しいシャンパンを頂いたらすっかり元気になってしまい、これから深夜運転で飲めないじゅんこ嬢の分のシャンパンまで飲んでしまったのですが、全然平気。ますます調子に乗って、グラデーションの綺麗なマンゴー・カクテルも頂いてしまいました。

写真は、時空を超えて、音楽の純粋性で理解し合えてじゃれ合う仲間です。


ゆめはっと・タンゴの夕べ

2009-12-29 18:28:07 | Weblog
「もーいーくつ寝るとー、おしょーがつー」

正にこの歌の季節となりましたが、ワタクシのブログは、まだ12月11日に遡っております。

新横浜のホテルから、原ノ町の『南相馬市民文化会館・ゆめはっと』へ、女性陣3人はレンタカーで行きました。じゅんこ嬢が翌日に琵琶湖でオペラのリハーサルがあり、原ノ町に宿泊すると間に合わなくなるので、朝までに新横浜に戻る事になったのです。私は、自宅から原ノ町に向かうつもりでしたが、「地元民(関西人のマネージャーから見れば)だから、一緒に乗って行って頂けると心強い」とナビにスカウトされて同行しました。

でも、横浜市って広くて、エリアが全然違うので、殆どお役に立たない・・と思っていたら、レンタカーのカーナビ様が、予想と違うルートをおっしゃって、気がついたら「三ツ沢方面」の指示が出されており、マネージャーはパニック一歩手前でしたが、私にとっては得意なエリアで「大丈夫です!」きっぱりお答えできて、図らずもお役に立ってしまいました。

雨模様でしたが、思ったよりスムーズに常磐自動車道を進み、午後2時過ぎに到着。電車ルートで少し先に着いていたヤンネとヴィッレに合流。早速、サウンドチェックです。

“ゆめはっと”は、思わず嬉しくなっちゃう温かい響きの、残響の長いホールです。ここで、タンゴを演奏する場合、やはりバイオリンの打楽器的な技法を助けるPA は必要で、一人にPA を付けると、それぞれに必要になる為、それぞれに、それぞれの音が聞こえるモニターが置かれて、そのモニターの聞こえ具合、それとは別に客席への聞こえ具合・・と、色々チェックしなければならず、同じ曲の同じ箇所ばかり何度も音を出して、(ホントは個人練習が一番したいのに・・)と思っていても、殆ど許されませなんだ。

第1部で舘野泉さんとヤンネのDuo の曲、お弟子さんのあゆみさんのソロの曲、舘野泉さんのソロの曲があり、普段はあゆみさんが譜めくりをしているのですが、ソロ演奏があるので、ワタクシに“譜めくリスト”の白羽の矢が当たってしまいました。


舘野さんの譜めくりを仰せつかるのは、なかなか貴重な機会です。80cmの距離から、左手だけで弾かれる曲を、どういう風に譜面にするか、作曲者の創意工夫が見て取れます。しかし、譜めくりの手際の悪さが演奏のお邪魔をしたら台無しですから、タイミングに気を遣います。

この日のプログラムはアルゼンチンのエスカンデという作曲家の舘野さんの為の新作で、どれもリズムが凝りに凝って、それでいて無調ではなく、際どい和音が多いので、掴むのがかなり大変な作品です。右ページの下から2段目で立ち上がり、最終小節を自分が見切れたタイミングでサッとめくり、椅子に腰掛ける時には、譜面から目を離します。そしてめくったばかりの左ページを追いかけるのですが、1回だけ、見失って焦りました。追いつけた時は、すでに右ページに入っていました。これが新曲のコワさ。

本番の集中力は流石でした。それと、“手”自体が、ピアノにとても向いていらして、超一流というのはそういうものなんだ、と改めて思いました。勉強になるというより、いいなあ、スゴいなあ、と思うばかりでした。でも、譜めくりなのに、左の肩が凝りました。つい自分が弾いているみたいな疑似体験的に身体の中が動いてしまったんでしょうか・・。

前半プログラムが終わって、走って女性部屋に戻り、譜めくリストからタンゴ・ピアニスタに変身して、第2部、タンゲロス・アルティコスの出番です。(私が譜めくリストをしている間にも、他のメンバーはそれぞれ個室でぎりぎりまで個人練習に励んでいたんだゼー

でも、本番はとても爽快な気分でした。
すぐれたホールのたっぷりとした響きに包まれながら、メンバー一人一人からあふれ出るアドレナリンのシャワー。ほとばしる情熱と純粋さがとても気持ちの良い空気を創ったと思いました。「こんな場所で演奏できて幸せだ!」と全員が思っていました。

曲に対するイメージが一致しなくて一時は困ったりもしたヴィッレですが、終わると、本当にキツくぎゅーっとハグをして来ました。「本当に楽しかった」と言ってくれました。それが何より嬉しかったです。

写真は、またまたシルバー・コーティング弦のじゅんこ嬢。ステージ上の勇姿です。ステージの写真がこのゲネプロ中のしかなくて・・。次回は、打ち上げです。