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「挑む 生誕100年 中川信夫 青春のビッグバン」
「亡霊怪猫屋敷」1958年 新東宝 監督:中川信夫
古びた屋敷で開業医を始めた大学病院の助教授。その妻が不気味な老婆に殺されかける。菩提寺の和尚に相談すると屋敷に纏わる怨念話を始めるのだった。
日本怪奇映画の傑作。中川信夫の撮った「化け猫映画」かと軽くかかっていたらとんでもない事に嬉しい驚き。
現代編と、因果を遡る時代編。現代編を青味の入ったモノクロ、時代編を天然色で撮る演出。予算の都合を逆手にとった快挙と言えましょう。
現代編では。西洋怪奇映画に一歩も引けを取らないおどろおどろしさ。見事です。
湿った嫌な感じの階段を上る結核妻の着物の足元。
前景に烏を入れての廃墟屋敷の門前の俯瞰から屋敷内に入るショット。
光の使い方で白髪の不気味なお婆さんが佇む様子に背筋が寒くなる、本格怪奇映画。
薄暗い映像の中で一瞬強く照明が当てられると、天然色映画かと錯覚してしまうほどの効果がありますね。
しかし、このボロ屋敷をリフォームして開業医を開くのは大変そうです。
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花咲く庭から一変して天然色の時代編。
ころちらは時代劇としてのけれん味。化け猫描写はややもすると滑稽でお笑い方向に行きがちなところを極力抑制して・・・。もちろん笑い要素は無いわけじゃないけれどあくまで怖い本格怪奇物。
障子の影絵。
キチガイに刃物の悪家老の芝田新。
盲目、眉剃り、お歯黒のおっ母さんの宮路殿(宮田文子)も怖い。宮路殿までもが悪家老に辱めを受ける。
残虐シーンやエロシーンを直接見せる事はしない。事は全てフレーム外で音声のみ。
残虐な殺戮シーンは見せなくても怖さは表現できる。宮司殿の凌辱シーンは見せて欲しかったけれど・・・
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短気で卑怯者の左近将監にむごたらしく殺された小金吾(中村龍三郎)
現代編に戻って
強風の夜、お札がはがれて化猫侵入。機密性の低い日本家屋に直線で稲光が漏れる様の美しさ。
とにかく本作の美術は絶品です。
本作のスタッフ(撮影:西本正、美術:黒澤治安、音楽:渡辺宙明)が後に大傑作「東海道四谷怪談」を産むんですね。
「東海道四谷怪談」が日本怪談映画の最高峰なら「亡霊怪猫屋敷」は日本怪奇映画の最高峰でしょう。
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化猫お婆さん、五月藤江。やはり猫装束ではない現代編の方が怖い。
結核妻(江島由里子)の芝居が拙いけれど、妙な色気があったから許そう。
時代編での悪家老の息子・新之丞(和田桂之助)の恋人である腰元のお八重が超カワユイ。この人が北沢典子、後に大洋ホエールズ近藤昭仁氏が娶る方ですね。コノヤロー!
映画「亡霊怪猫屋敷 」予告編
ラピュタ阿佐ヶ谷
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「亡霊怪猫屋敷」1958年 新東宝 監督:中川信夫
古びた屋敷で開業医を始めた大学病院の助教授。その妻が不気味な老婆に殺されかける。菩提寺の和尚に相談すると屋敷に纏わる怨念話を始めるのだった。
日本怪奇映画の傑作。中川信夫の撮った「化け猫映画」かと軽くかかっていたらとんでもない事に嬉しい驚き。
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現代編と、因果を遡る時代編。現代編を青味の入ったモノクロ、時代編を天然色で撮る演出。予算の都合を逆手にとった快挙と言えましょう。
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現代編では。西洋怪奇映画に一歩も引けを取らないおどろおどろしさ。見事です。
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湿った嫌な感じの階段を上る結核妻の着物の足元。
前景に烏を入れての廃墟屋敷の門前の俯瞰から屋敷内に入るショット。
光の使い方で白髪の不気味なお婆さんが佇む様子に背筋が寒くなる、本格怪奇映画。
薄暗い映像の中で一瞬強く照明が当てられると、天然色映画かと錯覚してしまうほどの効果がありますね。
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しかし、このボロ屋敷をリフォームして開業医を開くのは大変そうです。
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花咲く庭から一変して天然色の時代編。
ころちらは時代劇としてのけれん味。化け猫描写はややもすると滑稽でお笑い方向に行きがちなところを極力抑制して・・・。もちろん笑い要素は無いわけじゃないけれどあくまで怖い本格怪奇物。
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障子の影絵。
キチガイに刃物の悪家老の芝田新。
盲目、眉剃り、お歯黒のおっ母さんの宮路殿(宮田文子)も怖い。宮路殿までもが悪家老に辱めを受ける。
残虐シーンやエロシーンを直接見せる事はしない。事は全てフレーム外で音声のみ。
残虐な殺戮シーンは見せなくても怖さは表現できる。宮司殿の凌辱シーンは見せて欲しかったけれど・・・
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短気で卑怯者の左近将監にむごたらしく殺された小金吾(中村龍三郎)
現代編に戻って
強風の夜、お札がはがれて化猫侵入。機密性の低い日本家屋に直線で稲光が漏れる様の美しさ。
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とにかく本作の美術は絶品です。
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本作のスタッフ(撮影:西本正、美術:黒澤治安、音楽:渡辺宙明)が後に大傑作「東海道四谷怪談」を産むんですね。
「東海道四谷怪談」が日本怪談映画の最高峰なら「亡霊怪猫屋敷」は日本怪奇映画の最高峰でしょう。
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化猫お婆さん、五月藤江。やはり猫装束ではない現代編の方が怖い。
結核妻(江島由里子)の芝居が拙いけれど、妙な色気があったから許そう。
時代編での悪家老の息子・新之丞(和田桂之助)の恋人である腰元のお八重が超カワユイ。この人が北沢典子、後に大洋ホエールズ近藤昭仁氏が娶る方ですね。コノヤロー!
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映画「亡霊怪猫屋敷 」予告編
ラピュタ阿佐ヶ谷
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