
「白夜映画祭Ⅲ」恋と革命 コメディ&メロドラマ
「女狙撃兵マリュートカ」1956年 ロシア 監督:グレゴリー・チュフライ
原題:Сорок первый
ロシア革命後の内戦の時代。赤軍の美人狙撃兵マリュートカは、捕虜となった白軍将校を、僚友二人とともに小型の帆船で本部まで護送するよう命ぜられた。途中で船が難破して、マリュートカと将校は無人島に漂着する。その無人島で二人にいつしか愛が芽ばえる。
古いロシア映画の中でもこれは観たかった映画。タイトルに惹かれるってもんです。革命を舞台に美人で勇ましい女狙撃兵の戦争アクション映画と思うってしまうのは浅墓。今回の特集はコメディ&メロドラマではないですか。そんなバリバリのアクション物はやりません。
その通りでなんともせつないメロドラマ。
原題は41番目という意味だそうです。40人の白軍兵士を射殺してきたマリュートカの41番目の標的は撃ち損じた白軍将校だったわけですが・・・
この映画はまず、前半部の砂の舞い上がる砂漠の風景や荒波の海の風景など厳しい自然との戦いの圧倒的な表現に心奪われる。
砂漠の行軍といえば昨年やっと見た「アラビアのロレンス」を思い出すが、あちらは砂漠の雄大さ、果てしなく広がる砂の脅威を見事に表現していたとすれば、こちらは広さよりも激しい気象、天候の脅威を見事に現している。そのままアラビアの砂漠とロシアの砂漠の違いみたいだ。どっちも知らんが・・・
画面に映し出される、重苦しく垂れ込む雲の不気味な美しさといったらない。
無人島に2人だけがたどり着くというベタな展開からの後半はメロドラマへと移行していく。
しかし女狙撃兵という邦題をつけるだけあってマリュートカの肉体、精神は極めて強靭。砂漠で次々に脱落する男たちを尻目に厳しい行軍を全うする。船が荒波に呑まれても海に放り出される仲間をよそに無人島にたどり着く。無人島でも発熱して体調を崩すのは白軍の将校の方だ。
そんな強靭なマトリューカがひとたび恋に落ちるとなんとも可愛い。
憎むべき白軍将校であったが、「監視役を任された時からその青い瞳は危険だと思った・・・・女の子にとって・・・」と告白。終始この青い瞳が彼女の胸を焦がす。
初めて革命の詩を披露する場面と無人島で回復途中の将校を小屋に置き、水を汲みにいくだかで浜辺をルンルンで歩くマリュートカ(この時、まだ2人は結ばれていない)のシーンがとても可愛く印象的。
さて、革命に対する強い思いも男である白軍将校よりも勝っている強靭なるマトリョーカ。軟弱男と喧嘩になったりもします(勿論、折れるのは男の方です)
赤軍白軍を越えたかのような2人の愛に待ち受けるラストはせつない。極限状態からの脱出を目の当たりにした2人の行動・・・41番目の標的。
隊長から「道中、白軍に出会ったら殺せ」と命じられていたのだから銃口を向ける相手がちと違ったようで・・・女心の赤坂?ぶりが良いです。
ベタな展開のメロドラマですがぜんぜん苦手な感覚がない。名作でしょう。
下高井戸シネマ レイトショー

「女狙撃兵マリュートカ」1956年 ロシア 監督:グレゴリー・チュフライ
原題:Сорок первый
ロシア革命後の内戦の時代。赤軍の美人狙撃兵マリュートカは、捕虜となった白軍将校を、僚友二人とともに小型の帆船で本部まで護送するよう命ぜられた。途中で船が難破して、マリュートカと将校は無人島に漂着する。その無人島で二人にいつしか愛が芽ばえる。
古いロシア映画の中でもこれは観たかった映画。タイトルに惹かれるってもんです。革命を舞台に美人で勇ましい女狙撃兵の戦争アクション映画と思うってしまうのは浅墓。今回の特集はコメディ&メロドラマではないですか。そんなバリバリのアクション物はやりません。


原題は41番目という意味だそうです。40人の白軍兵士を射殺してきたマリュートカの41番目の標的は撃ち損じた白軍将校だったわけですが・・・
この映画はまず、前半部の砂の舞い上がる砂漠の風景や荒波の海の風景など厳しい自然との戦いの圧倒的な表現に心奪われる。

砂漠の行軍といえば昨年やっと見た「アラビアのロレンス」を思い出すが、あちらは砂漠の雄大さ、果てしなく広がる砂の脅威を見事に表現していたとすれば、こちらは広さよりも激しい気象、天候の脅威を見事に現している。そのままアラビアの砂漠とロシアの砂漠の違いみたいだ。どっちも知らんが・・・

画面に映し出される、重苦しく垂れ込む雲の不気味な美しさといったらない。

無人島に2人だけがたどり着くというベタな展開からの後半はメロドラマへと移行していく。
しかし女狙撃兵という邦題をつけるだけあってマリュートカの肉体、精神は極めて強靭。砂漠で次々に脱落する男たちを尻目に厳しい行軍を全うする。船が荒波に呑まれても海に放り出される仲間をよそに無人島にたどり着く。無人島でも発熱して体調を崩すのは白軍の将校の方だ。
そんな強靭なマトリューカがひとたび恋に落ちるとなんとも可愛い。

憎むべき白軍将校であったが、「監視役を任された時からその青い瞳は危険だと思った・・・・女の子にとって・・・」と告白。終始この青い瞳が彼女の胸を焦がす。
初めて革命の詩を披露する場面と無人島で回復途中の将校を小屋に置き、水を汲みにいくだかで浜辺をルンルンで歩くマリュートカ(この時、まだ2人は結ばれていない)のシーンがとても可愛く印象的。

さて、革命に対する強い思いも男である白軍将校よりも勝っている強靭なるマトリョーカ。軟弱男と喧嘩になったりもします(勿論、折れるのは男の方です)

赤軍白軍を越えたかのような2人の愛に待ち受けるラストはせつない。極限状態からの脱出を目の当たりにした2人の行動・・・41番目の標的。
隊長から「道中、白軍に出会ったら殺せ」と命じられていたのだから銃口を向ける相手がちと違ったようで・・・女心の赤坂?ぶりが良いです。

ベタな展開のメロドラマですがぜんぜん苦手な感覚がない。名作でしょう。

下高井戸シネマ レイトショー

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