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「本の街・神保町」文芸映画特集Vol.11
「東宝文芸映画の世界」
「羽織の大将」1960年 東宝 監督:千葉泰樹
東大出の落語家桂小文(フランキー堺)が新作に転向してマスコミの寵児となり、やや天狗になっている。学生時代の友人の選挙応援演説に出たところ選挙違反に巻き込まれる。寄席からは追い出され、師匠には破門を言い渡され、テレビラジオかも干される。恋人の芸者には逃げられる。唯一小文を思ってくれた兄弟子小丸(桂小金治)にからんだのがもとで兄さんをも失くしてしまう・・・
黒門町の映像が見れる作品というので一応押えておくつもりで観に行ったらとてもよくできた落語映画の名品でした。
文楽師匠は高座で「鰻の幇間」一八が鰻屋の勘定を聞いてブツブツ文句を言う場面。
今更いうまでも無いけど、レコードで聴く音源とほとんど同じ、狂いも無く演じていますね。
他に宴席での口上場面(あばらかべっそん、とべけんやを言っていればいいという風情)と葬儀の場面。弟子の小益(現九代目文楽)を連れて一足先に焼香をすませて帰っていく。
落語家になった事は実家には内緒だったため上京した母親とひと悶着。おかみさん(東郷晴子)の取り成しで大学に行く妹(原知佐子)の監視役をしながら落語家を続ける。
妹と同居となるが、この妹が学生運動らしきことに首を突っ込んでいて落語の粋なんてまったく理解しない。「ブルジョアが認めていない廓やお女郎の話なんてナンセンス」てなもんだ。この妹とのやりとりは面白い。真面目に学生運動に励むものに落語が理解されるはずもなく、理解している人間が居たとしたら、それは真面目に学生運動に励んでいると錯覚しているだけだ。
しかし、小文も大学出のエリート、妹の話に感じ入り、古典に見切りをつける。この時、師匠の五楽(加東大介)は「自分の芸に疑問を持ち始めたのは成長の証、そうやって常に芸に悩みながら進んでいくんだ」みたいな事を言う。
マスコミで売れに売れていた時、師匠を紹介してもらった安藤鶴夫先生にテレビ局で再会。
「なんだ今の君のその格好は、チンドン屋じゃないか」
いかにも作品派の安鶴らしい科白。
ちょうどテレビが全盛になってきた折の落語会の様子がうかがい知れて面白い。例えばさん生(川柳川柳)の「マラゲーニャ」といった感じか。
兄弟子(小丸:桂小金治)の棺の前で兄さんが好きだったけちんぼうの酒飲みの噺をやる。うわ、こんな泣かせどころまでついているのか。
二つ目昇進のときの師匠とおかみさんの温かさ等も上手く描かれていて落語映画の名品になっている。
その一因にフランキー堺のお見事な落語という芸がある。
映画の中で小金治と2フランキー堺の2人が「俺たちが文楽師匠の芸を継承していくんだ」と言ってました。
現実の落語会では、文楽師匠の系列は現橘家円蔵、九代目桂文楽、柳家小満ん、あたりか・・・・。ま、それはそれでいいんだけどネ・・・・
あと、芸者役の塩沢ときの強かさ。堂々とした演技でたいしたものだった。
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「東宝文芸映画の世界」
「羽織の大将」1960年 東宝 監督:千葉泰樹
東大出の落語家桂小文(フランキー堺)が新作に転向してマスコミの寵児となり、やや天狗になっている。学生時代の友人の選挙応援演説に出たところ選挙違反に巻き込まれる。寄席からは追い出され、師匠には破門を言い渡され、テレビラジオかも干される。恋人の芸者には逃げられる。唯一小文を思ってくれた兄弟子小丸(桂小金治)にからんだのがもとで兄さんをも失くしてしまう・・・
黒門町の映像が見れる作品というので一応押えておくつもりで観に行ったらとてもよくできた落語映画の名品でした。
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文楽師匠は高座で「鰻の幇間」一八が鰻屋の勘定を聞いてブツブツ文句を言う場面。
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今更いうまでも無いけど、レコードで聴く音源とほとんど同じ、狂いも無く演じていますね。
他に宴席での口上場面(あばらかべっそん、とべけんやを言っていればいいという風情)と葬儀の場面。弟子の小益(現九代目文楽)を連れて一足先に焼香をすませて帰っていく。
落語家になった事は実家には内緒だったため上京した母親とひと悶着。おかみさん(東郷晴子)の取り成しで大学に行く妹(原知佐子)の監視役をしながら落語家を続ける。
妹と同居となるが、この妹が学生運動らしきことに首を突っ込んでいて落語の粋なんてまったく理解しない。「ブルジョアが認めていない廓やお女郎の話なんてナンセンス」てなもんだ。この妹とのやりとりは面白い。真面目に学生運動に励むものに落語が理解されるはずもなく、理解している人間が居たとしたら、それは真面目に学生運動に励んでいると錯覚しているだけだ。
しかし、小文も大学出のエリート、妹の話に感じ入り、古典に見切りをつける。この時、師匠の五楽(加東大介)は「自分の芸に疑問を持ち始めたのは成長の証、そうやって常に芸に悩みながら進んでいくんだ」みたいな事を言う。
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マスコミで売れに売れていた時、師匠を紹介してもらった安藤鶴夫先生にテレビ局で再会。
「なんだ今の君のその格好は、チンドン屋じゃないか」
いかにも作品派の安鶴らしい科白。
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ちょうどテレビが全盛になってきた折の落語会の様子がうかがい知れて面白い。例えばさん生(川柳川柳)の「マラゲーニャ」といった感じか。
兄弟子(小丸:桂小金治)の棺の前で兄さんが好きだったけちんぼうの酒飲みの噺をやる。うわ、こんな泣かせどころまでついているのか。
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二つ目昇進のときの師匠とおかみさんの温かさ等も上手く描かれていて落語映画の名品になっている。
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その一因にフランキー堺のお見事な落語という芸がある。
映画の中で小金治と2フランキー堺の2人が「俺たちが文楽師匠の芸を継承していくんだ」と言ってました。
現実の落語会では、文楽師匠の系列は現橘家円蔵、九代目桂文楽、柳家小満ん、あたりか・・・・。ま、それはそれでいいんだけどネ・・・・
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あと、芸者役の塩沢ときの強かさ。堂々とした演技でたいしたものだった。
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