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「奇想天外映画祭2024」
「深紅の愛 ディープ・クリムゾン」1996年 墨 監督:アルトウーロ・リプステイン
Carmin Profond
ブニュエル仕込みの”黒い魂”で描いた、ユーモアと、残酷と、優しさのメロドラマ。 メキシコ映画界の巨人A・リプステインが描いたメキシコ版もう一つの「ハネムーン・キラーズ」。
太った看護婦コラルは、二人の幼い子供と貧乏暮らし。フランスの俳優、シャルル・ボワイエの大ファンである彼女は、文通相手募集の記事で自称ボワイエ似のスペイン人、ニコラスと知り合う。彼は結婚詐欺師で、元妻も殺害した男だったが、恋に落ちてしまったコラルは、子供を養子に出し、強引に求愛。ニコラスは自分の秘密であるカツラのこともコラルに知られてしまったが、それでもひるまない彼女に、やがて愛の感情を抱いてしまう。そしてコラルはニコラスの妹になりすまし、結婚詐欺を働きながらの危険な旅がスタートする。
以前同じく「奇想天外映画祭」で観た「ハネムーン・キラーズ」と同じ事件を元にした物。かなり記憶は薄れているけどメキシコだけあって本作の方が好みかも。
騙す男も加担する女も騙される未亡人たちも皆淋しさの影がありメロドラマ側面が本作の方が勝っるような気がした。性への渇望もせつない。
鬼畜女にも本能的に母性が残っており、それがどうにも上手く行かないのが良い。
ついに覚悟を決めて男は自首するものの街の警察事情からマスコミの餌食になる事もなく、女に至っては女用の監獄が無いとの理由で学校の教室に拘束される。弁護士も裁判もなく速攻で処刑される二人は幸福のうちに水溜りに果てる。デブ女の深紅のドレスが印象的で後味が全く悪くない。
さらに同素材で「地獄愛」というのもあるらしいのでそちらも機会があれば観てみたい。できれば間隔空けずに3本見比べたい。
新宿ケイズシネマ
2024年9月
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