空木春宵「感応グラン＝ギニョル」

ここ何年か毎年新年になると、今年こそ活字読書復活するぞ、と思うのだが、なかなか上手く行かない。
本を読まなくなって久しい。言い訳は老眼の進行だが、本当はスマフォSNSに時間を奪われているのだ。
今年の1月は幸先よく、再読も含め4冊読了する事ができた。年２～３冊くらいしか読んでないていたらくぶりだったから、この調子で頑張ろうｗ油断禁物戻らぬように。
という事で久しぶりにのＢＯＯＫカテゴリー投稿。

書店で物色していて、知識、情報ないまま面白そうだなと選らんでみたのがとんでもない代物だった。

空木春宵「感応グラン＝ギニョル」創元SF文庫

「感応グラン＝ギニョル」
まず表題作読んだ。というか読んでしまった。
こ、これは...
SFなんだが、時代設定や異形少女は兎も角、五感に浸透してくる稀有な読書体験。表現手法も好ましくプチ感動
ちょっと次の作品に行くの躊躇ってしまうほどだ。

「地獄を縫い取る」
これも五感浸透物だが対象的。さっきの方が好きだったなと読み進めるのはテクノロジーよりテレパスを好むからだが、中盤から引き込まれた。やや難解な按配で半分も理解してないかもだが返って気持ち良い文体。痛みをさほど感じないは、読み手感性。
個人的には芥川賞。

「メタモルフォシスの龍」
絶賛中の空木春宵、3編目。前2編と比べ読み易い。2020年8月発表。コロナ禍真っ只中での発想かな。終盤はLGBTQのせつなさまでも。マンガやアニメ、実写じゃなくて文章で表現してくれた事に感謝。心地良い呆け脳刺激。

「徒花物語」
4編目。戦中女学校内の所謂ゾンビ物で謎の作中小説との構成。
世界観に踏み込むと引き込まれる。死生観、人類進化批判に共感。
一種の謎解きに当たる部分である教師との対話の高揚感。身体は腐敗しても女の子はスカート翻し、クルッと回転してくれる。

「Rampo Sicks」
乱歩、谷崎オマージュ活劇はまさかのラスボスにあの娘が。良かれ悪しかれルッキズムは永遠なり。サイバーパンクが合いそうとBGMにしていたけど読後感のあまりの爽やかさにラスト2章をカネコアヤノ「祝祭」で再読の馬鹿w

内容的に作者は女性かしらと思った時もあったけれど、ネット検索すると見た目は男性。最近は見た目で性別を安易に判断できないけど、空木春宵は間違いなかろう。

自分がこの手のジャンルに疎いだけかもしれないが空木春宵、新鮮すぎた。「感傷ファンタスマゴリィ」も続けざまに読みたいが、とりあえず文庫化を待つ。

感応グラン＝ギニョル (創元SF文庫) 著者 : 空木春宵 東京創元社 発売日 : 2024-12-27 ブクログでレビューを見る»