新刊文庫で平積みされていて「へぇ~こんな本出してんだぁ」と手に取りパラパラ立読みするものの、買う気も読む気もありませんでした。
ところが小西康陽さんの解説を読むと(彼も大法螺吹きドラマーにより抱腹絶倒逸話集くらいに思っていたそうです)日本のロック以降の音楽家による「あばらかべっそん」最初の芸談集だと言う。
読むっきゃないでしょう。
私がドラマー・村上“ポンタ”秀一をしっかりと認識したのは渡辺貞夫バンド。渡辺貞夫マイディアライフでのセッション。そのうち(記憶が正しければ)ドラムは守新治に変った。
あとは、山下洋輔や筒井康隆との活動。Wha-ha-haのドラマー。
だから、元はバリバリのジャズ・ドラマーだとばっかり思っていましたが、そうではなくて、赤い鳥のドラマーだったのですね。ちっとも知らなかった。
前半部は(私にとって)以外なくらい、フォーク、ニューミュージックの人々が登場します。
渡辺貞夫バンドではスタンダードばかりやらされて嫌やで嫌やで1ヶ月で辞めたと言う。
山下洋輔も大嫌い(彼はクラシック出身でフレンチホルンを担当していた)で敬遠していたそうな。こちらは、後に大好きな人に急転する。
やはり、山下、筒井あたりの話が面白い。
嬉しいのはポンタさん今でもWha-ha-haの音楽が大好きだそう。良いですよね小川美潮。また聴きたくなった。
ポンタさんの半生(1972-2003)はそのまま日本ポピュラー・ミュージックの歴史(1972-2003)になるのは当然の事。
神出鬼没のコウモリ、カメレオン、ドラムと思ってましたが、若い頃から才能は際立っていたようです(自分で言ってるんですが)そりゃそうだ、超一流だからこそ、方々から声がかかる。
「繊細な歌手が感じる心細さケアしてあげる。相手が歌いやすいようにこちらからあわせてあげるというのは快感。」皆、叩いてもらいたくなるわけですね。
音楽論、ドラム論になると流石に熱が入る。楽器をやらない私には驚く事も多かった。
自己流トレーニングではとにかく歌っていた。とか
歌謡曲のバック時代、楽譜では無く、詩を見て叩いて行く。とか、
とにかく詩を重視するなんて、「へぇ~、へぇ~」の連続。
沢田研二、矢沢永吉、尾崎豊、井上陽水に関する芸談は興味深いし、アレンジャーとプロデューサーの話もなるほど。
ポンタさんがここまで成功するには欠かせない要素がその「村上“ポンタ”秀一」と言う名前にあると思う。
村上秀一であったらここまで来れたか?
一度聞いたら忘れない、思わず口にしたくなる名前。
子供の頃からポンタだったのですね。そのあたりの由来も出てきます。
読んでいてとにかくテンポ、リズムが良いのですが、この本は「聞き書き本」です。表紙タイトル等に表記はありませんが正岡容役が真保ゆかりさん。
小西康陽さんも言うよう、この方の仕事の意味は大きいでしょうね。
Amazonのレビューで「読後はCD棚に置け!」って書いている人が居たけど、上手いね、座布団1枚。
まさにそう言う本。CD棚に入らないのでレコード棚の脇にそっと置いてみました。
人気blogランキングへ PONTA BOXも聞きたくなりました。クリックね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます