JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「赤い水」

2010-02-23 | 映画(DVD)
「生誕100年 社会派の巨匠 山本薩夫監督特集」

「赤い水」1963年 大映 監督:山本薩夫
利権による政治腐敗を描いた喜劇色の強い作品。「金環蝕」の原点となったともいえる作品。

何とも変な映画でした。
東海地方のツバメ町という平凡な町の設定に繰り広げられる政治ドラマ。町役場の議員たちのハイテンションぶりが可笑しい。ハイテンションなだけで議会はいつでも堂々巡りで大辻司郎などはすぐに食事時間にしてしまおうとする。
そんなハイテンションな登場人物の中ひときわマイペースななまぐさエロ坊主・禅恵和尚(伊藤雄之助)が珍妙な味を出している。

財政窮乏のツバメ町を救うべく持ち上がった温泉境建設案に振り回される人々。うどん屋のリキ(八波むと志)は和尚に踊らされ土地買占めに奔走。いっぱしのブローカー気取りで次回町議員選挙への立候補を夢見る。
八波むと志の役柄も人に合っていて愉快。
その女房が森光子で八波むと志は女房と和尚の仲を疑っている。疑惑を掛けられた森光子の思わせぶりな言動がイヤらしくて良いです。

物語の方は美人女中のふみ子(滝瑛子・実は地方事務所長の女)と若き新聞記者(川崎敬三)とのロマンスも巻き込み進んでいくんだけど、この娘が時折夢見がちな目つきになって妄想シーンが挿入される。B級無国籍ギャング映画のヒロインになっていて二枚目役の川崎敬三に助けられ抱擁、接吻。ギャングとの争いを橋の上から狙うのが和尚伊藤雄之助で妄想の中では神父様になっている。
滝瑛子はちょっと吊り目が魅力的で、小池栄子似の女優さんでした。

ハイテンションの中で進む政治喜劇は不思議な力を持って終わるけれど、「いったいなんじゃこりゃ」という思いが残る怪作。

シネパトス銀座

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