JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

なぜバラバラなのか 岩川隆 「殺人全書」

2007-01-13 | BOOK
BOOKカテゴリーは基本的に最近読んだ物を記録しているのだけれど、今回は17年程前に読んだ本。900ページ近くに及ぶドキュメント。衝撃的でとても印象に残っています。

最近、バラバラ殺人事件が続いているようですね。

第1章 処理の美学
1.なぜバラバラなのか
より一部引用(長めに)


バラバラ事件といわれるものは明治以来40件ばかりあるが、最初は「首なし」「下半身だけ」といった報道であった。
昭和7年3月に起きた玉の井殺人事件で朝日新聞が初めて使用した「バラバラ事件」という呼び名がいかにも斬新で単純明快だった。

バラバラ事件にいたる殺人者の動機の分類
1.殺意はなかったが、相手があっさり死んでしまったので死体の処置に困ったあげくの行動。
2.殺しはしたが、自首もしたくない。事故死とか病死で誤魔化すわけにも行かない。なんとかうまく逃げおおせるため。
3.憎悪のあまり、復讐心を持って、この手で打たれた、この足で蹴られた、と報復の気持ちで切ってゆく。
4.サディズムがこうじた愛情。いとしい故に切りさいなむ。
5.殺したあと、自殺を装うため電車のレールの上に死体を置いてバラバラにする。
他に特殊な例では
「いったん埋めておいた死体を掘り返して他所に移そうとした時にバラバラになる。」
「あたらしい死仏から脳や肝臓を薬として取り出そうとして死体をバラバラにしてしまう」
「ドイツ、イタリアには、まれに人肉嗜食の異常者によって死体がバラバラにされたことがあった。」

バラバラ殺人事件はいかにも猟奇的犯罪のように見えるが、多くの場合「殺人そのもの」とは直接の関連がない。
相手が息を引き取った時に殺人行為は完了。目の前に残ったのは一個の物体。
法的には「死体遺棄」「死体損壊」であり、メッタ刺しにして相手を殺すほうが罪は重い。
死体を隠そう、殺人を隠蔽しようというのは人間の自然な気持ち。
バラバラ事件の犯人は、どこにでも住んでいる小心な、小市民的人物に多い。父親が大事にしていた陶器を壊して恐れおののき、粉々に砕いて野原に捨てるような心理。ところが計画的でないため、つまらぬところでボロが出て、逮捕されるようなところもある。



さて、あなたは犯してしまった殺人の死体を前にして、根気良く、死体をバラバラにしていく自信ありますか?
私には到底、無理。途中で嫌になって、あきらめちゃう・・・
小心な小市民は、勤勉で難題にもコツコツと立ち向かい、成し遂げてしまう優秀な人材なんだろうね。

かなり昔に書かれた本だけれど殺人の方法、行為、心理は現在でもあまり変っていないかもしれない。
写真の掲載なども無いドキュメントだけれども充分な読み応え。
殺人を通して、人間と文明を考えた迫真、衝撃のドキュメント

でも、一番恐ろしい殺人は加害者に罪の意識の無い、妄信による犯罪。カルトは恐ろしいです。


この本を読んでいる時、当時勤めていた会社の社長に発覚してしまい(入社間もない頃だった)
「お前、怖いなぁ。そんな本、読むの止めろよ」と諭されたのを憶えています。






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