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92歳市川崑監督死去、最後まで創作意欲(日刊スポーツ) - goo ニュース
いろいろな信頼できる筋(ブラック師、下衆師)が絶賛なので、やっぱり観とかなきゃ、という事で奇しくも特集上映中の神保町シアターに駆けつけました。
「鍵」1959年 大映 監督:市川昆
谷崎文学の中でこれまた何度となく映画化されている「鍵」
ブッタマげの奇天烈映画でした。市川昆凄すぎです。
谷崎原作で文芸映画に分類される物ですが、そんな生易しいものではありません。原作をベースにかなりぶっ飛んでいますし・・・
「東京オリンピック」だけで満足していた私がアホでした。
10年前に痴人の愛のナオミを演じた京マチ子と翌年ナオミを演じる事になる叶順子のツープラトン攻撃は反則技。しかもどちらもナオミの何百倍も魅力的に映し出されているのですから。
まずは京マチ子の白塗りつり眉つり目メイクの怖い事。そうですこれが私の恐れていた京マチ子の原点だったのでした。
それでいて貞淑で従順な妻なのですから、エロさは何倍にも増幅される。夫の望むままに若い男に接近し女として開眼していくのですから
仲代達也との長い抱擁シーン(決して抱擁以上の所には行かない)のエロい事。
ビッコの猫をつまみ出すシーンが印象的。
対照的に娘敏子(叶順子)の手入れなしの三角眉毛、不細工です。美人女優(さほどとは思わないけど)が不細工を演じる。しかも、この不細工が不思議と魅力的。仲代達也との連れ込み宿での抱擁、接吻シーンの魅惑的なこと。私って不細工フェチだったのかしら?と思わせるほど。
雨に濡れたコートで長科白をまくしたてたり、悶々とした心情を時より吹き出したり、もうアッパレなのであります。
顔面ヒクヒクの演技のおぞましい魅惑。
この2人を際立たせるのが仲代達也の気味悪いメイクと演技(目を剥き何処を見ているのやら)この人の演技の薄気味悪さって賛否あるだろうけど、私としてはとってもシュールで好きなんです。「殺人狂時代」が一番好きですが。
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中村雁次郎も眼鏡が似合い、ひょこひょこ歩く姿。妻を浴槽から運び出すカッコ良さ。何より、これだけゲテモノ揃いのキャストの中でこの作品の本来のテーマを忘れない演技が光ります。
全員死亡してしまう結末までやられると、あまりに悪ふざけが過ぎやしませんかという感じなんだけど、刑事たちに相手にされない北林谷栄の色盲婆ちゃんがブラックで一層不思議な映画にしている。
あらゆるエロ映画、ホラー映画、サスペンス映画、恋愛映画、不倫映画、ブラック・コメディ映画を凌駕する市川昆監督の傑作映画ですな。
「鍵」といえばポーラロイドなのですが、それはほんのちょっとだけでした。
もうあまり記憶が無いけど岡田真澄と松尾嘉代、田口ゆかりの「鍵」を封切当時劇場で観ている。再見したいと思うけど、観る時は絶対市川昆作品と比較してはいけないと肝に命じて見なければ・・・
市川昆監督のご冥福をお祈りいたします。
神保町シアター
「本の街・神保町」文芸映画特集Vol.1 中村登と市川昆
現在は市川昆特集3月7日まで
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いろいろな信頼できる筋(ブラック師、下衆師)が絶賛なので、やっぱり観とかなきゃ、という事で奇しくも特集上映中の神保町シアターに駆けつけました。
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「鍵」1959年 大映 監督:市川昆
谷崎文学の中でこれまた何度となく映画化されている「鍵」
ブッタマげの奇天烈映画でした。市川昆凄すぎです。
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谷崎原作で文芸映画に分類される物ですが、そんな生易しいものではありません。原作をベースにかなりぶっ飛んでいますし・・・
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「東京オリンピック」だけで満足していた私がアホでした。
10年前に痴人の愛のナオミを演じた京マチ子と翌年ナオミを演じる事になる叶順子のツープラトン攻撃は反則技。しかもどちらもナオミの何百倍も魅力的に映し出されているのですから。
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まずは京マチ子の白塗りつり眉つり目メイクの怖い事。そうですこれが私の恐れていた京マチ子の原点だったのでした。
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それでいて貞淑で従順な妻なのですから、エロさは何倍にも増幅される。夫の望むままに若い男に接近し女として開眼していくのですから
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仲代達也との長い抱擁シーン(決して抱擁以上の所には行かない)のエロい事。
ビッコの猫をつまみ出すシーンが印象的。
対照的に娘敏子(叶順子)の手入れなしの三角眉毛、不細工です。美人女優(さほどとは思わないけど)が不細工を演じる。しかも、この不細工が不思議と魅力的。仲代達也との連れ込み宿での抱擁、接吻シーンの魅惑的なこと。私って不細工フェチだったのかしら?と思わせるほど。
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雨に濡れたコートで長科白をまくしたてたり、悶々とした心情を時より吹き出したり、もうアッパレなのであります。
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顔面ヒクヒクの演技のおぞましい魅惑。
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中村雁次郎も眼鏡が似合い、ひょこひょこ歩く姿。妻を浴槽から運び出すカッコ良さ。何より、これだけゲテモノ揃いのキャストの中でこの作品の本来のテーマを忘れない演技が光ります。
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全員死亡してしまう結末までやられると、あまりに悪ふざけが過ぎやしませんかという感じなんだけど、刑事たちに相手にされない北林谷栄の色盲婆ちゃんがブラックで一層不思議な映画にしている。
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あらゆるエロ映画、ホラー映画、サスペンス映画、恋愛映画、不倫映画、ブラック・コメディ映画を凌駕する市川昆監督の傑作映画ですな。
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「鍵」といえばポーラロイドなのですが、それはほんのちょっとだけでした。
もうあまり記憶が無いけど岡田真澄と松尾嘉代、田口ゆかりの「鍵」を封切当時劇場で観ている。再見したいと思うけど、観る時は絶対市川昆作品と比較してはいけないと肝に命じて見なければ・・・
市川昆監督のご冥福をお祈りいたします。
神保町シアター
「本の街・神保町」文芸映画特集Vol.1 中村登と市川昆
現在は市川昆特集3月7日まで
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松尾版、やっぱり見てみたいと思います。あらためて要チェックリストに追加ですね。
当方もかなり妄想まみれですので、今後もよろしくお願いいたします。
この、京マチ子版のほうもDVDで見ましたが、松尾版よりも映画としては、完成度、凄みなど、こちらのほうがはるかに凄いと思いました。
特にラストは衝撃的でしたね。
岡田真澄版はそんなにひどかったでしたっけ?
何せ岡田真澄がめまいを起こす事くらいしか憶えていない。松尾嘉代や田口ゆかりの姿なんてぜんぜん記憶されていないもので。酷い、詰らないという印象もなく、うろ覚えにもほどがある状態です。
知らなかったー。それではつくづく叶順子版痴人の愛を見たいですねー。
「鍵」岡田真澄&松尾嘉代版はド最悪でしたねー、思い出しただけでムカついてくる。でも同時上映していた「竜ニ」が名画でした。