JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

田中啓文 「蹴りたい田中」

2007-04-23 | BOOK
芥川賞といってもセンセーショナルに取上げられる回とそうでない回では大きな開きがありますね。
最近ではやはり金原ひとみと綿矢りさのおねぇちゃんW受賞でしょう。
文庫になったら読んでみようと思っていたら、「蹴りたい背中」が漸く文庫化。
という事で書店で買おうとしたのですが、こちらを手にレジへ行ってしまいました。
間違えたわけではありませんけど・・・

筒井康隆に心酔していたものの実はSFあまり読んでません。
光瀬龍も山田正紀も広瀬正も横田順彌もほとんど読んでません。

田中啓文はダジャレを多様するハチャメチャSFだそうで・・・JAZZと落語とSFの三種の神器を備えた逸材。
駄洒落に対してはかなり理解を示す姿勢を貫きたい私としては「中田いたり蹴」のタイトルは大いに認めたいのです。

どうせしょうもない内容だろうと期待をせずに読んだら、期待通りのしょうもなさだったけれど、これはなかなか良いじゃないですか。

ただ、駄洒落に関しては良く考えられてはいるけどあまりにひどい。
私の好きな駄洒落は例えば左談次師が珍しくTV出演(大喜利)で・・・
「ファンタ、泣いてんのね」といったようなくだらなさなんだけど・・・

「蹴りたい田中」で第130回茶川賞受賞後、突如消息を絶った伝説の作家・田中啓文。幼少時から出奔までの偉大なる生涯を辿る単行本未収録8編+αを精選した遺稿集の形をとる短編集。

インタビュウ「未踏の明日に向かって」
「地球最大の決戦 終末怪獣エビラビラ登場」
「トリフィドの日」
「トリフィド時代」
「やまだ道 耶麻霊サキの青春」
「赤い家」
「地獄八景獣人戯(じごくばっけいけものびとのたわむれ)」
「怨臭の彼方に」
「蹴りたい田中」
「吐仏花ン惑星 永遠の森田健作」
浅野久志、山田正紀、恩田陸、他の寄稿所収。

まず、「トリフィドの日」だ。
嬉しいじゃないですか、小林信彦だったかと思うけど原典のJ・ウインダムの「トリフィド時代」を絶賛されていて、集英社文庫の「トリフィド時代」を探し回った事があります。
結局、見つける事ができずに現在まで・・・
遂に田中啓文によって念願かなった?
やっぱり原典、読んでみたいです。
4月22日現在amazonマーケットプレイスにて2,000円から入手可能。高!(東京創元社)

作品内容では「やまだ道 耶麻霊サキの青春」、「赤い家」が気に入りました。
前者は小説家を夢見るティーンエイジの物語。山田正紀というSF作家も気になる存在でしたが、ちょっと恐ろしくて(神と戦うなんて・・・)手を付けられなかった。彼のファンであれば面白さは倍増?嫌、ドたまに来てブチ切れる?
後者は蚊の視点と人間の視点から扱ったハードボイルド調ミステリー(?)これ結構大真面目な所があって、ラストなんかとても心温まる。かおりのキャラクターがとてもカッコ良い。蚊なんですけど・・・

書き下ろし「蹴りたい田中」
タイトル以外蹴りたい背中のパロディーとかではありません。
第二次世界大戦下で鬱屈する少年兵たちの複雑な心象を描破した珠玉作となっている。
○○○を動力として開発された戦艦「和紀」
何と言っても少年兵の臨界点到達のためにエドマンド・ケリー・ジュニアが施すアメリカ合衆国精神教育場面が圧巻。この場面だけでも価値あり。ケケケケケケ・・・

何故戦艦の名前が「和紀」なのか解りませんでしたが、読んでいるうち、ふと思い出しました・・・そんな名前の少女漫画化が居たっけ。「モンシェリCOCO」・・・

「吐仏花ン惑星 永遠の森田健作」にチンパン探偵ムッシュバラバラが登場したのは嬉しかった。しかし、チャック・ファスナー(現快楽亭ブラック)は登場しません。
「あたりまえだろ!なぁ、吉川くん」
あの・・・田中なんですけど。

・・・・
あ、そうそう、りさちゃんそのうち必ず買って読むからね。許して・・・

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