JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「CURE」

2009-11-23 | 映画(DVD)
「洞口依子映画祭」

「CURE」1997年 監督:黒沢清

被害者の体がXの字に切り裂かれるという猟奇的な連続殺人を捜査する刑事の前に、記憶を失った若い男の存在が浮上する。その男に関わった者は、マインド・コントロールされるように自らの心の底に潜んだ不満や憎悪を噴出させ…。

黒沢清の名を世界に広めた作品だそうである。いくら世界に広まっても私は知らんので新鮮な気持ちで観さしてもらったが・・・・これは上手い。
エンターテイメントっぽいのは始めだけ。映画における恐怖の表現をあらゆる手段で演出しているって感じ。

上手いのは映画だけじゃない。役所広司は他にも多くの作品で名演を見せている。
萩原聖人。この人の演技はほとんど観た事がなかった。(麻雀の強い人でしょ)これ1作では何とも言えないが、記憶に障害を持った(本当に?)間宮の不気味なキャラクターをピタリと演じてる。

「あんた、だれ」
「あんたの話が聞きたい」
「前は、おれの中にあったものが、今、全部外にある。だから、先生の中にあるものが、おれには見えるんだよね。」

佐久間(うじきつよし)が言うように間宮との接触は危険極まりなく、とても怖いもの。
ああそれなのに、
対する役所広司の高部刑事。流石に主人公だけあって、間宮と形成逆転するところまでこぎつける。病気の妻を持つ身だからこそなのか。
観ていて内心「あんた凄いよ」と思った途端、萩原聖人が同じ台詞を口にした。あー、もう怖い怖い。

ホラー映画、サイコサスペンス映画、ミステリー映画の範疇に入りきらない。
音楽の使い方、空の洗濯機の回転音、廃墟の使い方、バスの最後部座席から見える靄、クリーニング屋の洗濯物の使い方。猿。でんでんという役者の使い方・・・・
安易な結末を持って来ずに難解にしているのはずるいけど上手い。

殺人教唆の伝道師間宮に対して(自分自身に対して?)結論を出した高部刑事のすっきり感も怖い。あのファミレスのラストシーンは上手すぎる。

タイトルのCUREは「医療;治療(法), 療法;保養(期間);湯治場」

洞口依子は、女の癖に女医になったテキパキ働く才女。間宮の暗示によって公園の男子トイレで男を切り刻む。
間宮に軽くおつむを押さえられ次第にマインド・コントロールされる被虐的な催眠状態がたまりません。

シネマヴェーラ渋谷

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2 コメント

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Unknown (imapon)
2009-11-30 00:08:43
ドミニコ様、コメントありがとうございます。
嬉しいコメントなのにレス遅れてすまんこってす。
内容は伴いませんが観ている映画のラインアップは気に入っています。って自分の嗜好だからあたりまえですが・・・

どうしても観たい映画が映画館、レンタル屋さん、もう売っていない等、そう言う時は・・・・
別にどうもいたしません。
ただ名画座でかかるのを待つのみですね。
あくまで受動的なんです。じんせい・・・・・
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Unknown (ドミニコ)
2009-11-24 19:56:45
初めて書き込みます。
映画で流れ着きました。

いつも、良い映画観てらっしゃいますね。
勉強になります。

どうしても観たい映画が映画館、レンタル屋さん、
もう売っていない等、

そう言う時はどうなすってるんですか?

いきなり質問あいすみません。

ずっと気になっていたもので。

更新楽しみにしています。

息子さんの誕生日のプレゼントがイカしてました!
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