「暴力金脈」

「抗争と流血　東映実録路線の時代」

「暴力金脈」1975年　東映　監督：中島貞夫

大阪のチンピラ総会屋・松方弘樹の成り上がり物語。松方に乗っかって東京進出しようとするヤクザを梅宮辰夫が演じる。ニャンバーグのくだりや、愛人の池玲子にセーラー服を着せて父娘プレイをする若山富三郎など笑える場面も多々あるが、所詮日本社会では企業も総会屋も同じ穴のムジナ、というラストに虚しさが吹きすさぶ。

総会屋という稼業について知るには適した映画ですね。総会屋とヤクザなんて同じかと思ってましたが、似て非なるもの。
総会屋のプロ、中江宏（松方弘樹）がヤクザの兄弟分・奥田寛治（梅宮辰夫）に「餅は餅屋に任せておけ」って言ってましたから。



前半はど素人チンピラでしかなかった中江宏が乃木万太郎（小沢栄太郎）に弟子入りし成り上がって行く過程。
師の教えを守りけっこう勤勉な中江宏にやや感服。


雨の中、発声練習。

それにしても松方弘樹、本作では気持ち良いほど殴られますな。

強かな女たちも良いです。オープニングいきなり松方の上に覆いかぶさってるのが絵沢萌子。

大阪を制した中江宏が上京してからの苦難が後半。
東京の垢ぬけた総会屋・西島一光に丹波哲郎。貫禄あります。
自身の企業活動何周年だかのパーティーで自ら喉を聞かせる丹波哲郎。

曽宮誠四郎（若山富三郎）と父娘プレイをする上原アヤ（池玲子）
彼女が中江宏の出世に一肌脱ごうというのは、パトロンの曽宮と実の父娘だと知っての事。なんと強引な展開だこと。



しかし、曽宮の退陣を迫る中江の戦法がスマートでカッコ良い。
それだけにラストのやりきれない虚しさが効いてくる。



なんたってタイトルが好き。暴力、暴力、暴力金脈。
暴力脱獄と違って文句無かろう。

シネマヴェーラ渋谷