“的”は最も常用される助詞ですが、詞組(連語)の構造を分析していくと、“的”を用いるか用いないかで、詞組の構造や意味が変わったり、関係が明確になることが分かります。今回は、“的”の機能について紹介したいと思います。
詞組と構文分析
二 偏正詞組と構造助詞“的”
“的”は最もよく見かける、詞組(連語)の構造の種類を表す虚詞である。
名詞と定語(限定語、連体修飾語)の間に“的”を用いるかどうかは、融通性があるように思えるが、こうした融通性には一定の制限がある。例えば、単音節の形容詞が名詞を修飾する時、“的”を用いることができるし、用いなくてもよい。“高山”は“高的山”と言うことができ、“好天気”は“好的天気”と言うことができる。しかし、“大的衣服”は、普通は“大衣服”とは言わないし、“好性子”は、普通は“好的性子”とは言わない。形容詞の前に状況語を伴う時は、必ず“的”を用いなければならない。例えば、“很高的山”、“非常好的天気”のようになる。動詞が名詞を修飾する時、“的”を用いるかどうかは、融通の利く時もある。例えば、“学習的時間”は“学習時間”と言うことができ、“辧公的制度”は“辧公制度”と言うことができる。しかし、“読的書”は“読書”と言うことはできないし、“画的図画”は“画図画”と言うことはできない。構文上から言うと、“的”を用いるか、用いないかは、文の構造、及び意味の違いに注意しなければならない。例えば:
第一組(名詞+名詞)
父親母親 → 父親的母親
生物歴史 → 生物的歴史
第二組(動詞+名詞)
写文章 → 写的文章
討論問題 → 討論的問題
第三組(代詞+名詞)
我們学生 → 我們的学生
我們文藝工作者 → 我們的文藝工作者
第一組は名詞と名詞の組合せで、“的”を用いて偏正関係(修飾、被修飾の関係)と連合関係(並列、或いは選択の関係)を区別している。なぜなら、「名詞+名詞」の型で通常出現するのは偏正関係と連合関係であるからである。第二組は動詞+名詞の組合せで、“的”を用いて偏正関係と動賓関係を区別している。なぜなら、「動詞+名詞」の型で通常出現するのは、偏正関係と動賓関係であるからである。第三組は代詞と名詞の組合せで、“的”を用いるかどうかにより、偏正関係であるか同位関係(同一の事物)であるかを明示している。なぜなら、この種の型で通常出現するのは、偏正関係と同位関係であるからである。もちろんこのことは、こうした組合せでは“的”を用いることによってはじめて偏正関係を表すことができると言っているのではない。次の例は別の状況を説明している。
第四組(名詞+名詞)
歴史事実 → 歴史的事実
木頭房子 → 木頭的房子
第五組(動詞+名詞)
斗争経験 → 斗争的経験
広播節目 → 広播的節目
第六組(代詞+名詞)
我們国家 → 我們的国家
他哥哥 → 他的哥哥
これらの例では、“的”を用いているものも“的”を用いていないものも、同様に偏正関係を表している。一般的に言うと、“的”を用いないものは、詞組全体の結合がたいへん緊密である。一方、“的”を用いると、前の語句の修飾性がより明確になる。この他、「名詞+名詞」の型の中では、“的”は従属(所属)関係(“領属関係”)と非従属関係を区分することができる。例えば、“朝鮮的朋友”は“朝鮮朋友”とはニュアンスが異なる。(“朝鮮的朋友”:「友達」という集合全体の中で、特に朝鮮にいる友達と範囲が限定される。“朝鮮朋友”は「朝鮮の友達」という集合が意識され、友達という集合の意識は弱い。)“孩子的脾気”は“孩子脾気”も同様である。 [注①]
まとめると、“的”の機能は、主に二つの点を表す。一つは、偏正関係とその他の関係を区分すること、もう一つは、前の語句の修飾性、或いは従属(所属)性を強調することである。
[注①] 通常は、従属(所属)関係を表す時は、必ず“的”を用いる。非従属関係を表す時は、“的”を用いるものと“的”を用いないものと、二つの型がある。“××的××”という語句に出会い、それが従属関係であるかどうかを判断するには、これには前後に並列する語句があるかどうかを見なければならない。したがって、全ての場合に“的”によって従属関係と非従属関係の区分ができるわけではない。例えば、“討論曹操的問題”は、“関于曹操的問題”(曹操に関する問題。曹操自身の問題とは限らない)かもしれないし、“曹操自己的問題”(曹操自身の問題)かもしれない。
偏正関係と非偏正関係を区分するには、前後に相対的な語句がなければならない。相対的な語句が無いと、機能の区分を云々することができない。修飾性や従属性を強調するには、前後に同等の語句がなければならない。同等の語句が無いと、強調している機能を明確にすることができない。前後に相対的な語句や同等の語句の無い状況では、“的”を用いなければならないか、用いることができないかは、構文により決まっている。例えば、主述詞組を名詞にする時の定語(限定語、連体修飾語)には必ず“的”を用いなければならない(例:麦子黄了的時節)。数量を表す数量詞組(繰り返しを用いない)を定語にする時は、“的”を用いることができない(例:一本書)。
【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年
語句中で“的”を使うべきか否か、普段なにげなく使い分けているかもしれませんが、このように分析すると、本当に必要な時だけ“的”を用いることができ、文章がより簡潔で、言いたいことがより明確になるのではないでしょうか。
にほんブログ村
詞組と構文分析
二 偏正詞組と構造助詞“的”
“的”は最もよく見かける、詞組(連語)の構造の種類を表す虚詞である。
名詞と定語(限定語、連体修飾語)の間に“的”を用いるかどうかは、融通性があるように思えるが、こうした融通性には一定の制限がある。例えば、単音節の形容詞が名詞を修飾する時、“的”を用いることができるし、用いなくてもよい。“高山”は“高的山”と言うことができ、“好天気”は“好的天気”と言うことができる。しかし、“大的衣服”は、普通は“大衣服”とは言わないし、“好性子”は、普通は“好的性子”とは言わない。形容詞の前に状況語を伴う時は、必ず“的”を用いなければならない。例えば、“很高的山”、“非常好的天気”のようになる。動詞が名詞を修飾する時、“的”を用いるかどうかは、融通の利く時もある。例えば、“学習的時間”は“学習時間”と言うことができ、“辧公的制度”は“辧公制度”と言うことができる。しかし、“読的書”は“読書”と言うことはできないし、“画的図画”は“画図画”と言うことはできない。構文上から言うと、“的”を用いるか、用いないかは、文の構造、及び意味の違いに注意しなければならない。例えば:
第一組(名詞+名詞)
父親母親 → 父親的母親
生物歴史 → 生物的歴史
第二組(動詞+名詞)
写文章 → 写的文章
討論問題 → 討論的問題
第三組(代詞+名詞)
我們学生 → 我們的学生
我們文藝工作者 → 我們的文藝工作者
第一組は名詞と名詞の組合せで、“的”を用いて偏正関係(修飾、被修飾の関係)と連合関係(並列、或いは選択の関係)を区別している。なぜなら、「名詞+名詞」の型で通常出現するのは偏正関係と連合関係であるからである。第二組は動詞+名詞の組合せで、“的”を用いて偏正関係と動賓関係を区別している。なぜなら、「動詞+名詞」の型で通常出現するのは、偏正関係と動賓関係であるからである。第三組は代詞と名詞の組合せで、“的”を用いるかどうかにより、偏正関係であるか同位関係(同一の事物)であるかを明示している。なぜなら、この種の型で通常出現するのは、偏正関係と同位関係であるからである。もちろんこのことは、こうした組合せでは“的”を用いることによってはじめて偏正関係を表すことができると言っているのではない。次の例は別の状況を説明している。
第四組(名詞+名詞)
歴史事実 → 歴史的事実
木頭房子 → 木頭的房子
第五組(動詞+名詞)
斗争経験 → 斗争的経験
広播節目 → 広播的節目
第六組(代詞+名詞)
我們国家 → 我們的国家
他哥哥 → 他的哥哥
これらの例では、“的”を用いているものも“的”を用いていないものも、同様に偏正関係を表している。一般的に言うと、“的”を用いないものは、詞組全体の結合がたいへん緊密である。一方、“的”を用いると、前の語句の修飾性がより明確になる。この他、「名詞+名詞」の型の中では、“的”は従属(所属)関係(“領属関係”)と非従属関係を区分することができる。例えば、“朝鮮的朋友”は“朝鮮朋友”とはニュアンスが異なる。(“朝鮮的朋友”:「友達」という集合全体の中で、特に朝鮮にいる友達と範囲が限定される。“朝鮮朋友”は「朝鮮の友達」という集合が意識され、友達という集合の意識は弱い。)“孩子的脾気”は“孩子脾気”も同様である。 [注①]
まとめると、“的”の機能は、主に二つの点を表す。一つは、偏正関係とその他の関係を区分すること、もう一つは、前の語句の修飾性、或いは従属(所属)性を強調することである。
[注①] 通常は、従属(所属)関係を表す時は、必ず“的”を用いる。非従属関係を表す時は、“的”を用いるものと“的”を用いないものと、二つの型がある。“××的××”という語句に出会い、それが従属関係であるかどうかを判断するには、これには前後に並列する語句があるかどうかを見なければならない。したがって、全ての場合に“的”によって従属関係と非従属関係の区分ができるわけではない。例えば、“討論曹操的問題”は、“関于曹操的問題”(曹操に関する問題。曹操自身の問題とは限らない)かもしれないし、“曹操自己的問題”(曹操自身の問題)かもしれない。
偏正関係と非偏正関係を区分するには、前後に相対的な語句がなければならない。相対的な語句が無いと、機能の区分を云々することができない。修飾性や従属性を強調するには、前後に同等の語句がなければならない。同等の語句が無いと、強調している機能を明確にすることができない。前後に相対的な語句や同等の語句の無い状況では、“的”を用いなければならないか、用いることができないかは、構文により決まっている。例えば、主述詞組を名詞にする時の定語(限定語、連体修飾語)には必ず“的”を用いなければならない(例:麦子黄了的時節)。数量を表す数量詞組(繰り返しを用いない)を定語にする時は、“的”を用いることができない(例:一本書)。
【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年
語句中で“的”を使うべきか否か、普段なにげなく使い分けているかもしれませんが、このように分析すると、本当に必要な時だけ“的”を用いることができ、文章がより簡潔で、言いたいことがより明確になるのではないでしょうか。
にほんブログ村
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます