中国語学習者のブログ

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辛亥革命100周年: 中国政府のメッセージ

2011年10月15日 | 中国ニュース

 今年は、中国共産党成立90周年、辛亥革命100周年と、過去の歴史を振り返る大きな行事が重なっています。本当は、これに918事変、つまり柳条湖事件が80周年を迎え、これも記念行事が行われましたが、これは震災復興で苦しむ日本を考慮してか、あまり大きな取り上げ方はされませんでした。
 さて、辛亥革命については、一般に1911年10月10日の武昌蜂起を記念し、10月10日をその記念日とするのが一般的です。ところが、中国政府は、辛亥革命100周年の記念式典を1日前の10月9日に行いました。これには、大きな意味があり、台湾に対する政治メッセージが込められています。
 つまり、翌10月10日は台湾の双十節で、台湾政府が記念式典を行うことから、それを前に、中国政府としてのメッセージを台湾に発したということです。
 これに対する、馬九英の反応が、大陸に対し、独立を主張するものになることは当然織り込み済みです。

 それでは、この中国政府側の記念式典のメインイベントである、胡錦涛のスピーチの内容の一部を見ていきましょう。

■[1]
 ( ↓ クリックしてください。中国語の原文が表示されます)


・緬懐 mian3huai2 追想する。過ぎ去った事柄や、亡くなった人について言う。
・功勲 gong1xun1 勲功。手柄。
・矢志不渝 shi3zhi4 bu4yu2 志を変えないことを誓う。“矢志”は「心に誓う、志を立てる」の意味。

□ 100年前、孫中山先生を代表とする革命党の人々が世界を震撼させた辛亥革命を発動し、中国に嘗て無かった社会変革をスタートさせた。本日、私たちは辛亥革命100周年を厳かに記念し、孫中山先生ら、辛亥革命の先駆者的な歴史的勲功を心から追想するものである。すなわち、彼らの中華を振興するため、その志を決して曲げなかった、崇高な精神を学び発揚させねばならず、国の内外の若者たちが中華民族の偉大な復興のため共に奮闘することを激励する。

■[2]


・大声疾呼 da4sheng1 ji2hu1 大きな声で叫ぶ。呼びかける。“疾”は「すばやい、激しい」の意味。
・亟 ji2 [副詞]速やかに。はやく。
・拯 zheng3 救う。助ける。
・水火 shui3huo3 〈比喩〉“水深火熱”の略。災難の意味。[用例]処于chu3yu2~之中(塗炭の苦しみにある)
・躋身 ji1shen1 あるレベル、領域に登る、身を置く。[用例]~于明星之列(スターの地位に昇る)。“躋”は「登る、達する」の意味。
・一往無前 yi1wang3 wu2qian2 困難にめげず、勇往邁進する。
・再接再 zai4jie1 zai4li4 [成語]努力に努力を重ねる。なおいっそう励む。
・浪潮 lang4chao2 あらし。うねり。大規模な社会運動、大衆活動を指す。

□ 孫中山先生は偉大な民族の英雄であり、偉大な愛国主義者であり、中国民衆革命の偉大な先駆者である。孫中山先生は時代の先端に立ち、「世界の潮流に適合し、人々の求めに合わせ」、「速やかにその民衆を水火の災いから救い、(中国という)建物の将に傾かんとするを助け起こさん」と声高に叫び、封建専制統治に反対するという闘争の旗印を高く掲げ、民族、民権、民生の三民主義の政治綱領を提出し、率先して「中華振興」のときの声を上げ、中華民族を封建専制統治と外国列強の侵略から抜け出させ、中国を世界の発展進歩と歩調を合わせ、世界の先進のグループに昇らせることを望んだ。孫中山先生は自身の模範的行動により、「我が志の向かう所、困難にめげず勇往邁進し、挫折すればするほど益々奮闘し、なお一層努力する」との誓いを実現した。彼の指導と影響の下、多くの革命党員と無数の愛国の志士が「中華振興」の旗印の下に集まり、幅広く革命思想を伝播し、積極的に進歩のうねりを引き起こし、続けざまに武装蜂起を発動し、革命の大勢の形成を大いに推進した。辛亥革命は清王朝の統治を打ち倒し、中国の何千年にも亘る君主専制制度を終わらせ、民主共和の理念を伝播し、巨大な震撼力と深刻な影響力により近代中国の社会変革を推進した。歴史のプロセスと社会条件の制約により、辛亥革命は旧中国の半植民地、半封建の社会の性質を改変せず、中国人民の悲惨な境遇を改変せず、民族の独立、人民の解放という歴史の任務を完成させはしなかったが、これは完全な意味での近代民族革命を創出し、中華民族の思想解放を最大限推進し、中国の進歩の潮流の水門を開き、中華民族の発展と進歩のため、道を探索した。

※ ここで注目すべきは、引用されている、孫文の言葉です。
 “亟拯斯民于水火,切扶大厦之将傾”。これは、1895年1月24日、孫文による《興中会宣言》の中の一節です。アヘン戦争以来の欧米列強による侵略と国力の衰退の続く中、前年の日清戦争(甲午戦争)の敗北のショックが、この言葉になったのでしょう。
 胡錦涛スピーチのこの部分は、翌日の《人民日報》社説“為中華民族偉大復興而共同奮闘”でもそのまま引用されていました。中国の人々の胸を打つ内容と言えましょう。

■[3]


・彪炳 biao1bing3 輝き。光り輝く。[用例]~千古(とこしえに光り輝く)。
・史冊 shi3ce4 歴史の記録。[用例]名垂ming2chui2~(歴史の記録に名を残す)。
・巍然 wei1ran2 巍然(ぎぜん)と。山や建物が高くて雄大なさま。[用例]泰山~聳立song3li4(泰山は巍然とそびえ立っている)。
・屹立 yi4li4 屹立(きつりつ)する。高くそびえ立つ。確固として揺るがない。

□ 孫中山先生と辛亥革命は、率先して中華民族が打ち立てた歴史的な功績と輝かしい歴史の記録となった。辛亥革命の中での英雄的に奮闘し、壮烈な犠牲となった志士たちは、永遠に中国人民が尊敬し記念するに値する。辛亥革命は、永遠に中華民族の偉大な復興のプロセスの上での巍然とそそり立つマイルストンである。

■[4]


・仁人志士 ren2ren2 zhi4shi4 仁愛のある正義の人。衆人のために自己を犠牲にする人。
・夢寐以求 meng4mei4 yi3qiu2 [成語]どうしても手に入れたいと思う。寝ても覚めても追い求める。

□ 中国共産党員は孫中山先生が始めた革命事業の最も確かな支持者で、最も親密な協力者で、最も忠実な継承者であり、孫中山先生と辛亥革命の先駆的な偉大な抱負を絶えず実現し発展させてきた。中国共産党は成立の初期に、反帝反封建の民主革命綱領を出し、孫中山先生の率いる中国国民党と手を携え協力し、最も幅広い革命統一戦線を打ち立てた。辛亥革命後、何度も挫折に遭った孫中山先生は、中国共産党員を親密な友人とし、毅然と国民党を改組し、「ソ連との連携、共産党(コミンテルン)との連携、農民、工場労働者の支援」という三大政策を実行した。国共両党の第一次合作は、全国を席巻する革命の新たな情勢を形成し、北洋軍閥の反動統治に甚だしい打撃を与えた。孫中山先生逝去の後、中国共産党員は彼の残した宿願を継承し、全ての彼の事業に忠実な人々と共に努力し、引き続き奮闘した。20数年の想像を絶する苦しい闘争を経て、中国人民は遂に新民主主義革命の勝利を勝ち取り、人民を主人公にする中華人民共和国を打ち立て、近代以来、中国人民と無数の仁愛ある志士たちが寝ても覚めても追い求めた民族の独立、人民の解放という歴史的任務を完成させ、中華民族の発展進歩の歴史的な新紀元を切り開いた。

※ 中国側の辛亥革命の評価は、孫文が三民主義を当初のものから、容共の新三民主義に変化させ、第1次国共合作による国民統一戦線が成立し、中国共産党による最終的な国家統一の礎を作ったことにあると思います。その考えは、今年7月の中国共産党成立90周年を前に中央電視台で放映された大河ドラマ、《開天闢地》のメインテーマとなっています。

■[5]


・宏願 hong2yuan4 偉大な志。大きな願望。

・九二共識:九二合意。“共識”は英語の“consensus”の訳で、多国間協議などで、共同声明や宣言まではいかないが、意見の一致にまでは至ったことを表すのに、この言葉を使い、近年は環境問題での国際会議などでよく用いられる。“九二共識”とは、大陸と台湾の間で、直接対話が始まり、1992年に「一つの中国」を目指そうという合意が形成されたことを指す。すなわち、台湾側が大陸問題について、従来の「三不政策」(大陸側とは「接触せず、妥協せず、交渉せず」)では、実際に発生していた両岸の人員の交流、経済、文化活動の実施に支障が出るようになったため、1990年11月、台湾で政府の権限移譲を受けた民間の中立団体、「海峡交流基金会」が成立、これに呼応し、大陸側も中共中央台湾辧公室、国務院台湾辧公室により、同年12月、「海峡両岸関係協会」が設立された。1992年10月、香港で、両団体は“公証書”(公証証書)の使用という事務的な問題解決の交渉を行ったが、この中で、台湾側は初めて“公証書”の手続きは「中国内部の問題である」、と認めた。しかし、「基金会」の性格上、政治には触れないこととなっていたため、「一つの中国」の問題については、これ以上の議論はなされなかった。しかし、この合意は、その後、両団体のトップである汪道涵、辜振甫の直接会談など、関係強化につながる礎となった。

・休戚与共 xiu1qi1 yu2gong4 苦楽を共にする。“休戚”は喜びと憂い。
・認同 ren4tong2 アイデンティティー。お互いに同一であると認めること。英語の“identity”の訳語。

□ 孫中山先生と辛亥革命が先駆けた「中華振興」の偉大な志は、(台湾海峡を挟む)「両岸」の同胞が共に追い求めるものである。両岸の同胞は血のつながった運命共同体であり、大陸と台湾は両岸の同胞の共同の住まいである。現在、両岸の中国人は共同の繁栄発展、共に中華民族の偉大な復興を謀る歴史的なチャンスに直面し、両岸の関係と平和発展は中華民族の偉大な復興の重要な構成部分となっている。手を携え両岸関係の平和発展を推進し、心を一つに中華民族の偉大な復興を実現することは、両岸の同胞が共に努力する目標とならねばならない。

 孫中山先生は嘗てこう言った:「“統一”は中国全体の国民の希望である。統一することができれば、全国人民は幸福を享受できる。統一できなければ、害を受けるであろう。」平和里に統一を実現することが、台湾同胞を含む中国人全体の根本的な利益に最も符合している。私たちは両岸の関係の平和発展というテーマをしっかり把握し、「台湾独立」への反対と、「九二合意」を堅持するという共同の政治的な基礎を強化し、両岸同胞の密接な交流、協力を促進し、両岸関係の平和発展の成果を享受し、両岸の経済競争力を高め、中華文化の優秀な伝統を発揚させ、苦楽を共にしてきた民族のアイデンティティーを強め、進んでいく道にある各種の問題を絶えず解決し、両岸の対立を終結させ、歴史の傷を慰め鎮め、共に中華民族の偉大な復興の実現のため努力していこう。

※ この部分が、このスピーチの最も中心となる部分、中国政府の台湾への呼びかけの部分です。

 “孫中山先生和辛亥革命先駆”という言葉を繰り返し、それぞれの話題の冒頭に使い、“同志們、朋友們!”の呼びかけを何度も使って、スピーチ全体にリズムを与えています。こうした、聴いた時に印象に残る、音のリズムというものが、中国語では詩や散文でなくてもしばしば用いられます。

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